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「ぁ、やぁ!きっ、ど…、っ」
「大丈夫。痛くはしねェから」

何が大丈夫なんだよ、とは思ったが、奥まったそこにキッドの指が触れると何も言えなくなる。

ゆるゆると入り口をなぞっていた指が、ゆっくりと中に押し入ってくる、その訳の分からない感覚が嫌で嫌で堪らなくて首を振った。

「いっ、ぁ…も、や、抜け…!」

ペットに押し倒されて犯されるなんて馬鹿げてる。
キッドを睨みつけると力の入らない手で肩を押した。でも全く効果はない。

大丈夫だからとかすぐに気持ちよくなるからとか、これまた意味の分からない言葉をかけられて早々に指を増やされる。
最初は気持ち悪くて仕方なかった内部の動きも、次第にそれ以外の感覚を感じ始めていって。少しずつ、だけど確実に高まっていく熱に理性が追いつかないでいた。

「んぁ、ぁ、あ……あっ!?やぁ、そこ…ぁあっ!」
「ここがいいのか?」
「ひっ、ぁあ!や、あ、あっ!」

中で好き勝手に動き回っていたキッドの指がとある一点を掠めると、びくりと大袈裟に体が揺れる。
その反応に気を良くしたキッドがそこをだけを集中的に責めるから、与えられたその強い刺激に堪えきれなくてぼろぼろと涙を溢した。

「んあぁっ、ひっ、や!」

キッドの肩に置いた手に力をこめると首を振る。
味わったことのないその感覚に飲み込まれるのが怖くて腰を引くと、キッドの腕が伸びてきて呆気なく引き戻される。そうして逃げられないようにしっかり掴まえられて、ぐちゅぐちゅと指を動かされた。

そこに触れられただけで痺れるような刺激が体中を駆け巡るのに、抉るように突かれて突き上げられておかしくなりそうだった。抑えられない声が溢れて、唾液も半開きの唇からだらしなく顎を伝っていく。

「あっあっあ!ひゃ、も…き、っど、だめ、や、ぁあっ!」
「何で?気持ち良いだろ?」
「ひっ、ぅん…やぁ、そこ、おかし、くなる…っ」

首を振って眉根を寄せると、涙で滲む視界でキッドを見つめる。
もう何も考えられなくなってひたすらキッドにしがみつくと、もうやだ、やめて、抜いて、と泣きながらそれだけを口にした。だけどキッドはちゃんと慣らさないと痛いからとか言って止めない。

「あっあ…ひっく、ぅ、ふっ、あああ!」
「そんなに気持ちいい?まだ指だけだぜ?」
「ひ、んっ、や…っ!へん、になる…っ、も、やぁっ!」
「ローって感度いいんだな。…可愛い」

いつもなら可愛いなんて言われたら殴ってるけどもうそんなことも気にならないくらい意識は持っていかれてた。


もういいか、と不意にキッドが呟いて、ぐちゅりと指を引き抜かれる。
それに、やっと快楽の渦から抜け出せたという安心感に、息を吐いた。

「は…ん、ぁ…あっ!?や、ゃあ、き、っど…!」

だけどそうやって安堵したのも束の間で、キッドの手が膝裏を掴んで脚を抱えられると胸元に押し付けられる。
すっかり解れてしまったそこに熱く脈打つものを押しあてられてびくりと体が震えた。

「っ、挿れていいか?…我慢出来ねェ」
「あ、っ、やぁ、まっ…!ひ、ぁああっ!」

自分で聞いてきたくせに俺の静止も聞かず、ぐちゅりと押し付けられたところから卑猥な音がして、そのまま奥へ奥へと挿入される。
それに体を仰け反らすと首を振った。与えられる刺激に、涙腺が壊れたみたいで涙が止まらない。

「ひっ、んぁ…はっ…」
「…ロー、痛くないか?」

はぁ、とキッドが熱い息を吐いて、ぴたりと触れ合った肌と中に感じる熱い質量に、全て入ってしまったことは明白だった。
ムカつく事実だが、キッドが十分慣らしてくれたお陰で別段痛みは感じなかったので首を振った。こんな状態でも一応俺の体は気遣ってくれているらしい。
そう考えると、無理矢理にせよ流されてしまった行為にせよ、目の前で俺の息が整うのを待って顔中に優しいキスを落とすこいつを突き放すなんてことは出来なかった。



「じゃあ、もういいよな。…動くぞ」
「んぁっ!?や、あっああ!」


前言撤回。俺はまだ平気じゃない。


首を振ると切羽詰ったような声が耳元で響いて、始めから激しい律動に、思考が全くついていかない。
何でこんなことに、とか、考えていた内容も薄ぼんやりとして、もう何も考えられなくなる。

