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 甘いだけの嘘より愛を

ごめん、悪いけどやっぱりさっきの発言は撤回したいと思う。あの変態と正面きって向き合おうとした俺が馬鹿だった。

「んぁ、ひっぁあ!やっ、ゃあ、っ…も、いけな、いけな、ぃ…あぁ!」
「本当にもうイけない?」
「ひっ、ぁ!ほ、とに、ゃっ、むりぃ…っ」

真っ赤に腫れあがった乳首を指と舌で弄ばれながら、前立腺を強く突き上げられながら、だらだらと先走りを溢す精液塗れの自身を抜き上げられながら。あれから何回イかされたか分からないほど。
いつもより激しすぎる行為に頭も体もついていけなくて、もう限界だった。何も考えられなくて、与えられた強い刺激に体を震わせながら泣きじゃくるだけ。度を越えた快楽はただの苦痛でしかない。

「ぁ、ひっん…きっどぉ、ほ、とに…できなっ…」

ぼろぼろ溢れる涙で視界は歪み、これ以上は無理だと必死で首を振るとキッドの手が頬に触れる。宥めるように額にキスされて溢れる涙を舐め取られて、ぎゅっと強くしがみついた。
額の次は唇にそっとキスされる。窺うように入り込んできた舌にゆっくりと絡め取られて、強張っていた体から全身の力が抜けていった。
優しいキスに絆されて、もう無理だと分かってくれたのかもしれないと思ったのも束の間、ぐちゃぐちゃになった自身をいきなり掴まれてびくりと腰が震えた。

「んぅ、ふっ…ん〜〜っ!」

次には掴んだそれを勢いよく抜きあげられて目を見開く。許容量を超えた快楽に頭の中が真っ白になっていった。だけど唇は塞がれていて言葉は紡げない。力も入らないからキッドの成すがままで。
緩急つけて抜きあげられて、ぐちぐちと先端を集中的に弄られる。弱いそこを容赦なく刺激されて、結局その手に高められて達するのに早々時間はかからなかった。

「ふぁっ…、っん…は、…」
「…嘘吐くなよ、ロー」
「はっ、ん…?」
「まだイけんじゃん」

ちゅ、と唇を離されて唾液が糸を引いていく。その様子をぼんやりと見つめながら呼吸を落ち着けようと息を吸っていたら、ほら、とキッドの掌に吐き出された僅かばかりの精液を見せつけられてびくりと体が震えた。ぺろりとそれを舐めたキッドが呟いた言葉にじわじわと目尻に涙が浮かんでいく。
本当にもう出来ないから、と泣きながら縋りついたけど聞き入れてはくれなくて、その代わりソファに押し倒されていた体を起こされると向かい合わせにキッドの脚の上に座らせられる。ズプリと奥深くまで入るその体勢にキッドにしがみついてぼろぼろと涙を溢した。

「ひっぁ、あ…!や、これふかぃ、っ、」
「奥まであたって気持ちいいだろ?自分で好きに動いてみろよ」
「やっ、できな…っ」
「駄目。早く」

本当はもっとぐちゃぐちゃにされたいくせに、とくつりと笑って囁かれた言葉に違うと首を振ったが、そうすればまた嘘だと言われてしまってどうしようもない。
まさにエイプリルフールを逆手に取られた状態だ。何を言ってもキッドはそれと逆の言葉を取った。
それでもこれ以上動いたら本当におかしくなりそうで、唇を噛んでじっと堪える。でもそしたら、動かねェならずっとこのままだぞ?と脅しに近い言葉を囁かれて。じわりと涙を浮かべる俺に気づいたのか、自分でイけたら終わりにしてやる、と優しく囁かれて目尻にキスされた。

「いけた、ら…っ、おわりに、してくれる…?」
「ちゃんと上手に出来たらな」

確かめるように繰り返すとキッドが目尻にキスをする。終わりにしてくれるならこの際何でもいい。囁かれたその言葉にこくりと頷くとゆっくりと腰を動かした。

「んぅっ、ふぁ、あ!」
「っそんなんじゃイけねって。もっと動かせよ」
「ひっ、ゃ、だめっ…ぁああ!」

自分で動いたはいいが、あくまでゆっくりと動かしていれば気に入らなかったらしくキッドにパシッと尻を叩かれた。それでも首を振って拒否を示すといきなり腰を掴んで持ち上げれて、何の前触れもなく手を離される。ズプズプッと勝手に重みで沈んでいって、突如与えられたその強い刺激に目を見開いた。

