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(学パロ)


次の授業サボろうぜ、と言うと、ユースタス屋は何だか怪訝そうな顔をした。てめェのせいで単位が危ういんだよ、と言われたので勉強しろと軽く返す。そうさせてくれないのは誰だ、とため息を吐いたユースタス屋の腕を引いてこっそりと教室を抜け出した。

渋々と言った感じで、それでも何の抵抗もせずついてくるユースタス屋に笑みを浮かべる。

全く、嫌なら嫌って言えばいいのに。結局ユースタス屋が拒んだことなんて一度もないんだから、俺もつい調子に乗ってしまう。


「………ユースタス屋」
「あ?何だよ」
「………」
「…ほしいのか?それ」

ショーケースの奥にある白くてふわふわした物体を俺は見つめた。だけどそれに気づかないユースタス屋はお構い無く先に行こうとするので制服の裾を掴むと呼び止める。

店内に流れる流行りの曲だとかメダルの落ちる音だとかゲーム機から溢れ出る音だとか。辺りはごちゃごちゃしていてとにかくうるさく、小さな声では聞こえない。だからそれを理由にユースタス屋にぴたりと寄り添う。

「とってやろうか?」

暫くそうして黙っていたら、真上から降り注いだ声に瞳を輝かせた。こくこく頷くとユースタス屋は笑った。投入口に吸い込まれていく二百円を尻目に、動き出したクレーンをじっと見つめる。



「ほらよ」

ものの一分とかからず俺の手元へと渡された白熊を受け取ると、それをぎゅっと抱きしめた。何がいいんだか、と俺のその姿を見てユースタス屋は言う。
健全な男子高校生がぬいぐるみ抱えて立っていたら確かに面白いかもしれない。でもいい、気になんない。
ほしかったのは本当だし、それをとってくれたのはユースタス屋だから。

「ユースタス屋」
「あ?」
「…ありがと」

正直に礼を言うのは少し照れる。だから白熊を抱き締めてやや俯き加減で小さく呟いた。
今の声、聞こえたかな。周りの音がうるさくて聞こえなかったかも。

でもどうやらその心配は杞憂だったみたいだ。
ぽん、と頭の上にユースタス屋の掌。わしゃわしゃとその大きな手で撫でられた。
同い年なのに何だか餓鬼扱いされてる気がしてちらりと上目で睨む。でもユースタス屋は笑っていたので、たまにはいいか、とされるままにしておいた。

「そういや俺もほしいのあるんだけど」

唐突にそう言って、にやりと笑ったユースタス屋にちょっと眉根を寄せる。
俺はシューティングだとかそういうゲームが得意で、クレーン系は全然ダメ。ユースタス屋は逆で、今みたいにこういうのが得意。

だからユースタス屋の願いは叶えられないかもって眉根を寄せた。俺はいつも叶えてもらってるのに。

だから、何がほしいんだ?って聞こうと顔を上げたとき、ユースタス屋があまりに近くにいて驚いた。堪らず一歩下がるとコンクリートの冷たい感触が背に触れて、逃げ場がないことに気づく。

「ユースタス屋?な…んっ」

なんだよ、と言おうとして、その言葉は結局吐き出されずに終わった。
その代わり俺は目を見開いて、近すぎる距離のユースタス屋を見つめる。

え、何してんのこいつ。


だってここは家とか、誰もいないような空間とは正反対のゲーセンで。
いくら端にある薄暗い場所だからって、誰かが来る可能性は十分ある、のに。


「んん!?…っ、ゃ、んっ!」



キスする、とか。



「ゃめ、っ、ユー…ふ、ぁ…んーっ!」


…しかも舌入ってるし。



慌ててユースタス屋の肩を押し返すけど、舌を強く吸われて甘噛みされて、うまく力が入らない。
それどころかより深く絡め取られて、離れたと思ったらまたすぐに唇を啄ばまれて、角度を変えて何度もしつこく追いかけられる。
ゆっくりと歯列をなぞり、内頬を撫でられ、根元から舌を絡め取られて、息苦しくて気持ちよくて目尻に涙が浮かぶ。尖らせた舌で上顎をなぞられると堪え切れなくなってカクリと膝が折れた。腰に回されたユースタス屋の手がなければ、壁伝いに座り込んでたかもしれない。

「んん、ふぁ…っ、は…」
「興奮した?」

やっと唇を離されて、壁にぐったりとよりかかると、耳元で囁かれた言葉にユースタス屋を睨みつける。ユースタス屋は俺を見て意地悪そうに笑うとベロリと涙を舐め取った。

「バカスタス…誰か来たらどーすんだよ!」
「いいだろ見せ付ければ」

その言葉に勢いよく首を振ると、俺は別にいいけどな、とユースタス屋が言ったので、再度きっと睨みつける。そうしていつの間にか落ちてしまっていた白熊を押し付けられると、腕を引かれてゲーセンから連れ出された。