こんな自分を肯定するのは癪だけど、気持ちよくて訳が分からなくて、気づいたら泣きながら必死にキッドにしがみついていた。

「あぁっ!やっ、ひっあ!」
「はっ…お前ん中、すげェ気持ちいい」
「ふっ、あ、んん!…ひぁっ!だめ、やっ、ゃだあ!」

キッドの熱いモノが出入りして、さっき散々弄られたところを突き上げられるだけで頭が真っ白になる。それなのに今の今まで放置されていた自身に手をかけられて上下に抜かれると、本当におかしくなりそうで怖かった。

「ひっく、ふ、ゃあ…っ、やだ、も、こわ…おかし、くな…っ!」
「いいから…っ、何も考えないで、感じてろ」
「あっあ!やっ、きっど、きっ…ぁああっ!」
「――……っ!」

余計なことは考えるなと、ぐちゅぐちゅと自身を抜かれて、同時に律動も激しくされて。
気づいたら本当に目の前が真っ白になっていて、その後はもう何も覚えていない。



「なぁ、何なのお前?俺がきっちり納得できるようにどうしてああなったのか簡潔に言え。納得できなかったら殺す」
「えっと…発情期?」
「へぇふぅん発情期ね。どこのメス犬に発情したんだお前は?ああ、やっぱいい。もういいからとりあえず死ね」
「本当に悪かったって…謝るから機嫌直せよ」
「謝るぐらいなら最初からするな。もういい、知らない」

ふいっと横を向くとキッドから顔を背ける。ズキズキと痛む腰に顔を顰めながら収まりきらないイライラを全部キッドにぶつけてやった。
発情期?ふざけんな。一人で処理しやがれ俺を使うな。

「ロー…本当ごめん。許せよ」
「ああ、そ。じゃあもう許すからどっかいけよ。俺は寝るから」

ばさりとシーツを頭まで被ると後は無視。キッドが何か言ってももう知らない。
暫くは許さない。

……そう決めてた、のに。



「…なぁ、もう俺のこと嫌いになった?」


ああ、もう。そんなこと言われたら、許してしまう。




「…なんで、急に発情期なんかくるんだよ」

寝返りを打ってシーツから顔を出すとぼそりと呟いた。
いままで背を向けていたせいで分からなかったが、キッドの耳や尻尾はこれでもかというぐらい垂れていて…やっぱりちょっと可哀想だったかな、とか思ってしまう。甘すぎるぞ、俺。自覚あるから厳しくしてみたのにこれじゃあやっぱり意味がない。

「ローのことが好きだから」
「好きって…でもいままでそんなことなかったろ」

キッドの言葉に訳が分からなくて眉根を寄せる。
キッドはいつも好きを全身で表現してくるし、こいつが俺のことを好きなのは知ってる。でもいままでこんな事態になったことは一度もない。
こいつが本当に俺を好きなせいで発情期がきたんだとしたら、多分初めて家に来たその次の日ぐらいに俺は押し倒されてるはずだ。

「あー…違う、そうじゃない」
「は?なにが?」
「普通ペットが主人に好きって言ったら親愛の好きだろ。俺の好きはそれじゃない」

ぎしり、とベッドが軋んで、唇に一つキスを落とされる。

「ローとキスしたいしセックスしたいし、俺の好きはそういう好き」

最近気づいたんだけどな、とキッドは唇が触れてしまいそうな距離でぼそりと呟いた。


…ああ、そっか。そういうとことか。そういえば前読んだ指南書に書いてあったな。
一般家庭向けの犬は改良されてるから性的玩具としては機能しないように設定されてるけど、飼い主に恋愛感情抱いたら箍が外れて本来あるべき姿の犬と等しくなるんだっけ。
だからこないはずの発情期がきたりした訳か。


そういう意味で俺のことが好きなのか、こいつは。



再度キッドに背を向けるとバレないようにシーツを被った。

「ロー、」
「嫌いになってない」

あまりにもしゅんとした声で名前を呼ばれたので、思わず即答すると後ろから嬉しそうな気配が伝わってきた。
本当単純で安上がりな犬だ。


「…それと。


もし俺がお前のこと嫌いだったら、あのとき最後までさせてない」

そう言うと、キッドが「それって…」と呟いたが何も言わずにいるとシーツごと強く抱き締められた。

俺も大概馬鹿だ。好きの一言で気をよくして抱き締められて顔を赤くして。
もうこれで暫くはシーツからは出てこれない。




結局は好きの二文字で
(説明付けられるこの感情。)






企画参加してくださったtocoちゃんに捧げます!
tocoちゃんに捧げるのだから甘くせねば!と謎の電波を受信しました(笑)
でもあんまり微妙だったらごめんね´`
とにかく素直でローロー言いまくるキッドは書いてて楽しいことに気づきました!新しい発見!^^
tocoちゃん新しい発見をありがとう!(笑)
こんなので宜しければ貰ってねー!リク有難うございました!





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