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 愛の奇跡は起こりうるか

(犬×ショタ飼い主)
(獣姦有りにつき注意。)



いつもはまだまだぐずっていたいベッドの暖かさにも、今日のローはぱちりと目を覚ました。カーテンの隙間から覗く窓には真っ白な雪がついている。しんしんと降り続く雪にぶるりと身を震わせつつも、頬はじんわりと紅潮していた。
ベッドメイキングもそこそこに階下へと駆けていく。トーストの香ばしい匂いを尻目に目指すのは一つだけ。パチッと薪がはぜる暖炉の隣、大きなクリスマスツリーは毎年恒例のものだった。もちろんその下に積まれるプレゼントの山も。
サンタクロースなんて信じていない。そんな気前のいいじいさんなんていないんだと、ローは幼心に気づいていた。だからと言って大人が気遣って置いてくれるプレゼントが嫌なわけではない。

去年のローは手当たり次第に包装紙をビリビリに破いた。鮮やかな赤や緑に包まれたプレゼント。だが今年はその中でも一際目立つプレゼントがツリーの真ん中を陣取っていて、それに自ずと視線がいく。破られるのを免れたプレゼントたちは逃げやしないと放っておいて、ローは興味深そうにそれに近寄っていく。それに朝食の準備をしていた母親が笑った。一度母親の方を振り向いたが何も言われず、ただ見てごらんと手で示されただけだった。

それは大きなゲージだった。柊やベルや小さなサンタクロースが散らばる包装用紙と比べればかなり地味だ。剥き出しの、灰色のゲージ。一見すると大きな箱にも見えるそれには扉がついている。
ローはしげしげと見つめたあと、カチャリと留め金を外す。ワフッ、何かが鳴くような声が聞こえて、ふわふわした物体が飛び掛かってきた。

「うわっ!?」

驚きに声を上げる。膝の上を陣取り、ペロペロと必死にローの頬を舐めるその生き物はまさに犬だった。
元来可愛いもの好きのローだ。千切れんばかりに尻尾を振って、うるうるとした瞳で見つめあげてくる姿に心打たれたのは言うまでもない。くすぐったいと笑いつつも、好きにさせて頭を撫でてやればさらに嬉しそうに尻尾が揺れる。その様子にローもまた笑った。
気に入った?と母親が聞く。ローが大きく頷けば、これでお留守番も寂しくないわねと微笑んだ。
両親ともに多忙な医療系の仕事に従事しているため、ローは一人で過ごすことが多かった。それを懸念したのだろうか、寂しいなどとは一言も言ったことはないが、嫌いだった留守番もこれで少しは好きになれるかもしれないと思う。さすがは親と言うべきか。

ちゃんとお世話できる?そう聞いてきた母親に再度頷く。動物はむしろ好きな方だった。ましてこんなに可愛いのならなおさらだ。
犬種は何だろうか。細かいことは分からないが、性別は雄らしい。毛並みは綺麗な赤茶色だ。触るとふわふわしていて気持ちいい。
名前は?と聞いたローに、まだないから自分で好きな名前をつけなさいと返される。それにローは暫し悩む。自分で何かに名前をつけるなんて初めてだ。雄なんだし格好いい名前がいいだろう。でも格好いい名前って何だろうか。うんうん唸って考えていたローは、ふとある名を思い出す。そして顔を綻ばせた。

「そうだな、お前の名前は…キッド、キッドだ!」

ローが大好きな本の中に、キャプテン・キッドという海賊が主人公の冒険物語があった。幼心に憧れを抱いていたローにはその名がひどく格好よく映っていた。この名をつけずして何をつける、ローは何故か誇らしげにそんなことを思いながら、キッドともう一度呼ぶ。まだ自分の名前を認識していないキッドは、こてんと首を傾げてローを見やった。その様子に些か名前が格好よすぎたかもしれない、と少しだけ思った。


キッドが家に来て、あれから三ヶ月。自分の名前もきちんと認識し、ローのことは相変わらず大好きで言うことは何でも聞いた。体の方も成長し、最初はまだローの膝の上にちょこんと乗っていたのに、今は十キロを超えていた。両親には聞いていないが、おそらく大型犬なのだろう。後ろ足で立ち上がればローの腰に届く程だ。

今日もローはキッドと夕飯を食べていた。
ローにはお手伝いさんが作ってくれたカレー、キッドには用意されたドッグフードだ。キッドは早々に食べ終わると、ローの脚に纏わりつく。それにローは頭を撫でると、サラダの中からドレッシングのかかっていないレタスを引き抜いてキッドに食べさせた。