「ちょ…どこ行くんだよっ」
「決まってんだろ?俺の家」

続きしようぜ、と囁いてにやりと笑ったユースタス屋に顔が赤くなって、見られないように顔をそらす。なのに耳が赤いと指摘されて、照れ隠しに馬鹿の背中を叩いた。



どさり、とベッドに押し倒されて視界が反転する。
抵抗する暇もなく、馬乗りになったユースタス屋の顔がどんどん近づいてきて、そのままそっと唇が重なった。


「……てめェな」


白熊の口と。


「だってそういう気分じゃねぇんだもん」

顔の前に掲げた白熊とユースタス屋は見事にキスをしていて、俺はそれを見てバレないように笑みを浮かべる。馬鹿だこいつ。

ふふ、と笑ってぎゅっと白熊を胸に抱き締めると寝返りを打つ。
白熊はもこもこしていて触り心地がいいし、それなりに大きいから抱き心地もいい。ふと首元を見れば、簡単な製品情報とこの白熊の名前がタグになってつけてあった。

「ベポのファーストキスはユースタス屋にとられちまったな」
「んだよベポって」
「この白熊の名前」

だってタグにそう書いてある。そう言ってユースタス屋に見せれば、ユースタス屋はちらりと視線を寄越しただけですぐに視線をそらした。
あーあ、拗ねてる。ユースタス屋って拗ねると結構面倒くさいんだ。

不貞腐れたユースタス屋の後ろ姿を見つめながら、一体どうやって機嫌を取り直そうかと考える。
大体いつもはキスをして言葉を二つ三つかけてやると、それで大抵ユースタス屋の機嫌は直った。俺からキスとかあんまりしないから嬉しいらしい。恥ずかしい奴め。

「…ユースタス屋っ」
「……何だよ」

ベッドの下に座るユースタス屋に呼びかける。

ユースタス屋は俺のこと、絶対無視したりしない。今だって、眉間に皺は寄ってるけど俺のことちゃんと見てくれてる。

「間接キス」

こちらを見たユースタス屋と視線を合わせて、ベポの口にちゅっとキスをする。唇を離してちらりとユースタス屋を窺えば、何だか見たこともないような間抜け面をしてて笑えた。

「ふはっ、なんだよその顔」
「…うるせー」

ユースタス屋の間抜け面を見て一頻り笑うと、ぎゅっとベポを抱き締める。抱き締めて頬を寄せると、冗談交じりにその口にキスをして。
そしたらヒョイっとベポが宙に浮いて、見ればユースタス屋の手がその頭を鷲掴んでいた。

「なにユースタス屋。返せよ」
「嫌だ」

そう言うとユースタス屋は手の届かないところに投げてしまったものだから、何すんだよ、と睨みつける。その睨み付けた先にいたユースタス屋があまりに近くて、思わずベッドに深く身を沈めてしまった。
ギシッとベッドが二人分の重みに音を立てる。いつの間にか、唇が触れるか触れないかの距離にユースタス屋はいた。

「お前あの白熊気に入りすぎ。…とってやらなきゃよかった」
「は、なに言って…ぁっ!?ユー…やっ!」

するり、と服の中に手が入ってきたので慌ててユースタス屋の腕を掴む。でもその前に肌に触れた掌がわざとらしく胸元を撫でて、乳首を摘ままれてびくりと体が震えた。

「ぁ、ユースタス屋…っ、しない、って…っ!」
「お前がベポベポ言うのが悪い」

馬鹿、ただのぬいぐるみだろ、と言おうとして、乳首を口に含まれる。
ちゅっ、と吸い付かれて、舌で舐め上げられて、時おり思い出したように甘噛みされる。それとは正反対に、もう片方は指先で押し潰すように摘まみ上げられたり、ぐりぐりと少し痛いぐらいに刺激されて。痛いのと気持ちいいのが混ざって、思考回路がぐちゃぐちゃに溶けていく。

「んっぁ…ひぅ、や…」
「嫌、じゃねェだろ」

こっちはもう勃ってるぜ?と耳元で囁かれて顔が赤くなる。確かめるように布越しに撫で上げられてびくりと腰が跳ねた。

「どうしてほしい?」
「なっ…っ、んなこと、聞くな…!」
「なら別にいいぜ?触らないから」

言ってくれなきゃ分かんねェし、とユースタス屋はしゃあしゃあと言ってのける。それに唇を噛むと顔をそらした。
本当は今すぐにでも触って、気持ちよくしてもらいたい。だけどユースタス屋にそんなこと言うのは癪に触る。でも…とまた考える。

まるで俺の考えを見透かしたみたいに、ユースタス屋が布越しに少しだけ刺激を与える。一瞬しか与えられなかったそれにでさえも、びくりと体が震えて目を瞑った。
乳首を弾かれるとぎゅっと摘ままれて、くちゅりと耳孔にユースタス屋の舌が侵入する。熱い舌で耳朶を甘噛みされて、聴覚からも犯される。腰揺れてる、と囁かれて、もう限界だった。

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