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 教室の天使

「あっ、あ、ゃだ、やっ、」
「っ、やべ…その顔超かわいい」
「ひっぅ、…きっど、やだぁ…っ」
「でもローのここは気持ちよさそうだけど」

ほら、聞こえる?とキッドに囁かれて、次いで少し早く手を動かされる。途端にぐちゅ、ぐちゅと響く音とじわじわと掌が濡れていく感触。それに目を見開いたのは言うまでもない。

「ふぁ、あっ!や、きっど、ゃだ、はなしっ…ひっぁ!」

だけどどんなに首を振ってもキッドはやめてくれない。涙腺を押し上げてきた涙がポロポロと頬を伝っていく。涙を拭う指先も瞼に落とされるキスも優しいのに、イきたかったらイってもいいから、と笑うキッドはひどく意地悪だ。
ここでイったら本当に汚れて使えなくなる。こんな状態ならイってもイかなくても同じなのに、まともに考えることが出来なかった俺は必死にイきそうになるのを我慢していた。それはキッドにも伝わったと思う。我慢するなよ、と優しい言葉とは裏腹に指はぐりぐりと先端を責め立てる。

「あ、ぅ、ゃだ、やっ、イっちゃ…もっ、イく、からっ…はなし、てぇ、っ!」
「だーめ。離さないでおいてやるから、ほら」
「ひっぁ、ゃだやだっ、っ!ふ、あぁっ、〜〜!」

結局俺の言ったことは聞き入れてもらえず、びくびくと腰が大きく揺れると同時にじわりと掌に広がっていく生暖かい感触にくしゃりと顔が歪んだ。泣きたくなったし、実際ぼろぼろと涙が頬を伝っていく。
ばか、ばか、キッドのバカ。最低。涙混じりに呟けば、キッドの大きな手がゆっくりと涙を拭っていく。それを振り払うことも出来ないで、俺はぐずぐず鼻を鳴らし、キッドがごめんと少し困ったように謝る声を黙って聞いていた。

「泣くなって…あとでコンビニ行って買ってきてやるから」
「ふっ…」
「ごめん、意地悪しすぎたな。もうしないから」

ローの反応が可愛くて虐めすぎた。そう言って苦笑するキッド。流されまいとは思っても、結局はもうするなと念を押すだけに終わってしまう俺も大概甘い。分かったよと頬にキスされるとそれだけで少し機嫌も直ってしまう。
キッドに抱き締められて、あがった息を落ち着ける。でもすぐに濡れた下着の感触が気になって、気持ち悪くて脚を動かせば気づいたキッドにするりと下着を脱がされた。

「たくさん出したな…昨日もしたのに」
「やっ、いうな…っ」

脱いだ下着にべとりとついた精液を見て、くすくす笑みを浮かべたキッドにまた涙が込み上げる。そんな俺にキッドはごめんと笑いながら謝ると額にキスをした。ホント可愛い、と目尻にもキス。別に可愛いなんて言われても嬉しくないけれど、そんな俺の気持ちとは裏腹に頬は熱を持っていくのだからどうしようもない。

「…なぁ、ロー」
「な、に…?」
「挿れてもいいか?」
「っ、だめ、だって…舐めるから、それじゃだめ…?」
「もうそれじゃ我慢できねェ。…ローの中でイかして」

ぼそりと耳元で囁かれた言葉に背筋が震える。だってそんなのずるい。ダメなのにダメだって言えなくなる。ここは学校で、そんなことしちゃいけないのに。いつ誰が来るかも分からないし、もし、誰かに見つかったら、

「ロー?…だめ?」

っ…キッドのバカ、本当、ずるい。

「一回…だけ」
「一回?」
「それ以上はしない…絶対一回だからな!」

念を押すようにそう言うと、キッドは少し不服そうな顔をしたけど文句は言わなかった。その代わり「じゃあ超気持ちよくしてやる」なんてぼそりと呟く。俺はそれに何も言えずに、ただ顔を赤くさせて黙って俯くとキッドに強く抱きついた。


