どれほどその声を待ち望んだことか。
そこにいたのはユースタス屋だった。自分で望んだことなのにうまく信じられなくて。
夢じゃないかと、見間違えじゃないかと目を擦ろうとして、そこで初めて自分が泣いていることに気付いた。
「…ユースタス屋」
「おう」
「ほんとに、ユースタス屋なのか?」
「本当に本当だ」
俺はここにいる、と笑ったユースタス屋の指が優しく俺の涙を拭う。
ああ、ああ。
どんなに願っても触れることのなかったあの指が。確かな温もりをもって俺に触れている。
「ユースタス屋」
「ん?」
「ユースタス屋、ユースタ…っ」
「…泣くなよ、ロー」
独りにしてごめんな、と言ったユースタス屋に何も言うことが出来なくて、ただ必死に頷くとぎゅっと服を握り締めた。
涙を拭う指先が、頭を撫でる掌が、優しい声色が、少し困ったような笑顔でさえも、何もかもが全部嬉しくて、ここが通りのど真ん中だとかそんなことは気にせずにただこの気持ちをユースタス屋に伝えたかった。
それで抱き締められてキスしたい。ユースタス屋に言わなきゃいけないこともたくさんあるんだ。
「っ、ひ…く…ユ、スタス、屋…」
「…ん?」
「っ、ふ……す、きだ、」
ああ、でもいまはこれだけで。