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(現パロ、最初だけ裏表現有り。)


ユースタス屋はいつだって自分勝手だ。


「んっ、はっ、はぁ…やっ!?あ、まっ、まって、…ひっ、ぁあ!」
「てめェばっか気持ちよくなりすぎなんだよ。イきすぎだっての」
「ふぁ、っ、だっ…ゆ、すた、やがぁ!」
「俺が、何?」
「っ、あ!あっ、ひ、っ」
「勝手に気持ちよくなってんのはてめェだろ」

この淫乱。

もう何度イかされたかも分からない体を激しく揺さぶられて、喉が枯れるまで喘ぐ。口端をつり上げたユースタス屋に蔑むように呟かれ、いつの間にかぽろぽろと溢れた涙が頬を伝っていた。もちろん生理的なものだ、と信じたい。ぐっと唇を噛み締めると出来るだけ力強く睨み付けてやって、だけどそれですらも鼻で笑われる始末。

「あ、っ、ちが、ちがう…っ!」
「どの口がんなこと言ってんだか。…何なら鏡の前で犯してやろうか?自分から腰振ってんの丸分かりだぜ?」
「ぅ、くっ、ぁあ…っ!はっぁ、も…し、ね…っ!」
「はっ…かわいくねー」

べろりと頬を舐めたユースタス屋に耳元で囁かれて、可愛くねェことばっか言うな、と唇をなぞられる。ユースタス屋の白い指が無理矢理割り開くと、口内へと入り込んできた冷たい指に舌を取られて弄ばれた。この舌が悪いんだと言うようにユースタス屋が舌を引っ張るもんだから俺はその指に噛み付いてやった。がりっと音がして、口内に走る血の味はどうやらその指を傷つけることに成功したらしい。舌打ちしたユースタス屋が指を引き抜くと血の味で満たされた口内が気に食わなくてシーツの上に唾を吐いた。

ユースタス屋はよく俺に酷いことをしながら素直になれと言う。そうしてきまって素直じゃない俺を見て可愛くないと言った。素直じゃない子は嫌いらしい。こっちからしててみれば知ったこっちゃないが、そのせいで俺の両腕は縛られていて、とっくに限界を訴えてる体はさらに犯されている訳で。

じゃあ素直に腰振って気持ちいいと喘げばいいのかというとユースタス屋はそんな俺に決まって淫乱だ、だの女みてェに喘ぎやがって、だの何かと俺に屈辱を味わわせないと気が済まないらしい。
結局どっちに転んでも無駄。それなら誰がお前の言うことなんざほいほい聞いてやるかよと思える俺はこうして今もユースタス屋を睨みつけていて、相変わらず嘲るような視線を被っている。
それで、

「ぁあっ?!ひ、あっあっ!」
「っ、おい、まだとぶなよ?」

それで気絶間近になると激しく揺さぶられてそれも許されない。泣いたって喚いたってユースタス屋は許してくれないし、結局俺が解放されるのは意識はあるのに反応もなく声も出ずにただの木偶となった時だけ。
あとはユースタス屋の機嫌がいいときとか。これよりはもう少し楽なところで解放されるかもしれない。

最悪なのは木偶になってもユースタス屋に犯される時。こういうときのユースタス屋は機嫌が悪くて、酷い時は殴られて起こされる。あとはずっとユースタス屋が満足するまでその繰り返し。

「っ、あ、っあぁ!」

今日はいつまでこれが続くんだろう。揺さぶられながら思うことはそればっかりで、でも、もういいや。疲れた。疲労と諦念が浮かびだした脳に従うようにそっと目を閉じた。
何にも考えなくていいなら楽なのに。




カーテンを閉める暇もなくセックスになだれこんだせいで、強い陽光が瞼の裏までチカチカ照らすそれに意識がゆっくりと浮上する。目を開けると眩しすぎて何がなんだかよく分からなかった。ごしごし擦って少し慣れた頃にぐるりと部屋を見渡す。ベッドの下には脱ぎ散らかした服があって、シーツは昨日の名残を引きずったまま。
ふと自分の両手首を見れば赤く痕がついていた。体はものすごくだるくて指一本も動かしたくないし、口を開けて声を出そうとすれば掠れた吐息しかでてこなくて逆に喉がヒリヒリしただけだった。