くちゅ、ぐちゅ、と辺りに音が響く度に背筋が撓って溢れ出る声が止められない。
掠れた記憶は二限のチャイムが鳴ったところまでしか意識を繋ぎとめておらず、一体教室を抜け出てきてどれほど経ったのか全く分からない状態だった。少し何か考える素振りを見せようものならキッドの指が容赦なく奥を抉るから何も考えられない。真っ白になった頭で抱きついて、無意識のうちに腰を振って更なる快楽を求めてしまう。

「んっぁあ、ひっ、あ!やっ、そこ、ゃあっ!」
「ホント好きだなー、ここ」
「やっ、ちが…ひぁあっ!ゃめ、だっ…ふぇ、いっちゃ、また、きちゃ、う…〜〜!」
「我慢すんなって…好きなだけイけよ」
「あっ、ゃだやっ、――っ!!あぁっ!」

好き勝手に動き回る指は前立腺を遠慮なく突き上げる。それに逃げることもできないで、キッドにしがみついて首を振るたびに涙か汗かよく分からない液体がポタポタと流れ落ちた。誰かが来るかもしれない、なんて考えは当になくなっていて、制止の声も意味を成さないままキッドの手で二度目の絶頂を迎えた。

「んんっ、ふ、ぁ…はっ…」
「はっ…エロ。やべェわ、もう挿れてもいいよな?」
「あっ、ゃ、まっ、っあぁあ!!」

達したばかりで余韻に浸るどころかまだ息も落ち着けていないのに。低く掠れた声で囁くキッドはギラギラとした目で俺を見つめて、涙交じりの抵抗は呆気なく無視される。しっかり掴まれた脚に逃げることは以ての外で、突如入ってきた指とは比べ物にならないほど熱く質量を持った熱の塊に奥を突かれてびくりと背筋が仰け反った。

「っ、あぶねって…ちゃんと掴まってろよ」
「ひっ、ぁ、だっ、てぇ…きっど、が、っんぁあ!」
「俺が、何?」
「きゅ、に、いれっ、っあ、あぁ!そこ、やあっ、ゃらっ!あぁっ!」
「ここに欲しくてしょうがなかったくせに…っ、中、すげェよ?絡み付いてきてさ、離そうとすると、」
「あっ、ひっあぁ!やぁ、ぬかなっ…んんっ!」
「ほら、すっげェ締め付けてんの自分でも分かるだろ?…ここもヒクヒクしてる」
「やっ、ゃだぁ、いわな、で…!あっ、それ、やっ、ぁ、あっ!」

キッドは耳元でくすくす笑いながら何度も恥ずかしい言葉を繰り返して、先程のまでの激しさは微塵も見えないほどのゆっくりとした動きで打ちつける。ギリギリまで引き抜いて、また入れて、その緩慢な動きに自分でも物欲しそうに締め付けたり動かしたりするのが分かるぐらい。
それが恥ずかしくて嫌なのに、キッドはやめてくれないどころか自覚させるように何度も何度もそれを繰り返す。耳を塞いでもすぐに取り払われるだろうから、こんな赤くなった顔を見られないようにキッドの肩に顔を埋めてぎゅっと抱きついた。あとから流れる涙がキッドの肩を濡らすのも気にならないくらい強く。

「ふぇ、っ、いじわ、る、しな、って…っ、いった、に…」
「…じゃあどうしてほしい?」
「っ、やっ、」
「言わなきゃ分かんねェって言っただろ?」

その言葉自体がもうすでに意地悪だ。キッドも俺がどうしてほしいかなんて知ってるくせに。
でもやっぱりその声色は優しくて、涙を拭う手にゆっくりと顔を上げさせられる。目尻にキスをされて、濡れた唇にも一つ。言って、と甘い声で囁かれて、理性がぐずぐずに溶けていく。

「も…うご、て…」
「ん?」
「ちゃ、と…うご、て…っ!」
「それじゃ分かんねェなァ」
「っ、ふ、ぅ…はげし、く、して…いっぱ、奥、つい、て…」
「…それだけ?」
「っ!…も、やぁ…っ」
「やじゃないだろ。ほら、イきたくねェの?」
「ふ、ぇ…イかせ、て…白、の…いっぱ、い、出した…っ、ひっ、く、…」

