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 教室の天使

(兄×弟)


学校に着いて、鞄の中の教科書を机に移しかえているときに弁当を家に忘れたことに気がついた。
昼になって購買に行くのも面倒だし今日は抜きでもいいか、なんて考えていたら不意に「ロー!」と名前を呼ばれて。元々騒がしかった教室が女子の声でさらに騒がしくなり、扉に視線を向ければそこには見慣れた赤い頭。近寄っていけば、キッドは呆れたように笑う。

「ほら、これ。お前弁当忘れていったろ」
「あ、ありがと。別にわざわざ持ってこなくてもよかったのに」
「そしたらお前絶対昼メシ抜くだろ」

ただでさえひょろっこいのに…とぶつぶつ呟くキッド。今日は朝、別々に学校に来たから忘れていった俺の分も家を出て行くときに持ってきてくれたらしい。
それは別にいいけど。朝バタバタしててあんま話せなかったし、学校も一緒にこれなかったから来てくれて嬉しいけど。でもやっぱり、アレが嫌だ。ちらりと数席離れた、騒いでいる女子たちを見やる。

「…あのさ、」
「ん?」
「いちいち教室まで来なくていいから。つか来んな」
「何だよ急に…」
「別になんでも。ヤだから」

こんな言い方したら誤解されるって分かってるのに。でも素直になんか言えなくて、不審そうな顔をしたキッドにそれだけ言うと弁当箱を持ってさっさと席に戻ろうとした。だけどキッドに腕を掴まれて、許してくれない。その間も熱い視線を送っては楽しそうな顔をするクラスの女子。
嫌だいやだ。ちらりとその子達を見てから、再度キッドに視線を戻す。早く帰れよ、と言おうとしたけどその前にキッドが何やらニヤニヤと笑い出したからムカついた。だから腕を振りほどいてやろうとすればグイッと引っ張られて。そのまま教室を後にしてしまう形になる。

「なっ、離せって…!」
「いいからいいから」

急に引っ張るもんだから弁当箱も片手持参だ。痛くはないけれど振りほどけない程度の強さで腕を握られて、どんどん自分勝手に進んでいくキッドが気に食わなくて眉根を寄せる。
もう一度、離せよと言おうとしたところで、今は滅多に使わない旧棟の空き教室まで連れてこられてしまった。それと同時に鳴るチャイム。どうやら一限が始まってしまったらしい。

「キッド、って…ぅわっ!」
「あーもうお前めっちゃ可愛い」

教室まで来たらパッと腕を離されたもんだから、とりあえず文句の二つ三つでも言ってやろうとしたら突然ぎゅっと抱き締められて目を見開く。そんな俺には構わずに、甘えたような声を出して強く抱き締めてくるキッドの頭をバシッと叩きつけた。

「急に抱きつくな!」
「いやぁ…だってローがあの子達に嫉妬してたからさぁ」

可愛いなぁと思って。
そう言って笑うキッドにどんどん頬が熱くなる。バレてたんだ、俺がクラスの女子たちを気にしてたの。そう思うと居た堪れなくなってキッドの腕の中で暴れた。でも暴れれば暴れるほど抱き締められて逃れられなくなる。

「最初はいきなり何言い出すかと思ったけどな…俺って愛されてるわ」
「っうるさい、バカ!もう離せ!」
「やだ」

満足そうなキッドの言葉にさらに顔が赤くなる。何なんだよ、馬鹿、最悪。でもうっかり出てしまった本音はどうにも訂正できないらしい。
だって嫌だったんだから仕方ないじゃないか。キッドのことを見てキャーキャー騒ぐ女子たちが気に食わなかったんだから、仕方ないじゃないか。キッドは俺だけのものなのに、誰にも言えない。それで勝手にキッドのことを好きになって、勝手にキッドを見つけて騒いで、ムカつくから。
バカ、と小さく呟いて自分よりも逞しい胸板を叩く。それにキッドはだらしなく頬を緩めて、ホント可愛いと額に優しいキスを落とす。それだけで逃げる気力がなくなってしまう俺も俺なんだけど。

