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 スカートひらり禁止令

(現パロ)


 クローゼットの扉を開けると一番左側、奥の奥にしまってある白いシャツを取り出す。パリッと糊の効いた新品同様の真っ白な、とまではいかないが、目立った汚れもない真新しいシャツは学ランの下にパーカーを着るようになってからおざなりにされていたものだ。姿見の前でシャツに腕を通すとボタンを嵌める。自室の空調は快適な温度に保たれているが、そろそろ指の悴む季節がやってきたようだ。冷えた指先をぎゅっと握って温めると、最後のボタンを嵌めて茶色のカーディガンを取り出した。元々男性用の物なのだろう、「あの」制服と同時に投げつけられた貰い物のカーディガンは自分が着ても少し袖が余る程度でそれほどだぼついた感じはない。頭から被り、もごもごとカーディガンの中で突っかかったシャツの袖を引っ張ると三度クローゼットの左側に手を伸ばし、ハンガーに掛けられたスカートを引っ張り出す。紺色でプリーツは24本、膝丈のそれは至って普通のスカートで、ともすれば何の面白味もない。これを投げつけた張本人がよく「せめてチェックスカートだったら」なんて言っていたことを思い出したが、ローにはチェックだろうとただの紺色だろうと大した差は無いように思えた。どっちにしろ着てしまえば同じだ。スカートに足を通し、チャックを上げてホックを閉めると二回折る。ちょうどよく膝上になったスカートを眺めながらプリーツが乱れていないか確認し、同じくハンガーに掛けられたブレザーを着るときちんと鏡の前に立つ。付属のリボンを襟に通し、タータンチェックのマフラーで喉仏と口元を隠す。紺のハイソックスを穿き、黒髪ボブのウィッグを頭につけて「よし、」とローは鏡の中の自分に微笑んだ。どこからどう見ても海南高校に通う女子高校生そのものだ。こんな時ばかりは細身でよかったと思いながら自室を出ると階段を下りる。玄関で茶色のローファーに履き替えると適当に中身を詰め込んだ通学バックを持って夜の街へと飛び出した。

 決して女装癖があるわけではない。
 ローの従姉はユニセックスの服を好んで買う系統にあり、また買い物好きということもあっていらない服がたまってくるとすぐローに渡してクローゼットの中をすっきりとさせる癖があった。身長も女子にしてはそれなりにある従姉の服を細身のローが着れないはずもなく。そのせいでローはほとんど自分で服を買わないのだが、そんな段ボール箱いっぱいにぎっしり詰めて送られてくる服の一番下にその制服はあった。夏用のスカートと冬用のスカート、ブレザーと茶色のカーディガンが一着ずつ、そして高校指定のリボンタイ。いつも通りの服に紛れて送られてきたそれに疑問を抱かないはずがない。首を傾げたローが従姉に電話すれば「別にしていた段ボールに間違えて入れて送ってしまった」と。いい加減制服を片づけようとクローゼットから取り出して畳んだはいいが置くところがない、ちょうどローに送る服を入れるために用意した段ボール箱に目がついて、とりあえずはとそこに置いておいたらしい。置いたはいいがだらしのない従姉のことだ、その上に必要のないと判断した服をどんどん投げ散らかし積み重ねていったのだろう。そしてそのまま適当に詰めてローに渡してしまったのだと言う。いつも通りぐちゃぐちゃと乱雑に放り込まれていた服の中でその制服だけ綺麗に畳まれていたことを思い出して電話口で呆れながら納得した。「もう必要ないし取りに行くのも面倒だから捨てといて」そうして電話は切られ、それなら後で片付けておくかとそのまま段ボールの中に投げておいたその制服はもう決して日の目を見ることはないだろうと。そう思っていたのだが。
 そんな手違いで送られてきた制服が予想に反して日の目を見たのはそれから二週間後のことだった。きっかけは学祭で行われた「逆ミスコン」、学校中で一番かわいい女子を決めるのではなく、一番女装の似合う男子を決めるこの学祭の目玉といえる出し物だ。ローの通う中学校は私立大学付属の中高一貫校であり、そのため学祭は毎年中等部・高等部入り乱れて盛大に行われる。「逆ミスコン」では中等部代表五名、高等部代表五名の中からそれぞれグランプリを決めるのだが、あろうことかローは中等部代表として無理矢理参加させられ、なんとその上グランプリをとってしまったのだ。あの時のことを思い出すと未だに死にたくなる。無理矢理女子の制服を着せられ、誰が持ってきたか分からない黒髪ボブのウィッグを被せられ(しかもその後持ち主不明ということで何故かローが始末をつける羽目になった)、全校生徒の面前に放り出された自分には同情の溜息。グランプリを出したクラスには食堂での食事一回タダ券が貰えるのだが、まさかそのために自分が売られるとは誰が予想しただろうか。
 しかしまあそのおかげで今、こうして体のいい「お小遣い稼ぎ」が出来ているのだからあまり文句も言えない。学祭から一週間、女装で過ごしたあの数時間も最早誰かのネタになることもなくなり、やっと落ち着いて学校に行けると思っていた時だった。ふとつけたニュース番組で組まれていた特集で問題にされていた援助交際の話。最近また増えてきたようだとコメンテーターが口にする様子を眺めながら、ローはふと自室の段ボール箱を思い出す。二階に行き、引っ張り出した制服に袖を通すか否か、その葛藤が五分も続かなかったのには訳がある。両親から月にいくらかのお小遣いは貰ってはいるものの、ローには欲しいものがたくさんあった。その大半は本が占めていたが、しかし学術系の本や図鑑はそれなりに値が張る。ベポのグッズも集めたいし、学校帰りの寄り道や買い食いなんかでも金は使う。両親ともに病院勤めのローの家は裕福な方であったが、中学生の身分で貰えるお小遣いなど多寡が知れている。その点はしっかりしている両親だったので、不自由はないがもう少し小遣いが増えたら、とはよく思っていた。そんな時にわりかし自分の女装がいけることに気づいたローが、段ボールの中に投げおいた制服を身に着けて夜の街へ繰り出すまでそう時間はかからなかった。

