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 赤い首輪は所有の印

(飼い主キッド×ショタ猫ロー)


最近のローの機嫌は頗る悪い。
理由は簡単だ。俺が全く構ってやっていなかったから。

言い訳をさせてくれるなら、俺は忙しかったんだ。提出しなきゃいけないレポートの存在をすっかり忘れてて、ここ最近は大学、バイト、レポートのローテーションだった。だからローには悪いが構ってやる暇が見当たらなかった。
それでも悪いのは爆弾になるまで放っておいた俺だから、背中に引っ付きながら遊んで遊んでと甘えた声を出すローを引き剥がすのには良心が痛んだ。
ごめんな、と出来るだけ優しい声で言えば遊んでもらえないと気付いたローは大人しく離れてテレビを見ていたが、その姿が寂しそうですぐにでも抱き締めて目一杯甘やかしたくなったのは言うまでもない。

終いにはそんなローに俺の方が堪えられなくなって、遊んでやりたいのと単位を秤に掛けて後者を取った俺は、このまま家にいたらローの構ってオーラに負ける、と後ろ髪を引かれるような思いで図書館に隠ったほどだった。
最初の方はそれでも、帰ってきて一番に拗ねたような横顔にキスをして頬を撫でてやれば、嫌がるように振り払いつつも少しは機嫌が直ったような体だった。
だけど日が経つに連れてそれにも効果がなくなり、「いつになったら一緒にいてくれる…?」とぎゅっと服を握り締めつつ俯き様に言ったローには犯罪級の可愛さと居たたまれなさを感じて、レポートを放っておいた自分とギリギリになるまで教えてくれなかったキラーに恨みを感じた程だ。

それがつい二日前の話。
そして今日、俺はやっとそんな日々に終止符を打った。


「ロー、ただいま」

相変わらずお帰りは聞こえない。いつもなら俺が帰ってくれば、玄関先で待ち構えていたローが飛び上がらんばかりに喜んで抱きついてきて「おかえり!」と満面の笑みを見せてくれるのだが、最近は機嫌が悪いのでお預け。
だけどそれも今日で終わり。

がさがさと右手に握り締めたビニール袋が音を立てる。レポート地獄から解放された俺の気分は最高だった。これでやっとローの相手をすることができるし、煩わしいことを考えなくて済む。
上機嫌でリビングの扉を開けると視界の隅で不機嫌そうなどんなに拗ねたような顔をしても垂れ下がった尻尾はテンションの下がり具合を示している。

「ロー、ただいま」
「…どうせまたすぐ、出かけるんだろ」
「もう行かねェよ。ずっとここにいる」
「ウソ」
「嘘じゃないって。レポート終わったし」

そう言ってビニール袋をテーブルの上に置くと、探るような目付きでこちらを見つめるローと目があった。疑り深い猫だな、と苦笑して少し離れたところに座ると腕を広げる。
おいで、と言えば、ローはおずおずと近寄ってきた。その腕を引っ張るとぎゅっと抱き締めて腕の中で閉じ込めた。

「わっ、キッド、」
「あー…久しぶりだ。ロー不足で死ぬかと思った」
「っバカ、別に夜とか一緒にいたじゃん」
「あんなん足りねって。ローもそう思ってたからあんな寂しそうにしてたんじゃねェのー?」
「あれはそんなんじゃ…お前がいないと暇つぶしがなくてつまんないなって思ってただけだ!」
「はいはい、素直じゃないな」

顔を赤くして頬を脹らませるローが可愛くて笑いながら頭を撫でてやれば、頭を振って払われる。下からじとりと睨み付ける瞳のわりに尻尾がゆらゆら揺れていて、隠しきれずに滲み出る嬉しさがまた可愛いと思った。ちゅ、と少し赤みの引いた頬にキスするとローの服を握る力に手が入って頬が緩んだ。やばい、調子に乗りそうだ。

「な、ロー、ちゅーしてよ」
「ちゅーとか言うな気持ち悪い」
「酷ェ!じゃあディープキスしてよ、ならいいか?」
「バカ!」

落ち着いたはずの頬に赤みが走り、からかいがいがあるよなぁと笑う。
ほら、と目を瞑って促すと戸惑ったようなローの雰囲気を感じて笑いそうになる口元を押さえつけた。別に出来なくても、と思っていてもこういう反応をされるとついつい先を促してしまう。
だが待てど暮らせどこないキスにやはり駄目かと苦笑して、目を開けようとすればすっと頬に手が触れて、そっと唇を押しつけられた。

ローからのキス自体は希だったが別段初めてという訳ではない。ただ深いキスをローからしたのはこれが初めてだった。
いつもは羞恥が先立つはずなのに、きっとローも寂しかったし一人が嫌だったんだろう。招くように薄く開いた隙間から舌を入れて懸命に舐め吸っててくる。必死な様子も可愛い。

「んぅ、ふっ、…ぁ!」

薄く目を開くと、眉根を寄せて必死に舌を絡めるローを見やる。いい眺め、なんて思いながらそっと腰を撫でた。
腰は猫の性感帯だ。敏感なローはここを撫でるとすぐぐずぐずに溶けてしまう。尻尾も耳も同じで、むしろ全身性感帯って言った方が早いかもしれない。

