ずるい大人 | ナノ
 糖蜜(→top) 



煌々と照らされたリビングだとか、動くたびにフローリングの床に体が擦れて痛いとか、もうそんなこと考えられないくらい。どうでもよかった。



「んっぁあ、ひっ、やだ、ぁ、また…っ!」
「イきそう?」
「ふ、んん、ゃっ、もう、むりぃ、っ…あ、痛ぃ…〜〜っ!」
「ちょっと擦りすぎたか?…大丈夫、ちゃんとイかせてやるよ」
「あ、ぁあっ!?ひっ、んー…っ!!」

真っ赤に腫れた乳首を捏ねられ抓まれて、ぐちゅぐちゅと音を立てながら自身を抜き上げられる。弄られすぎた乳首は痛いぐらいだし、それでもうすでに二回も達している俺は体の限界を感じて首を振った。
もう無理、イけない、そんな気持ちもこめてユースタス屋に腕を伸ばしたのに、何を勘違いしたのか達せないのが苦しいと認識されたらしく、宥めるような声色で額にキスを落とされた。
違うと否定する前にユースタス屋は体をずらして視界から消えてしまう。そうして散々抜き上げられた自身を優しく口に含まれてびくりと腰が大袈裟に跳ねた。突然の刺激に見開いた目からぼろぼろと涙が零れ落ちていく。

「あ、あっ、〜〜っ!ひっ、ゃあ、いっちゃ…っ!」
「ん、イっていいぞ」
「っ――!!」

暖かい口腔で張り詰めた自身を優しく舌で弄ばれる。もう声も出せなかった。
体ががくがくと震えてユースタス屋の口に全て吐き出してしまう。それをまた見せ付けるように、こくりと喉を鳴らしながら嚥下するものだから顔に熱が集まっていくのが分かった。ぐずぐずに溶けた体と羞恥のせいで視界が涙で滲んでいく。
だけど、はいこれでおしまい、なんてことにはもちろんなるはずがなくて。今度はユースタス屋の舌が後孔へと伸びていって、俺は首を振るとその頭を何とか押し返そうとした。

「ゃだぁ、きっど…っ、そこ、きたな、から…」
「汚くねェよ」
「ふっ、ぁ、あ、っ…ひ、ぁっ!」

ゆっくりと周りをなぞられて舌で突かれると嫌でも奥が疼いてるのが分かってしまって恥ずかしくなる。逃げるように腰を揺らせばユースタス屋に押さえつけられてしまうし、ぐいぐいと頭を押し返す手にもロクに力は入らないで結局されるがまま。

周りをなぞっていた舌が、ぐち、と中に入ってくるとその感触に背筋が震えた。指ともユースタス屋のものとも違う柔らかい感触。
俺はその感覚がすごく苦手で、舌で慣らされるのが一番嫌いだった。

「あっ、ぁあ、やっ、吸わな…っ!」
「好きだろ、こうされんの」
「ゃあ、ちがっ…、ひあっ、ゃ、〜〜っ!!」

舌を限界まで入れられ抜き差しされて、いきなり強く吸われるとびくりと体が震える。カリカリと床に爪を立てながら必死で首を横に振った。
いやだと泣いても、ちゃんと慣らさないとだろとユースタス屋に押し切られてしまって掴まれた腰は離してもらえずにいた。眉根を寄せながら蠢く舌にぼろぼろ涙を溢すだけで、時折強く吸われると頭の中が真っ白になる。そこから逃げ出そうと腰を揺すっても誘うようにくねらすだけで終わってしまう。

俺が優しくしてなんて言ったからかもしれないけれど、今日のユースタス屋はいつもよりしつこいっていうかねちっこい。最初にあんなにイかされるとかこの時点で何も考えられなくなるぐらい気持ちよくされるとかいつもならありえないのに。
だから俺は参っていた。気持ちいいけど辛くてどうしようもない。まだ挿れられてもいないうちから。

「ひっ、あー…っ!」
「可愛いな、ロー…びくびくしてる。気持ちいい?」
「ふぁ、ぅんっ…あ、も、舌やぁ…っ!」
「じゃあ指にしようか」
「ぁ、ちが、あぁあっ!」

違う、もう挿れてほしいのに。
笑みを含んだ赤い瞳は俺の考えなんてお見通しだというように愉しそうに揺れている。こんなのいつもより性質が悪くないか。優しいなんて表面上でユースタス屋はずっと意地悪だった。
だって指、なんて…。でも気持ちいいことに変わりない自分の体が恨めしい。
舌で散々弄られてぐずぐになったそこにユースタス屋の指が押し入ってくるのはやっぱり気持ちよくて腰が跳ねた。最初から二本咥え込んだそこをぐちゃぐちゃに掻き回されて頭の中が靄がかかったみたいに掠れていく。

「んっ、ぁあっ、あ!」「もう三本も咥え込んでんぞ?やらしいな」
「あ、あぁ、ひっぅ…だって、ぇ、あっぁ!」
「だって、何?」
「ふっ、きもちい、っ…ひっあぁ!」

気付いたら唇がそう勝手に動いていて、途端指を激しく動かされてびくびくと体が跳ねる。気持ちよくてどうしようもないのは本当だから。ユースタス屋にぎゅっとしがみつくと、お前ホント可愛い、と耳元で囁かれて抱きしめられる。
三本の指でぐちゃぐちゃに掻き回されたり同時に前立腺を抉られたり、舌で責められた後は指で散々に責められた。その間もユースタス屋は耳元でいろいろな恥ずかしいことを囁いてくるから顔だけじゃなくて体中が熱い。恥ずかしくてその肩に顔を埋めればくつくつと笑いながら耳にキスを落とされた。