 初回は上々だった。ラブホテルや風俗店がちらつく通りの下でぶらぶら歩いたり、適当な場所で立ち尽くして携帯を弄ったり。あとは声がかけられるのをひたすら待った。そんなにうまくいかないかもしれないと思っていたが、いかにもな中年男性が声をかけてきたときは内心ガッツポーズしたものだ。適当に会話しながら、といってもあまり声を出して性別がばれても困るのでそんなに喋らなかったが、そこら辺のラブホテルに入り「脱いで待ってるから先にシャワー浴びてきて」と甘ったるい声を出して微笑む。あとは意気揚々とシャワーを浴びに行ったおっさんを内心馬鹿にしながら財布を探って有り金をくすねてさようならだ。
 一度成功してからというものローはこの「お小遣い稼ぎ」にどはまりした。罪悪感はこれといってない。青少年保護育成条例に引っかかるような大人はこれくらいされて然るべきとすら思っていた。

 そして今日も今日とて夜の街をぶらつく。こうして出歩くのも何度目か、最近は声を掛けられるのを待つだけじゃなく、こちらからもかけるようになっていた。ポイントはいかに金を持ってそうな奴を掴まえるかどうか。あまり若い奴は駄目だ、中年くらいがちょうどいい。あとは目で分かる。舐め回すように見てくる奴は大抵当たりだ。こちらから声を掛けても外れることはなく、下心丸出しの顔で受け入れてくれる。
 こんなことを何度か繰り返してきたが、まだ一度も体を暴かれたことはないし失敗したこともない。それがまたローには体のいい「お小遣い稼ぎ」として魅力的に思えたし、手放しがたいものに思えた。実際やめる気は毛頭なかった。月に一度ほどのペースだったそれが二度三度と増えていくのを感じたときは流石に抑えなければいけないと思ったが、結局簡単に金が手に入るというその誘惑には勝てず、何か困ると夜家を抜け出るのが癖になりつつあった。両親が夜勤の日や夜遅く帰ってくる日を狙ってやっているので、このことはまだ誰も知らない。バレる心配がないというそのこともまた、ローの行動に拍車をかけていた。

 口から吐き出される息がほんのりと白い。そろそろマフラー一枚でしのぐのも厳しいかもしれない、と思いながら冷えた指先を擦り合わせた。早いところ誰か捉まえてとっとと帰ろう、明日は休みだから本屋に行って欲しかった本を買ってこよう――ぼうっと考えながら通りを歩く人に目をやる。流れ過ぎ去っていく人ごみの中にこちらをじっと見つめている男がいることに気が付いて、ローはマフラーの下でほくそ笑んだ。視線をそらさずゆっくりと歩く男、目の前を通り過ぎようとしたその男に近寄ってコートの袖を掴むとローは小さく微笑んだ。

「おにいさん、暇?」

 捉まえるのはいつも中年ばかりだったがその男は若かった。二十代後半、だろうか。逆立てられた赤い髪が印象的な、体躯のいい男だ。強面ではあるが鼻筋の通った整った顔は女受けのよさそうに思える。普段ならばこういったタイプには絶対に声を掛けたりしないが、早く済ませて帰りたいと言う気持ちと、これまでの成功例しかない経験から生まれた慢心がローを急かした。