「ふぁ、んっ、ん…」

そんなことを思いながら何度も撫で擦ってやればいつの間にかローの体からはくたりと力が抜けていた。赤い顔をしながら小さく腰を揺らすローにくつりと笑う。
唇は離してもローの腰に手は添えたままで、服の中に忍ばせるとゆっくりと撫でてやる。

「っ、ぁ、やだって、そこ…」
「何で?」
「ぁ、ぅ…だって、へん…」
「変じゃなくて気持ちいいだろ?」

教えてやったろ?とローの頬を撫でれば恥ずかしそうに俯かれる。その姿にだらしなく緩む頬を叱咤すると耳にキスを落とした。

「ん、キッド…」
「そうだ、ロー、新しいおもゃ買ってきてやったんだ」
「え…?」

熱い吐息を洩らし、続きを強請るように名前を呼ぶローに先の行為を遮るようにテーブルのビニール袋に手を伸ばす。いつもと同じ展開をきっと予想していただろうローは戸惑いを瞳に浮かべてもじもじと内腿を擦り合わせた。
しないの?と訴えかける瞳に苦笑して袋の中から目当てのものを取り出す。

「ほら、」
「…なにこれ。猫じゃらし?」
「そーそ。好きか?」
「え、好きっていうか…」

そう言うとローは困ったように目の前に差し出されたそれを見つめた。
少し太めの長いスティック棒の先端に薄ピンク色のファーがついている、ごく普通の猫じゃらし。ピンクのファーを撫でながら、微妙な反応を示すローは意味が分からないというような顔をしていた。
猫の中でもトランスフォーム可能な人型であるローにとって猫じゃらしは遊ぶには物足りないだろうし、飛び跳ねたり追いかけたりするには大きすぎる。知っていてなお買ったのはもちろん理由があった。

「久しぶりに遊ぶか」

これ使って、と言えばローは益々不思議そうな顔をして、そんなローの額にキスをするとするりと服を捲り上げた。

「ゃ、なにっ…あ、や、ははっ、やだ!」
「こら、暴れるなって」
「ふふっ!だってくすぐった…、っ!」
「擽ったいだけ?」
「ふ、ぁ…ずる、い…っ」

服を捲り上げて現れた滑らかな肌にピンクのファーを滑らせた。最初は臍や脇腹辺りを撫でてやり、擽ったそうな反応をすれば乳首にファーをスライドさせる。
そうすればびくりとローの体が跳ね、キッと睨み付けてくるその瞳にくつりと笑った。

「気持ちいい?」
「んっ、ゃあ…はな、せっ…」
「却下。自分で服持てよ」
「やっ…」
「ほら、早く」

嫌々と首を振るローに急かすと無理矢理その手に服を握らせる。真っ赤な顔をして俯くローに、ちゃんと持てよ?と下がっていきそうな手に耳打ちした。
白い肌をピンクのファーが滑る様は何とも言えずいやらしい。それで乳首を撫でてやるとびくびくとローの腰が小刻みに震えた。俯く瞳には涙が溜まり、唇から洩れる息は熱い。

「ぁ、ん…キッド、ゃだ、もっ…」
「気持ちよくない?」
「ふ、むずむずして、ゃ…」

泣きそうになりながら内腿を擦り合わせるローに猫じゃらしをそっと避けてやる。あまり手触りがいいとは言えないファーに嬲られたそこは赤く腫れていて、小さな疼きをもたらしているのだろう。

「ここ、真っ赤になってる」
「ひっ、ぁ…」
「どうしてほしい?またこれで弄ってやろうか?」
「ぁ、それ、だめ…ふっ、キッドが、なめて…?」
「舐めるだけ?」
「っ、かんで、指も…」
「ははっ、いつの間にそんな淫乱になったんだよ」
「やっ、ちが…あっ、ひぅ…!」

否定するように首を振るローを遮るように腫れた乳首を口に含むと、もう片方をきゅっと抓んでやる。強めに吸い付いてぐりぐり指先で弄ってやるとローは堪らなそうに高い声を上げた。

「あっ、ひん…キッドぉ、そ、な、吸っちゃ…っ!」
「ん?もっと強くしてほしい?」
「ちが、ぁあっ!ゃあ、あっ、ひっ、」

相変わらず今日も感度は良好で、体を震わすローの期待に応えるように先程よりも強く吸って甘噛みしてやれば面白いほど腰が跳ねる。またその腰も撫で擦ってやれば、ローはぼろぼろ涙を流しながら首を横に振った。

幼い体で享受出来る快楽の限界は浅く、それでもそれを超えた快楽をいけないと分かっていても与えてしまう。

可愛い俺の猫。この小さな体の中に背徳と愉悦が交ざりあっている。

「ひゃ、ん…ぁ、キッド…っ!」

むずがるような声を出したローが俺の髪を弱く引っ張ったので唇を離してやる。先程よりもさらに赤く腫れたそこは痛いぐらいに充血していて、下から押し潰すように触れただけでローはびくびくと腰を揺らした。
感じやすくて可愛い体。この幼い体に性の悦びを教えたのは俺だ。そう思うと背筋が震えて、この猫が堪らなく愛おしくなる。

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