「なー、このままサボろうぜ」
「何言ってんだ、次の授業から出るからな」
「えー」

不服そうな声を出したキッドは唇を尖らせてまるで子供みたいに拗ねる。どっちが年上だか、なんてそんなことを思っていたらさっきまでのことがどうでもよく思えてきた。
拗ねたキッドの機嫌をよくする方法は多分俺が一番よく知っている。キッドの頬に手をあてると、ちゅっとその唇にキスをした。

「これで我慢しろよ」
「…じゃあもう少し」

そう言って今度はキッドから唇に触れてくる。柔らかくてふにふにしてて、キッドとのキスは気持ちがいい。だからすぐに何も考えられなくなるから、少しだけだぞ、と念を押して唇を重ねた。
最初はただ触れ合わせて、ぬくもりを分けるように。次には少し口を開いて舌を重ね合わせて。
二人きりの空間に、くちゅくちゅと唾液の絡まり合う音が響くのは恥ずかしい。ぎゅっとキッドに抱きつけば、しっかり支えられた腕に力がこもる。そのまま何度か重ね合わせ、最後に軽く唇を吸われて解放された。

「んっ、はぁ…」
「…かわい」

荒くなった息を落ち着けるように何度も酸素を取り込んで、その間もキッドは頬やら瞼やらにキスを落とす。
やっぱりしたのは間違いだったかも。ぼーっとする頭は普段と変わりなく、体にうまく力も入らない。そんな俺の顔を覗き込んでキッドは満足そうな声を出すと、近くにあった机の上に俺を座らせた。
そしてそのまま触れるだけのキス。少しだけって、言ったのに。それを何度も繰り返されて、また舌を絡め取られて。ちゅうっと舌を吸われると、そのゾクゾクした感覚に涙が浮かぶ。ぎゅっとキッドの制服を握り締めて、逃れられない舌に着実に追い詰められていく。

「んんっ、ふ、ぅ…はっ、ぁ…っ、キッ、ド、も…だめ、って…」
「いいじゃん。ローだって気持ちよさそうにしてるくせに」

少し離れた唇に、何とか言葉を紡ぐとふるふると首を横に振った。でもキッドはそんな俺の頬を撫でるとふっと笑う。
触れそうな距離で低く囁かれて、びくりと肩が揺れる。それをキッドは見逃さない。押し止めるように伸ばした腕の力もキッドには敵わなくて、ぐいっと距離を近づけられるとまた唇を塞がれる。

「ふぁ、っ!ん、む、んん…っ、」

絡まり合う舌に眩暈がする。キッドに撫で擦られる腰が熱を持ったように熱くて、脚を擦り合わせればゆっくりとシャツの中に入ってきた手にびくりと体が揺れた。
制止の声を出そうとするも、舌は相変わらずキッドに弄ばれたまま。上顎をなぞられて、頭の中がどんどん真っ白になっていく。
これじゃ駄目だと分かっているけど、体はどんどん流されていって抑えられない。息継ぎのために離される唇も一瞬で、できるのは強くキッドにしがみつくことだけ。

「んはぁ、っ、やっ、キッド、」
「嫌?」
「んっ、だめ、だって…ここ、学校…っ」
「こんなとこ誰も来ねェって。それにいま授業中だし」
「で、もっ…んんっ!」

ちゅっと離され自由になった唇で放った第一声はもちろん制止するためのもの。でもキッドは聞き流すばかりでまともに取り合ってくれない。
それどころか進入してきた手にきゅっと乳首を抓まれて思わず洩れそうになった声に慌てて口を押さえつけた。確かに今は授業中で、こんなとこ誰も来ないかもしれないけど、ここが学校であることには変わりない。声を出したら誰かに聞かれそうで、怖くてぎゅっと唇を噛み締める。
でもキッドはそれが気に食わなかったらしい。両方の乳首を強く抓まれて、思わず出そうになった声を強く手で押さえつけた。だけどぐりぐりと押し潰されて、爪でカリカリと引っ掻かれて、びくびく揺れる体が止められない。

