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 歪曲シンドロームの腐敗

そのまま手を下に降ろすと首筋に指を這わす。衝動的に噛みつきたくなったが止めた。今のユースタス屋を起こしてしまうのは、何だか酷く勿体無いことのように思えたからだ。
弄っていた手を離すと息を吐いた。噛みついたらきっとユースタス屋は起きる。
そっと手を伸ばして、もう一度首筋に手を触れた。少しだけ距離を縮めると首筋に噛みつく。つぷ、という皮膚の破ける音が妙に耳についた。この部屋が静かすぎるからだろうか、それとも。
不意に頭を掴まれて首筋から無理矢理引き剥がされる。目線を上げれば怪訝そうなユースタス屋。つまらないから起きるなよな。そう言えば馬鹿言え、と眉間に皴を寄せられた。

「人が大人しくしてりゃあ好き勝手しやがって」
「なんだ、起きてたのか?」

今度はこっちが眉間に皺を寄せる番だった。文句を言えばユースタス屋はさも迷惑そうな顔をする。その間も首筋から伝う赤。
自分の文句もそこそこにユースタス屋は傷口に触れた。相変わらず血が流れている。何だか赤くて綺麗だった。
そっと顔を寄せるとそれを舌で舐め取る。口の中で広がる鉄の味。血はつくづく不味いと俺は思う。ユースタス屋の血は綺麗だったしそれならとも思ったけど、でもやっぱり不味かった。これはどうしたって不味いのかもしれない。

傷口を抉るように舌を這わすとユースタス屋が小さく呻いた。何だかそれに酷く興奮したのを覚えている。

「何がしたいんだテメェは」
「分かんね。セックス?」

さっき散々しただろ。
そう言ったユースタス屋は俺の上に跨っている。言動と行動の相違に俺は薄く笑った。興奮したのか?と問えばさぁな、とユースタス屋は口元を歪める。
傷口に手を触れると背中に腕を回した。口の中は相変わらずユースタス屋の血で満たされている。どうせならば全部、とも思ったけど背中に爪を立てるだけで許してやった。ああ、でも。

舌にお前の血が絡み付いて不愉快だ、どうにかしろ。煽るように笑ってそう呟くと、ユースタス屋は可愛くねェなと毒づいて噛み付くようなキスをした。




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