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(現パロ)

人混みとかマジ無理。雑踏の中歩きたくない。満員電車死ねばいい。人の食いかけ食うとか有り得ないんですけど。あ、その汚い手で俺に触らないでね。


「それ以上近寄ったら殺す」


ぺらりと雑誌のページを捲るとモンブランに突き刺したフォークを俺に突きつけてもぐもぐ口を動かす俺の幼馴染み兼恋人は、これが困ったことに極度の潔癖症なのである。



「お前…遠いって」
「は?ふざけんてんのか?」

ぶすりとフォークを突き刺しつつ、俺を見ることもなくトラファルガーは不機嫌そうに眉根を寄せた。そうは言われても仮にも恋人同士、部屋の端と端とまではいかないが座る二人の間には人一人座れそうなスペース。物理的な距離というよりも心理的な距離を感じる。触れそうで触れられない、その距離が逆にもどかしく、自ら距離を縮めようとすればトラファルガーの鋭い眼光が飛んできて可愛いげのない一言。

「…恋人同士じゃねェの、俺達」
「ばっかじゃねぇ。だから隣に座らせてやってんじゃん」

聞くなよ、アホらし、とトラファルガーの顔には堂々と書いてあって少し虚しくなる。そりゃこいつが他人を部屋に招くのも隣に座るのを許可するのも相当稀だとは知っている。知ってはいるが、存外長い幼馴染みポジションプラス恋人枠というのもあって、俺の中ではそれは当たり前のことだからついそれよりも先を求めようとしてしまうのだ。

「じゃあ触ってもいい?」
「どこ」
「…髪、とか」
「………許可する」
「考えたなお前」
「だってユースタス屋風呂入ってねぇんだもん」
「汚くねェよ」
「知ってるけどさ」

ついっと素っ気なく言ったトラファルガーに腕を伸ばすとその髪に触れてそっと頭を撫ぜた。トラファルガーに触れてもいいのは風呂上がりだけ。大抵はそう決まっている。いつもは何とも思わないが、俺だって恋人が目の前にいれば無性に触りたくなることもある。そういう時には不便だなと思うけど。今だって、こんな腕を伸ばすだけじゃなくて、その距離を縮めて抱き締めてキスしたいとも思う。まず項に、それから首筋、頬、額、そしたら唇に…。


「そんなとこ許可してねぇ」

低く唸るような声を発したトラファルガーにふと現実世界に引き戻される。どうやら俺は自分で考えるキスのルートを無意識の内に辿って指でなぞっていたらしい。そんな自分に恥ずかしくなりながらも手を離すと先にシャワー浴びちまおうかなと考える。そしたら触れるし。うん、そうしよう。

スッとソファから立ち上がってトラファルガーの前を通り過ぎようとすれば、不意に軽く引っ張られるような感覚に見舞われる。何だ?と思って見ればそこにはやや視線をそらしながら服の裾を握るトラファルガーがいた。

「…どこ行くんだ?」

表情は相変わらずふてぶてしいが、先程とはうって変わってか細い声は全身で不安を表現しているみたいだった。その眉根を寄せた顔も実は不安を押し殺したものだと知っている俺は、何だか面白くなってちょっと意地悪してみようかな、なんて気になってしまう。

「お前全然構ってくんねェし、そういやレポートの提出期限今週までだからちょっとキラーんとこに、」
「ダメだ!」

そう言ったあと、トラファルガーはしまったというような顔をして慌てて口を塞いでしまった。顔を赤くして困ったように唸る姿が可愛くて仕方がない。

「何で駄目なんだよ」
「…っ、ダメなもんはダメなんだよ!……俺の隣にいろ、ばか」

キッとこちらを睨み付けていた瞳は、それでも言葉尻を濁すように勢いを失っていく。まあ今日はここまでかな、と思いながら結局トラファルガーに激甘な俺は何も言わずその隣にボスンと座った。
その距離、0cm。

「嫌か?」
「ちがっ…、やじゃない…」

びくりとトラファルガーの肩が揺れたのでわざとらしく距離を作ろうとすればぎゅっと服を掴まれる。ふるふると首を振ると不安げにこちらを見つめてくる瞳にそっとキスをした。
それにぴくりとトラファルガーは反応すると離した唇を追い掛けるようにそっとキスされて。触れるだけのものでもトラファルガーからだと考えればかなり珍しく、驚きに目を見開けば耳まで赤くしたトラファルガーが俯いていた。

「ユースタス屋は触られたりすんのが嫌なんじゃなくて…恥ずかしいだけだ」

気付け、ばか、とトラファルガーは小さく呟くとぎゅっと強く抱きついて俺の肩に顔を埋めた。でもやっぱりその耳は真っ赤で。
何この可愛い生き物、とか思いながらその細い体を強く抱き締め返してやった。


俺は特別だって思ってもいいってことだよな?





企画参加してくださったキヨ様に捧げます!
クーデレなローとの何とも俺得なリクを頂いたのに気付いたらこれ…ただのツンデレじゃないか…!すいません超絶クールで格好いいローを書こうとしたはずが…!ひぃ!こんなのですみません;ω;
こんなので宜しければどうぞ!リク有難うございました!





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