「ふっ、ぅ、う…ん、ぁ、っ!」
「声出せって」
「やっ…」

首を振ってキッドを見つめる。こんなところじゃ駄目だって、という思いを込めたはずなのに、キッドはちゅっと目尻に口付けて涙を拭うとシャツのボタンを外し始めた。
慌てて止めようとすればその腕も優しく振り払われて、それでもとめようとすれば優しい声で名前を呼ばれる。優しいけれど抵抗を許さない声色にどうすることも出来なくなって俯いた。俯くと目尻に溜まった涙が落ちそうになる。ぎゅっと手を握って涙を堪えると同時に最後のボタンが外されて、露になった胸元にキッドがそっとキスをした。

「我慢できなくさせてやるよ」

にやりと笑ったキッドに乳首を口に含まれる。文句を言おうと象った俺の唇から嬌声が洩れ出そうになって慌てて唇を塞いだ。

「んっく…ふぁ、んんっ!」

形をなぞるように舐められて、ぷくりと勃ち上がった乳首を歯と舌で挟まれる。強く吸われたかと思うと甘噛みされて、もう一方はキッドの指で弄ばれた。指先で抓まれてくりくりと弄られる。強めに引っ張られたかと思うと尖らすように優しく下から上へと撫で上げられる。

「んっぁ、あぁっ…ひっあ!」

いつの間にか声も勝手に出ていて、止めたいけど止められない。キッドに赤く腫れるまで乳首を弄られて、俺はもうすっかり何も考えられなくなっていた。

「ひっ 、ぅ…きっど、も、ゃあ…」
「嫌?やめる?」
「ちがっ…」
「言ってくんなきゃ分かんねェよ?」
「ぁ、ぅ…っ、ふ、パン、ツ、よごれちゃ…」

途中からは快楽を追うことに夢中になっていたけど、それでもやっぱりなけなしの理性というのはあって。下着がぐちゃぐちゃになるのだけはいただけなかった俺は、何とかそれをキッドに伝えるとくすりと笑う気配が伝わってきて死ぬほど恥ずかしかった。
あんだけ嫌だって言ってたのになぁ?なんて意地悪をキッドにまた言われるかと思ったけど
、キッドは俺の目尻にキスして涙を舐め取ると何も言わずにするりとズボンを脱がしてくれた。

「あーあ、ここ染みになってる」
「やっ、さわ、な…っ」
「やらしい、ロー。乳首だけでこんな濡らしちゃったんだ?」
「ひっ、ちが…ぁ、あっ!」

そのまま下着も脱がしてくれると思ったのに。キッドはじっくりと俺のボクサーパンツを凝視しだし、濡れて色の変わってしまった先端部をくるくると弄る。それが何ともむず痒くて逃げるように腰を動かせば、がっしりと掴まれて逃げられない。
笑いながら耳元で囁くキッドに涙が浮かぶ。これ以上汚れる前に早く脱ぎたいのに。なのにキッドはぐりっと先端に爪を立てて、それに染みがさらに広がっていく。

「ふっ、ぁ、ゃだぁ、っ!」
「嘘吐いたお仕置き」
「あっ、ゃ、きっどっ!おねが、やっ 、んん!」
「このまんまだともう穿けなくなるかもなぁ…ほら、どんどん濡れてきた」
「んっひゃぁ!あっ、ぁ、ごめ、なさ、っ…ふぇ、ぬがし、て、おねが…」
「んー、どうしようかなー」

じわじわと広がっていく染みにキッドの声が拍車をかける。このままじゃ本当にぐちゃぐちゃになって着れなくなる。そう思と涙が浮かんで、キッドの手を押さえようとしたけれど全然力の入っていない手では押さえることが出来ない。泣きながらキッドの大きな手に自分の手を添えて、それがまるで自分でしているみたいで嫌だった。だからすぐに手を離そうとしたのに、何を思ったかキッドの手に掴まれる。そのままパンツの上から手を押さえつけられて、覆いかぶさるようなキッドの手に導かれるまま、自分の手がゆっくり上下に動いていく。

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