「食べ終わったら一緒にお風呂はいろうな」

レタスを食べていたキッドは顔を上げると、その言葉に応じるようにワンと一声鳴いた。

ご飯を食べるのも、お風呂に入るのも、眠るのも。以前までは全部一人だったが、今はキッドがいる。寂しくなんてなかった。
ローは服を脱いでカゴの中に入れるとキッドと一緒に風呂へと入る。まずキッドの体をシャワーで軽く流してから犬用のソープで順々に体を洗っていった。キッドは気持ち良さそうにして、ローのされるがままだ。鼻唄でも歌い出しそうな気分でキッドの体を洗い終わるとシャワーで泡を流した。ペタリと毛が張り付いて、ふわふわな分がないだけ何だか貧相だ。ローはそんなキッドを笑うと、キッドはぶるぶる体を震わせてローに水を飛ばした。
それが終わったら今度はローの番だ。さっと洗ってしまおうとスポンジに手を伸ばす。やたらとキッドが引っ付いてくるのが気になって、キッドの体を少し押し退ける。だがまたすぐに股に鼻を寄せる。かと思うと股間にキッドの頭がぬっと近付き、慌ててその頭を押し返した。

「キッド、体洗えないだろ!ちょっと大人しくしてろ」

ローがそう言うとキッドはローを見上げてクーンと媚びるように鳴いた。それに一瞬たじろぐも、振りきるように首を振る。ほら早く、と促しつつも、終わったら構ってやるからと心の中で呟いた。キッドは暫しローの顔を見つめていたが、諦めたようにふいっと目をそらす。それにローもスポンジを握り直して――。

「ひっ、あ?!」

ベロリ、と何かに舐められる感覚。それと同時にぞくぞくとした何かが背筋を駆け上がり、ローは驚きに目を見開く。変な声も出してしまった。だが問題はそこじゃない。

「こ、こら!キッド!」

問題はベロベロと長い舌でローの幼い性器を刺激するキッドだ。まだ十二になったばかりとは言え、ローにもそれがいけないことだとは十分分かる。そしてそれが気持ちいいということも。
ローは先程以上に慌ててキッドの頭を押し返す。だがキッドはびくともしない。それどころか愛撫が止む気配も一向になかった。

「ふっ、や…キッド、だめだって…っ、あ、ゃっ!」

大きな舌で下から上まで舐め上げられる。ローは何とも言えないその感覚にびくびくと体を震わせた。
いけないことなのに、体からどんどん力が抜けていく。最早頭を押し返す気力もなくなり、ローは力なく首を振る。やめて、と言っても犬に言葉は通じない。何でも言うことを聞くキッドがここまで自分勝手に行動をするのは初めてで、どうしていいか分からなかった。
だめ、だめ、と頭の中で呟きながらも、口から出てくる言葉は自分のものとは思えない甘ったるい声だけ。ぴちゃぴちゃとキッドの舌使いが早くなり、それにローはキッドの頭をきゅっと脚で挟んだ。

「ゃ、やあっ…ぅ、んぁッ、も…でちゃ、からぁ…〜〜っ!」

やめて、と再度言おうとした瞬間、柔らかくキッドの歯がぶつかった。それにローは頭が真っ白になって、びくびくと腰を揺らす。気付けば射精していた。

ぼーっとする頭で、やってしまった、と考える。気だるい余韻に怒る気力も湧いてこなくて、あがった息を落ち着かせるのに必死だった。だがキッドはそんなローなどお構い無しと言いたげに、まだ量も色も薄い精液をペロペロと舐め取っていく。

「キ、キッド!もう放せって…ひゃっ!」

薄く生え始めた陰毛にも舌を這わし、かと思えば萎えた性器をぱくりと咥える。ローは力の入らない手で頭を押したがやはり動かない。止まらない舌の動きにどうすればいいか分からず、ローはじわりと瞳に涙を浮かべた。

「うぅ…っ、も、ゃだってばぁ…っ!」

落ち着き始めていた体が再び、じわじわと熱を帯びていく。そのときふと、キッドの舌がべろりと尻穴を舐めた。
そこまで精液が流れ落ちていたのだろうか、今度は一心不乱にそこばかりを舐めるキッドにローは頬を真っ赤にした。いやだ、きたないから、と泣きそうに言ってもキッドはやめない。

「ひっ、ぁ、あ…キッド、だめだ、からぁ…ッ、んぁ!?」

ふるふると首を震わせ、瞳に涙を溜めたローは新しい刺激にびくりと体を仰け反らせた。
にゅるり、とした感覚。それは紛れもなく、キッドの長い舌で。くちゅ、ぐちゅ、という微かな水音と共にキッドの舌がローの中を出入りしていた。