不意に隣を見やる。そこには珍しいことにユースタス屋がいた。俺に背を向けて、多分だけどすやすや眠っている。
朝起きたらユースタス屋がいない、なんてことはざらで、むしろそれが常だった。ユースタス屋はいつも一番最初の講義を受けているから大学がある時間中はいつもすれ違いだ。俺が午後の講義を終えて帰ってきて、そらからまた暫く、夜になるとふらりと俺の部屋に勝手に帰ってくる。
同棲なんてしてないのにユースタス屋は滅多に自分のアパートに帰らないから半同棲状態。でもそれで俺たちがすることって言ったら一つしかないんだけれど。
携帯を見て気付いた。そういえば今日は休みだったのか。だからユースタス屋がいるのか、なんて。

俺に背を向けて眠るユースタス屋の肩は規則正しく上下していて、俺はそれをじっと見つめる。手を伸ばしてその背に触れようとして、やっぱり止めた。はぁ、と溢れたため息は静かな部屋にやけに響いた。
ユースタス屋は俺のこと、好きじゃないんだろうか、とそう考えて溢れたため息だった。

確かに好きだから付き合ったはずなのに、そう考えていたのは俺だけだったのだろうか。勝手にいなくなって勝手に帰ってくるユースタス屋の都合のいいときにだけ犯されて、それが夜だろうと昼だろうと関係ない。
場合によっちゃとっくに日付の変わっている夜中に襲われることもある。淫乱だのドMだの吐き捨てられて縛られて目隠しされて玩具突っ込まれて、俺は何でこいつの言いなりになっているのだろうとふと思うときもある。

でも結局その理由は、簡単なのだけれど。この関係とそれに対する気持ちは簡単なものではなかった。

きっと、ユースタス屋のことを好きなのは俺だけなんだろうなぁ、と思い始めたのはいつからだったか。こうやって身も心もクタクタになるまで好き勝手させられてベッドに深く身を横たえてる時にその事実が脳裏を過ぎったのだ。
ああ、そういえば俺、ユースタス屋に好きって言われたことないな、って。

思い返してみれば告白こそユースタス屋からだったが、それすらも怪しいもので、その時でさえ俺は「好きだから付き合おう」とかそういう類のことを一切言われなかった。
それは今のいままでずっと変わらずで、ユースタス屋は俺に好きだと言ったことがない。俺が好きだと、言えば知ってる、と。ユースタス屋は決して自ら言おうとしなかった。

なんにも言わないユースタス屋にイライラしてムカついたけど、それ以上に俺はユースタス屋のことが好きだったから悲しかったし不安になった。それは今も変わらないし、特にこうして好き勝手されたあとにはいつも強くそう思う。
聞けば簡単なんだろうけど聞いてしまえばこの曖昧な関係さえもなくなってしまいそうで恐くて聞くことができない。そしてそんな自分に自己嫌悪して、結局同じ日々を過ごす。

ユースタス屋の、日に焼けない白で覆われた背中をじっと見つめる。こちらを振り向かないユースタス屋が、何か俺との間にボーダーを引いているように見えてぎゅっとシーツを握り締めた。
鼻がつんとして、そんな自分に慌てて起き上がるとそれでもユースタス屋を起こさないよう静かに手早く着替える。本当はだるくてずっとベッドで寝ていたいけど、ユースタス屋の隣にこのままいたら泣いてしまいそうな気がした。ユースタス屋に泣き顔なんて絶対見られたくない。


『もしもし?』
「……ペンギン」
『ロー?どうかしたか?』
「…ごめん、今からお前んとこ行ってもいいか?」
『いいけど…何かあったのか?』
「別に…なんにもねぇよ。じゃあな」

部屋を出て寒さに震えると行く宛がないことに気付いて、気がついたらペンギンに電話をかけていた。ここからペンギンの住むマンションへは徒歩十分という近い距離。その道程を歩きながらユースタス屋のことでいっぱいの頭が嫌になる。
電話も、最後の方はなるべく明るく何でもない風を装ったが、きっとペンギンにはお見通しだろう。あいつは何かと鋭いから。

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