別によそよそしいとか避けてるとかそういうのじゃなくて、本当に些細な、いつも通りだろと言われてしまえば頷くことしか出来ないような、そんな小さな違和感があった。
例えば俺が目の前いるのに自分の世界に入って考えごとをしていたり(この言い方は何か語弊がある気がするけど実際ユースタス屋は俺がいる空間で俺そっちのけで自分の世界に入るなんて事なかったから)、呼び掛けても反応しなかったり。かと思えば必要以上に甘えてきたりジーッとこちらを見つめてきたり。何だかよく分からない。(ある意味いつものことだけど。)
課題をこなしていたはずなのに、急激な睡魔にいつの間にか襲われて眠ってしまっていたらしい。うとうとと覚醒仕切らない頭で頬に触れる感触がテーブルにしては何だか柔らかいような気がした。
もしかしなくてもユースタス屋がベッドまで運んでくれたらしい。暢気に寝てないで起きて終わらせなきゃと思うけど睡魔に勝てる気がしない。それにさらさらと頭を撫でる感覚が心地よくて結局また夢の世界に逆戻りしてしまいそうになる。
ユースタス屋の手が滑るように頬に触れると何だか擽ったい気分だった。それでもうつらうつらした思考回路ではそれすらも眠気を助長させるものでしかなくて、課題はあとでもいいか、とか思わせる。全くユースタス屋にはお手上げだ。
もう少しだけその感触を味わっていたい気もするけどその感触を味わったまま眠りに落ちたい気もする。そうしてプツリと意識が途切れる前、ユースタス屋が何か呟いた気がしたけど聞こえなかった。