「や、だぁ…キッド、ほ、とにっ…!」

今まで感じたことのない感覚だった。それに飲み込まれるのが怖くてローは必死に首を振る。逃げようと後ずさると、ドンとキッドが足元に乗っかってきて、マウントを取られてしまった。
それからキッドは暫く舌を出し入れしていた。それと同時にローにも奇妙な感覚が沸き起こる。何度も奥を突くキッドの舌。だけどそれよりもっと奥、舌では届かない奥が熱い。むずむずして、自然と腰が揺れる。

いつの間にかローは勃起していた。とろりと瞳を蕩けさせ、頬を紅潮させて。端から見れば感じきっていることは明瞭だった。ただ今のローはそれすら知らない。

「ンッ、んぅ…ふぁ、ぁっ」

入ってきたときと同じように、突然キッドの舌が抜かれた。止んだ刺激に、ローは少し物足りなく感じてしまう。だがそんな自分をすぐに恥じて、これ幸いと起き上がろうとした、のだが。

「ぁ…キッド、?」

のそりとローの体に覆い被さってきたキッドに、ローは首を傾げる。どいて、と胸を押す前にぺろりと頬を舐められた。そして、先程までキッドの舌で散々嬲られていた尻穴にあたる、硬い感触。驚いてローが見やれば、そこには立派に勃起したキッドの性器が押し付けられていた。

「ぇ…、あ…うそ、やっ…まって!キッド、まっ…!」

事態を把握したローが必死でキッドを退かそうとした。今までの一連の出来事は急すぎてまるで他人事のようだったが、ここにきて俄に現実味を帯び始める。今の自分の置かれている状況、キッドが自分に欲情していること、等。
このままだとキッドの性器が確実にローを貫くだろう。ローはそんな痛々しい映像を想像して、ヒッと息を詰めた。あんな太いものを挿れられたら死んでしまうかもしれない。何せ見た大きさはローの倍以上だったから、そう思うのも仕方がないだろう。慌てて手に力を込めるが、ローがキッドを退かすよりも早く、キッドがぐちゅりとローの中に入って来てしまった。

「あッ!?ひぐっ、ぁああ!」

びくりとローの背が仰け反ると同時に脚に柔らかな毛並みがあたる。開かれた足の爪先は微かに震え、ぼろぼろと涙が溢れ落ちた。
荒い息が頬にあたり、キッドの匂いが鼻を掠める。入りきった先端部分に、犬に犯されていることを漸く知った。

「う、ぁ…や、いた…いた、ぃ…っ!」

忙しなく息を吐きながら、みっちりと隙間なく入り込んできた熱い性器にぼろぼろと涙を流す。キッドはそんなローを見て、クーンとどこか申し訳なさそうに鳴くとローの涙を舐め取った。

呆然とした頭で、早く抜いてほしい、とローが思うのはそれだけだった。だがキッドはローの涙を拭うだけで動こうとしない。ローは痛みに堪えながら、キッド、と名前を呼んだ。名前が呼ばれたのが嬉しかったのか、キッドは一声鳴くと突然腰を動かし始めた。

「い、やぁ、っ…まっ、あっあぁ!」

ガクガクと揺さぶられ、ローは痛みに目を見開く。無理矢理開かれた幼い体は焼けるような痛みしか伴わない。まだ動きがスムーズなのは、やはり無理な挿入に切れて血が出てしまったせいだろうか。
ハッ、ハッ、とキッドは荒い息を吐きながらローの上で腰を振る。そんなキッドの姿をローは止める術もなく、ただ涙の浮かんだ瞳でぼんやりと見つめていた。

「ぁ、う…やっ、もぉ、ゃだよ…ひっ、ぃた…!」

揺れる毛並みを感じながらローは泣いた。今までずっと一緒にいたのに、どうして急にこんなことをするんだろう。ローには分からなかった。
ただそれでも、キッドのことは嫌いになれなかった。ローの一番の友達で、家族だったから。

「ひっ、く…ぅ、あっぁ?!や、なに、ゃだ…うそ、まだ、入って…ひっ、あぁ!」

涙で頬を赤くしていたローは、突然感じた強い圧迫感に目を見開く。ズッ、ズッ、と少しずつだが、キッドの性器がローの中に入っていっているのだ、根元まで挿れようとして。
全て入りきったと思っていたローには、さらに奥へ奥へと入ってくるキッドの性器が恐ろしくて堪らない。

「やぁ…!も、いっぱい、だからっ…ふ、キッド、いれな、……あッ!!やらっ、なにぃ…?ふぁ、そこ、やぁ!」

必死にキッドを制止しようとしていたローの瞳に、とろりと淫靡な色が移り出す。痛みを取り払ってしまうような突然の激しい快楽に、ローはふるふると首を振った。
――こわい。
それがローの、素直な感情。だがキッドはお構い無しに腰を振り続ける。何度も何度も、無意識に見つけたローの前立腺を突くようにして。