「ゃあ、ごめ、…!ちゃ、と動く、からぁ、っ」
「そうそう、ちゃんと、な」

くつりと笑ったキッドに目尻にキスされて、その囁かれた言葉に何度も頷く。
いいこだな、と頬を撫でられて、キッドの首に抱きついて凭れていた体を何とか起こすと肩に手を置いた。ぎゅっと肩を掴むとキッドが目を細める。まるでそれが合図かのように腰を大きく動かした。

「ひぁあっ!んっ、あっあっあ!」

腰をギリギリまで上げて引き抜くと一気に沈める。粘着質な音を立てながらキッドのモノが出入りする度に、壊れてしまいそうなぐらい気持ちよくて頭が真っ白になった。それを何度も何度も繰り返して、快楽と苦痛だけに飲み込まれてしまいそうになる。

「あっぁあ!ひっ、だめぇっ、も、いっちゃ…〜〜っ!」

ぐちゅんっ、と勢いよく腰を下ろした瞬間絶頂に襲われた。びくびくと体が震え、申し訳程度に吐き出された精液に息も絶え絶えぐったりとキッドに寄りかかる。
よくできたな、とキッドに頭を撫でられて力の入らない体でぎゅっと抱きついた。呼吸を繰り返し、息を落ち着けようとする俺を手伝うように耳にキスを落とされて、ゆっくりと腰を撫でられる。
気を抜いてしまえば瞼が落ちていきそうだった。ぐったりとした疲れが心地よい眠気へと導いていて、それに逆らわずに眠ってしまいたくなる。
だけどまだ挿れたままだったキッドのモノが中で軽く動いてびくりと腰が跳ねた。それはまだ確かに硬さを持っていて、そう言えばさっきの律動で中に出された記憶がない。この際手でも口でもシてやるから抜いてほしい。

「ゃ、きっど…っ、はや、く…」
「動いてってこと?」
「ひゃ、ん!あっ、ちが、やぁ!おわり、にするってぇ…!」
「今日は嘘吐いてもいい日じゃねーの」
「っ、ふぇ…も、だめっ、ゃあ…おねが、ぁああ!」

くつりと笑って愉しそうに囁いたキッドの言葉にぼろりと新しい涙が溢れ出る。こんなの酷い、だってせっかく頑張ったのに。
ふるふると首を振ってキッドを見上げて懇願したけど、ぐちゅりと腰を動かされてすぐに言葉を紡げなくなる。数度出し入れされたあとに、何を思ったか体勢を変えられた。今度は俺がソファの背凭れに体を預ける番で、キッドはぐったりと寄りかかる俺の脚を掴むと肩に乗っける。ぐんっと奥を突かれて仰け反った首に噛みつくようなキスをされた。

「ひぁっ、あぁーっ!やぁ、も、ゃらあっ!」
「嘘吐くなって。ちゃんと出なくなるまでイかせてやるから」
「ゃ、だめ、こわれちゃ…あっ、ほ、とに…ゃああっ、おかし、なるぅ…〜っ!」
「なれよ。気持ちいいの好きだろ?」
「ひぅ、すきぃ…あっ、きっど、きもち…っ、ぁあ!」

もう自分が何を言っているかも分からなくて、耳元で囁かれた言葉に全部誘導されるように頷いた。
その度に激しく奥を突かれて頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。本当に壊れてしまいそうで、何とか繋ぎ止めようとキッドの背中に爪を立てた。
だけどそれで堪えられるはずがなくて、快楽に支配されて力の抜けた体がずるずると崩れていく。その中途半端な体勢が苦しくて眉根を寄せていれば、気付いたらしいキッドに額にキスを落とされて体をキッドの方に引っ張られた。
ずるりと背凭れから落ちた背中は今度はソファの座るところに預けられて、脚はキッドの肩に乗ったままだから軽く逆さまな気分になる。どこぞのAV女優がしそうな格好に一気に顔が熱くなった。

「ソファ使うと体硬くても出来るんだな」
「っ、ゃ、きっど、これゃだ…っ!」
「何で?全部丸見えで恥ずかしい?」

感心したように呟いたキッドの言葉と今の体勢をまじまじと見つめる瞳に羞恥を煽られて余計に頬が熱くなる。くつりと笑って囁かれた言葉に素直にそうだと頷いてやめてほしいと言ってもキッドは聞き入れてくれないだろうから、その代わりにぎゅっと目を瞑った。
今の体勢は散々強要されたことがあるやつだけど体が硬くて出来ないのをいいことにしてこなかったもんだから、ソファを使ってうまくされたことが死ぬほど恥ずかしい。眼前に全て晒け出されていて、結合部も出入りするキッドのモノも全部俺の視界に入ってくる。だけど抵抗するだけの力もないから目を瞑ることしかできない。