ピタリと動きを止めてしまったキッドは俺が言うまで本当に何もしてくれなくて。恥ずかしくて、でもしてもらいたくて、ボロボロ泣きながらキッドに懇願する。
自分の言葉にひどく羞恥を煽られて顔が熱い。こんな顔見られたくないのに、隠そうとすればキッドの腕が伸びてきて妨げる。そしたら可愛い、ロー、かわいい、とそんな言葉を囁かれて瞼の上にそっとキスをされた。

「ちゃんと言えたな。いいこ」
「ふっ、きっどぉ…もっ、…」
「分かってるって。何も考えられないぐらい気持ちよくしてやるからな」

ちゅっと耳にキスを落とされて、キッドにぎゅっと抱き締められる。この羞恥から解放されるならと言われるままにコクリと頷くとキッドに抱きついた。
そうすれば緩やかに律動が開始されて、体が熱を帯びていく。次第に激しくなっていく動きに響く水音やらぶつかる肌の音がひどく恥ずかしかったけど、そのぐらいになるとキッドの言葉通りもう何も考えられなくなっていて。唇からは引っ切り無しに甘ったるい声が洩れ出るだけ。聞きたくなくてキッドの唇にぶつければ激しく貪られてもう何が何だか分からないほど。
唾液で口元を汚して、顔も涙でぐちゃぐちゃで、クーラーも何もない、二人だけの真夏の教室でするこの行為がクラクラするほど気持ちよかった。

「ひっ、ぁあ、あ!やっ、ゃらぁ、いっちゃ、…あぁっ、も、きっどぉ、っ!」
「ん、俺もやばい…っ、一緒にイこうな?」
「ふっ、ぅん、あ、あーっ!や、もっ、きっど、でちゃ、ぅ、〜〜っ!」
「ロー…っ、中に、出すぞ…っ」
「んっ、ちょーだ、い…、きっどの、奥に…っ、あぁ、あっ!!」

指が食い込むぐらい強く腰を掴まれて、ギリギリまで引き抜いた後、最奥に叩きつけるような動きに頭の中が真っ白になって、気づいたら達していた。それと同時に感じる吐き出された熱にぶるりと体が震える。

「ぁ、はっ…ん…」
「…ロー、大丈夫か?」
「んっ…きっど、の…あつ、い…」
「っ、お前なぁ…」
「ふ、ぁ!?や、なっ、でぇ…!また、おっきく…っ」
「だからそういうこと言うなって…あー、もう、付き合えよ。お前のせいだから」
「やぁっ、一回、って…ひっあ!ゃだっ、動く、なぁ、おっきく、するなっ、!」
「もう無理。あと一回だけ」
「ばかっ、やめ…っ、あぁ、あっ!」

もう無理なんてどう考えてもこっちの台詞だ。だけどそんな言葉も口に出来ないほどすぐさま快楽の波にのまれてしまう。
やなのに、と泣きながらキッドに縋りつけば強く抱き締められて、少しだけ、と囁かれて唇を塞がれる。文句も嬌声も全て飲み込まれて、飛びそうな意識の中で与え続けられる快楽に、そこでぷつりと意識が途切れた。



「…マジで最悪」
「だからごめんって」
「ごめんじゃねぇだろ!歩けねぇしズボン汚れるし…!」
「タオルあっただけマシだろ?」

意識が浮上し、理性を取り戻せたのはちょうどキッドが後処理をしているときだった。濡らしたタオルで汚れたところを拭っていくキッドをぼーっと見つめていたが、次第に腰の痛みやらむちゃくちゃされた怒りやらが湧き出て案の定この結果だ。謝るキッドにぶつくさ文句を言いながら腰をする、いつもの光景。

「つーか中に出すなよ…」
「中にいっぱいちょーだいって言ったのおま」
「あああ!言うな!馬鹿死ね消すぞ!」

言った後にしまったと思ったがやはりキッドはスルーしてくれず、言い終わる前に耳を塞いで自分の言葉で遮った。にやにや笑っているキッドを目前にして顔がどんどん熱くなる。何だこの羞恥プレイ!
「もう絶対学校でしないからな!」
「まっ、早まるなって俺が悪かったから…」
「うるせぇ馬鹿!しないっつたらしない!」
「マジか…次はバイブ挿れてやろうと思ったのに…」
「お前本当に死ねよ」

その後はもう授業受ける気力もなくなったってことで、結局キッドと一緒にサボることにした。




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