「ひっ、ぁあ!やっ、そこ、そこぉっ…〜〜ッ!!」

先程までの痛がって泣くローはどこへ行ったのか。そこにいるのは、幼さに不釣り合いな妖艶さを撒き散らし、口をだらしなく開けて快感に酔いしれる姿だけ。キッドの硬い性器で何度も突かれ、逃れられない快楽に頭が焼ききれていく。まともなことは考えられず、ローもキッドの動きに合わせて腰を振った。ペロペロと唇を舐めるキッドに口を開けば、キッドの長い舌が入り込む。その舌でいっぱいになったことに息苦しさを感じつつも、ローは必死に舌を絡ませた。
――気持ちいい、きもちいい。
先程までの感情がまるで嘘のように、ローはそれしか考えられない。キッド、キッドと譫言のように名前を呼べば、嬉しそうにキッドが鳴いてさらに奥を抉られる。それにローはぎゅうっと強くキッドの性器を締め付けた。
ドクン、と急にキッドのモノが大きくなり、それにローは体を震わせる。そして吠えるような鳴き声と共に、ローの中に温かいものが吐き出された。

「や、ぁ…な、か、でて…」

ビチャビチャと流れ出る液体に、中出しされたことを知る。そこで漸く終わったのだと、ローは気付いた。
頭はぼんやりしていたが、まだかろうじて意識はあった。こんなところを、もしも帰ってきた両親に見られでもしたら…そう考えると意識を手放すこともできず、ローは必死にキッドを退かそうとする。だがなかなか退かないキッドに、ローが体の下から抜け出ようとすれば。

「…や、うそ…ぬけ、ない…」

真っ青になった顔をペロリとキッドが舐める。ドクドクと注がれ続ける精液が止まる気配もないし、性器が抜かれる気配もない。ローは腹に溜まりだした精液に涙を浮かべながら、まだ終わっていないことを知った。



後から調べて分かったことだが、犬は射精時間が約三十分と非常に長く、しかもしっかり受精させるために射精中は根元の瘤が膨らんで抜けなくなる、らしい。そのことを知らなかったローは抜けない恐怖に怯えていたが、知ってしまえば納得できる。
再三言うが、ローはキッドのことを嫌いになってなどいない。ただ何がなんだか分からないまま流れるように過ぎていった、痛いのと気持ちいいのが混ざったキッドとのセックスを思い出しては一人顔を赤らめたりした。また、それで射精の気持ちよさを知ったローは、時折自慰に耽ったりもした。その度に何故か奥がきゅうきゅうと疼くのだが、ローは決まって知らないふりをした。
だがそれも長くは続かなかった。いつしかローはアナルに指を挿れて自慰することを覚えてしまった。まだ年端もいかない子供が、夜な夜な淫らな行為に耽る。その原因を作り出したのは、紛れもなくキッド。たった一度の性交で、ローの体を淫靡なものに変えてしまった。やはりそれはローの幼さ故か、それとも元々その気があったのかもしれない。

二度目にキッドと繋がったのは、初めてした日から一ヶ月程たった時だった。偶然キッドが自慰の最中に部屋に入ってきたのである。ローは慌てて隠そうとしたが、それよりも早く嗅ぎ付けたキッドに行為がなし崩し的に始まるのも時間の問題だった。

「んぁッ…ひ、ぁ、あっ…きも、ちぃ…ふ、ぁっ」

四つん這いの体勢で、まるで獣のようにキッドの性器を受け入れるロー。その瞳はとろりと蕩けて快楽のみを映し出していた。
前回とは違い、何度も弄って遊んでいたせいだろう。ローの尻穴はキッドが舐めて舌を挿れただけですんなりと受け入れた。そうすれば痛みもなく、残るのは一人では決して味わえない気持ちよさだけ。自分の指では届かなかった前立腺をキッドの性器で何度もゴリゴリと刺激されて、ローは堪らない法悦に泣きじゃくりながら腰を揺らして何度も果てた。



キッドと繋がることがいつの間にかローにとって躊躇いのいらないものとなり、ローはそれから何度もキッドと繋がった。痛いと恐怖に震えていた自分がバカらしくなる程に。
そしていつしかローはキッドが言葉を話せたらよかったのになぁと思うようになった。今のままのキッドで不満はないけれど、すき、とローが言ってもキッドはペロペロとローの頬を舐めるだけだ。すきと言ったらすきと返してほしい。ローはぎゅっとキッドを抱き締めると、キッドはこてんと首を傾げた。

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