「はっ、ぁあ!ゃっ、ひぁあ!」
「ロー、見てみろよ。…お前のここ、ひくひくしてすっげェやらしい」
「ゃだあ、いわな…!」
「抜こうとすると締め付けてくるし。…体は相変わらず正直だよな」

淫乱、と呟かれてびくりと体が震える。もうどこもかしこも限界で、その上キッドに羞恥を煽るようなことを揶揄されてしまえばもう堪えられない。
ぼろぼろと涙を溢していれば、キッドの指先が優しく掬う。目開けて、と穏やかな声で囁かれて恐る恐る目を開けた。
涙で滲む赤色が、いいこだな、と額にキスをしてくれる。

「これで終わりにするからちゃんと見てろよ」
「ゃっ、も、いけな…」
「出せなくてもドライでイけるだろ?」
「ひぅ、そ、なっ、ゃら…おかし、なる…」
「なれよ。そんなことも考えられないぐらい気持ちよくしてやるから」
「ゃ、だめっ…ひっ、ぁあ!」

ぐちゅりと腰を動かされてあとはもう何も言えなかった。唇から出てくる言葉は全部はしたない喘ぎ声に変わって、涙を溢しながら首を振るだけ。
意味をなさない音と水音が部屋に響き渡る。つけっぱなしのテレビから笑い声が聞こえてきて、そこだけが現実を映し出していた。

「んぁ、あっ!ゃ、きっど、も、だめぇ…!ひっ、いく、っいくぅ…!」
「はっ、…っ、俺も…中に出すぞ、っ」
「あっ、んん、だして、っ…きっどの、ちょーだ、い、っぁああ!」

腰に爪が食い込むくらい強く掴まれるとガツガツとぶつけるように腰を動かされて頭の中がちかちかした。何も分からないまま絶頂へと追い詰められて、そのすぐあとにキッドの呻くような声が聞こえて腹の中が温かいものが吐き出される。
頭の中が真っ白になって、動きが止まったあとも正常な思考が働かない。キッドの肩に乗っけた脚がびくびくと震えて、暴力に似た乱暴な快楽の余韻を味わった。

「っ、ん…ぁ、あ…」
「…ロー?」
「は…っ、…」

唇を薄く開いて、呼吸だけはいつもするように取り入れた。だけどそれ以外はまるで自分の体じゃないみたいに言うことを聞かせることが出来なくて、キッドに呼びかけられてもロクに返事も出来ない。
さすがにやりすぎたと気付いてくれたらしい。罰の悪そうな顔をしたキッドがゆっくりと俺の中から抜け出ていく。押さえをなくしたそこからキッドの精液が尻を伝ってソファに垂れていくその感触も鮮明も感じてしまって腰が震えた。

「悪ぃ、ロー…やりすぎた」

キッドが頭を掻きながら何か困ったように呟くのが聞こえたけど、もうそれがどんな意味であるのか分からない。どんどん意識が遠のいていって、いつのまにかぷつりと真っ暗になった。




目を覚ましてぼんやりと辺りを見回すとそこはキッドの部屋だった。部屋には明るい電気が点けられていて、眩しくて目を細める。
どうやらもう夜みたいだ。意識なくしてぶっ倒れてから大分時間が経っていたらしい。

「起きたか?」

少し身じろぐとぎしりとベッドが軋んで視界が陰る。電光を遮ったキッドが俺を覗き込んでいて、答える代わりにゆっくりと手を伸ばすとその頬を思いっきり抓った。本当は殴ってやりたかったけど、思った以上に体に力が入らなかったから。

「死ねよお前…」

むしろこっちが死ぬかと思ったぐらいだったけど、それ以上言う気力もなかった。声も掠れてうまくだせないし、唯一いつも通りなのは体が綺麗なことぐらい。
それを聞いたキッドは少し罰の悪そうな顔をした後、悪かった、と呟いた。キッドに優しく手を離されて額にキスされる。無茶させすぎたと呟かれた言葉に本当だよと思ったけど疲れるから口にはしなかった。

「最後マジでドライでイってたしな」
「…うそだろ」
「マジ。褒めてやろうと思ったらお前気絶してんだもん」

だけど次の瞬間キッドが言い放った言葉には声を上げざるを得ない。否定を促すように目を開くと、さすがにやりすぎたと思った、とそれを打ち砕くように続けられて沸々と羞恥が込上げる。
悪かったと謝りつつもどこか愉しげな顔をしたキッドに、怒りと羞恥が綯い交ぜになってキッドの胸を叩いた。効き目がないと分かっていても暴言を吐き捨てて殴りたくなる。
そんな俺をキッドは抱き締めると宥めるように頭を撫でて、調教の賜物だな、と囁いた。

…よし、体力全回復したら殴り殺しにしてやろう。

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