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 友達以上、恋人以上…?

「ふっ、ユースタス屋、擽ったいって」
「いいだろ。愛情表現だ」
「ははっ、きめぇ!」

そこにはふざけたように言い合いながらも、ローさんの額や頬にキスを落とすユースタスがいた。

「っ、ちょ…!さっきから二人でなにしてんですかホントに!」
「なにって…じゃれてる?」
「キスしてる」
「そりゃお前だけだろ」
「じゃあトラファルガーもしろよ」
「えー、しょうがね」
「ちょ、ちょちょっと待ってください!…あの、もしかして二人とも…付き合ってるん、ですか?」

もうこれ以上目の前でいちゃつく二人なんて見てられない。その思いだけを一心に、恐る恐言葉を紡いだ。
何故かこの光景を見せつけられても全く普通なペンたちはそんな俺にやれやれと言うように顔をしていて、ローさんたちはお互いに見つめあっている。
ポンポンと頭を撫でられて、あいつらにはあんま関わらない方がいいぞ、と呆れたようにペンに囁かれたのも束の間。

見つめあっていた二人は何故か大爆笑していた。


「ふっ、あははは!聞いたかユースタス屋、今のセリフ!」
「っ、くくっ、その発想はねェよなぁ?」
「…え、…あの、」
「「俺とこいつが付き合ってる訳ねーだろ」」
「あ…え、…はい?」

いきなり大爆笑されてポカンとしたのは言うまでもないが、次にはお互いの口から同時に出てきた言葉に唖然とした。いや、させられた。
だってだって、あんなに「恋人同士がやるようなことだよねこれって」と思えるようなことを目の前で散々やって、あまつさえキスまでして。しかもお前からも、なんて強請り強請られ仕方なさそうな口調をしつつもノリノリで頬に触れて唇を寄せる友人同士がいるだろうか。
それってつまり俺とペンとか俺とキラーがそういうことやってるってことでしょ?お互い何の違和感もなしに。
いやおかしいって。だって男同士でしょ?え?

以上のように俺の脳内はすっかりフリーズしてしまい、だけど当の二人はそれを気に止める様子もない。むしろそれで会話は終わりだと言わんばかりに俺は放置でまた二人の世界だ。
それでも何とか立ち直って、あの二人の意味の分からない関係性についてペンに聞いてみようとしたらまた会話が耳に入ってきてしまい、自ずとそちらに耳を傾けてしまう。

「なー、ユースタス屋ぁ、明日お前んち泊まってもいい?」
「いや、明日無理だわ。来週ならいいけど」
「こんな可愛い俺の願いを断る気か?」
「自分で可愛い言うな。明日は彼女が泊まりに来るから駄目なんだよ」
「なんだ、まだ付き合ってたのか。意外と長いな、ユースタス屋のくせに」
「俺はお前と違って簡単に別れたりしねェの」
「いやにスタイルがよくて胸がでけぇやつしか選ばねぇくせに…」
「黙れ面食い」
「顔が大事だ。だから俺ユースタス屋好き」
「お前はちょっと細過ぎるな…ちゃんと食ってんのかよ」
「なに、気に入らない?」
「んなこたねェよ。ただ抱くときマジ折れそう。…なあ、来週泊まりに来いよ。飯作ってやる。どうせろくなもん食ってねんだろ?」
「えー、明日じゃなきゃやだ。来週にはもう気が変わってるかも」
「別にいいだろ我儘め。…久しぶりにヨくしてやるから」
「ふふ、自分がしたいだけだろ。変態め」

とりあえず会話の流れを聞いてて思ったことは、ユースタス彼女いるんだ、とか。そう言えばローさんはこの間言ってた人ともう別れたのかな、とか。
最後の会話は何となく良からぬことを想像してしまいそうなんだけどまさかね、まさかそんなことないよね、とか。…意味が分からない。

「…ね、ペン」
「ん?」
「なんであの二人彼女いんのにいちゃついてんの?キスとかしてんの?男同士だよね?あれ、でもイケメンってなにしても許されるんだっけ?」
「大分混乱してるみたいだけど落ち着け」
「無理だよ!どうしちゃったの?ローさんとユースタスはさあ!」
「どうしたって…結構最初からあんな感じだったけどな。あそこまで顕著になったのは高校入ってからだけど。…やっぱシャチは気づいてなかったのか」
「…え、え?じゃあペンもキラー最初から二人がああなる予想してたってこと?キスしたりなんだり…」
「そこら辺はまあびっくりしたけど、してもおかしくはないような雰囲気は出してたからな」
「でも恋人…じゃないんでしょ?なんなの?あれって友達って呼べんの?」
「さあな。仲がいいんだろ」

いやいやいや。仲がいいにも程があるって、と思ったがペンはこの二人に対して興味があまりないらしい。俺としてはなんで興味がないのかそのほうが不思議なんだけど。
そう思っていたら、見慣れてるし見飽きたぐらいだからもう気にならないんだ、とキラーが俺の複雑な表情を読み取って教えてくれた。そんなに他人の前でいちゃついてるの、あの二人。

「もう何してようと空気だよな」
「勝手にしてろって感じに近い」

毎度よく飽きないよな、と肩を竦めたペンにキラーが苦笑する。
ということは、俺はこれからこの意味の分からない、胸焼けするような光景と毎日直面しなければならないということだろうか。

傍らには穏やかに談笑するペンとキラー。その反対側にはひたすらいちゃつくローさんとユースタス。
俺が望んでたのはこんな昼休みじゃなかったはず。とりあえず誰かこれについて納得できるように説明してよ!




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