「あ、っ、きっど…」
「ん?」
「っ…、も、ほし…っ!」
「何が?ちゃんと教えて」
「ふっ、きっど、の…いれて、?」

指も舌も気持ちいいけど与えられ慣れた体ではそれだけじゃ満足できなくて。これも全部ユースタス屋の計算のうちなんだろうな、とか思いながらも体の疼きは止められない。
もじもじと脚を摺りあわせるとユースタス屋の指が出ていってしまって余計に物足りなく感じてしまう。するりと優しく頬を撫でられて、それに促されるまま唇を開く。羞恥よりも快楽の方が勝ってしまったから。
恥ずかしくてちらりとユースタス屋に視線を向けると小さく呟いた。そうしたらユースタス屋が脱力したように息を吐いたもんだから何か駄目だったのかと一抹の不安が過ぎる。眉根を寄せて泣きそうなのを我慢すればそっと額にキスされた。

「その顔、俺以外に絶対見せるなよ」
「っ…?きっど…?」
「…挿れるぞ」
「ぁ…っ、ひっあ――っ!」

脚を肩に乗せされてぼそりと呟いたユースタス屋の言葉に首を傾げれば、何でもないというように唇に触れるだけのキスをされる。唇を離された直後、囁かれた言葉に弛緩していた体がびくんと震えた。
何の心持ちもしていなかった俺はそのいきなりの刺激に目を見開く。それと同時にぐるぐると体に渦巻く重い熱を全て吐き出してしまっていた。

「っ…、挿れただけでイったのかよ」
「ふっ、だって、きっどが…きゅ、に…っ」

くつりと笑われて全身が熱くなる。俯くと涙も零れてしまって、それに顔を上げさせられるとユースタス屋の舌で優しく舐め取られた。ちゅ、と目尻にキスされて、悪かったから泣くな、なんて言われてしまえば許すしか出来ない。やっぱりユースタス屋はずるい、と睨みつければ苦笑されて、額にキスを落とされる。それと同時にぐちゅりと腰を動かされて。

「動いてもいいか?」
「っ…ぅ、ん…いい、よ…」

本当はもうちょっと体を落ち着けたかったけど、我慢出来ない、なんて情事特有のあの低くて甘い声で言われてしまえば断れるはずがない。
それでもすっと細められた赤い瞳が俺だけに感じてくれているということに嬉しくなった。




「んっ、ぁあっあ、ひっ、あ!」

何回も達した体はとっくに限界を訴えていたけれどユースタス屋が離してくれなくて。ぐちゅぐちゅと腰を揺すられる度に与えられる許容量を超えた快楽に、その度に頭が真っ白になって何も考えられなくなっていく。

ユースタス屋が胡坐で座っている上に乗せられて、いわゆる対面座位。奥深くまで入っていくこの体勢に必死でユースタス屋にしがみついた。そうでもしてないと本当にぶっ飛びそう。
それを知っているだろうにユースタス屋はとめてくれないから。も、やめて、と泣きながら懇願したら、可愛い、と見当違いのことを言われて話にもならない。

「あっ、ぁ、きっど、っ!ゃっ、も、こわれ…ひぁ、〜〜っ!」
「っ、またイったのか?」
「ふぇ、やっ、とま、な…あっあ、ゃら、や、――っ!」
「っ…イきっぱなしかよ…可愛いな。もっとイっていいぞ?」
「ひっ、ゃ、あっ!も、だめ、やっ、いけな…っ!」
「ん?まだまだイけるだろ?」
「ひぁあっ、あー…〜〜っ!!」

ギリギリまで引き抜かれて腰を持ち上げていた手を急に離されると目を見開いた。ずちゅんっ、と恥ずかしい音を立てて奥まで突き立てられるそれを何度も何度も繰り返される。
本当におかしくなりそうで泣きながら首を振るとユースタス屋にしがみついた。だけどより一層激しくされてしまって。

「あっ、ぁあ!ゃらぁ、も、あたま、おかしく…ひっあぁっ!」
「なれよ…本当最高だな、お前」
「ふぁ、んっ、んん!ぁ、きっどぉ…!」
「はっ…ロー、俺のこと好き?」
「んっ、ぅんっ…あ、すき、きっど、すきぃ…っ!」
「っ…かわい。俺もだよ」
「ぁ、――っ!!」

いつもなら臆面もなく言ってしまうのは躊躇われるその言葉も、するすると口をついて出ていってしまう。必死にユースタス屋にしがみつきながら何度も好きと言えば、ぎゅっと強く抱き締められた。
愛してる、ととびっきり甘い声でそっと耳元で囁かれて嬉しいような気恥ずかしいような、でもやっぱり嬉しくて。直接脳に吹き込まれるようにして囁かれた言葉に体が震えて、それと同時に意識が遠退いていくのが分かった。
最後に見たユースタス屋の優しい顔にぎゅっと強くしがみついた。



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