「暇なら、遊んで」

 立ち止まった男を見つめる。いつからか板についた上目遣いと甘い声で囁くと、男は小さく笑ってローの肩に腕を回した。言葉のない了承。それにローはマフラーで口元を押さえる。これで今夜は勝ったも同然だ。ホテル街へ向かう足取りも軽やかに、すでにローの頭の中は明日の予定で一杯だった。

「普段からこんなことしてるのか?」
「ううん、おにいさんが初めて」
「…いけない子だな」

 その言葉が嘘だということはきっとこの男も分かっただろう。いけない子、と呟いたその口調には、嘘を吐いたこととこれから行われる行為のこと、それを窘めるようなからかいが含まれていたが男の目は笑っていなかった。しかし正面を向いたままのローは気づかない。気持ちがすでに別の所へと向けられているローは男との会話もおざなりで、聞かれたことにただ答え、時折思い出したようににこりと笑った。
 ホテルに着くころにはローは男を「ユースタス屋」と呼んでいた。ユースタス・キッド、26歳。仕事帰りで帰る途中にローを見つけた。どこにでもいるサラリーマンで、今は仕事が忙しくて彼女はいない、等。ローの敬語もあったものじゃない喋り方と屋号をつけたおかしな渾名にキッドは嫌な顔をするでもなくただ「面白いな、お前」と快く許した様も印象的だった。ここまでプライベートなことを話してきた相手はユースタス屋が初めてだ、とローは内心驚いていたが、その分自分の情報も相手に伝わっているということを忘れている。トラファルガー・ロー、17歳(歳を聞かれたら実年齢より二歳盛って答えることにしている)。海南高校に通う「女子高生」で(実際は北中三年の男子中学生)、家に帰るのが嫌で友達の家に泊まりに行くと言っては夜遊びしている(という設定)、等。実際のところ名前以外は嘘で塗り固められた事実であるため、ローは自分が話した内容をあまり意識していなかった。そもそもこんな話に意味があるとも思えなかった。金をとってしまえばあとは終わりだ。悪いなユースタス屋、と思いながらホテルの中に入っていった。

「ユースタス屋、先にシャワー浴びてきて?」

 部屋に入ったローはベッドの上に腰掛けるとお馴染みの言葉を囁いた。「一緒に入らねェの?」と冗談交じりに言うキッドに笑うと、マフラーをとり、ブレザーを脱ぐ。待ってるから、と甘ったるい声で。これで引っかからなかった男はいない。あとはシャワーを浴びに消えたユースタス屋の服の中から財布を探って、いつも通りに――そこまで考えてどさりと切り替わった視界に一瞬思考が追い付かなくなる。目の前に見える赤い髪、その後ろに広がる天井。

「嫌だって言ったら?」

 そこで初めて、自分が押し倒されていることに気が付いたローは驚きに目を見開いた。

「っ…だめだってユースタス屋、すぐ浴びればいいだ…でしょ?」
「面倒くせェ。どうせ汗かくんだし後で一緒に浴びればいいだろ」

 にやりと笑ったキッドに背筋を冷たいものが伝う。そもそも今までは運が良かっただけなのだ。実力行使にでる奴も、ローの言葉に頷かない奴もいなかった。こういう状況に持ち込まれてもおかしくないことをしていたのに、いざその状況に巻き込まれてしまうと途端に何も考えられなくなる。どうしよう、としかし実際動きが止まったのは二秒程度で、考えるよりも先に目の前の男を突き放していた。

「…まさか自分で誘っておいてやめる、なんてないよな?」

 思いのほか力の入っていない男の体はすぐに離れ、ローはベッドの上で後ずさる。その様子をキッドは笑って見ていたが相変わらず目は笑っていなかった。口から出る言葉も優しい調子で紡がれているくせにぞっとするほど単調だ。ローは唇を噛み締めるとカーディガンを握り締める。一か八かの賭けというよりも、もうこれしか手が無いように思えて、嘲るような笑みを浮かべるとシャツごとカーディガンを捲り上げた。

「これでよければ」

 現れた素肌は傷一つない、滑らかな。しかしそこにあるのは豊満な胸ではなく、男特有の平べったい胸。
 男がどんな反応を見せるか、ローにとっては賭けだった。怒鳴られるか、はたまた殴られるか、それよりもっとひどいのはキッドがバイであった場合――どちらにせよ、ただですまないことは分かっている。どうにか隙を見て逃げ出してやると思っていたし、口で負けない自信もあった。何にせよ、大抵の男は男を抱かない。窮地に追い込まれている自覚はあったが、それも運が悪かった程度の認識で、ここまできてもローには何とかなるだろうという根拠のない自信があった。
 挑発的なローの笑みと突如と明かされた事実にキッドが目を見開いたのは分かった。その事実はこの男も予想していなかったのだろう。面食らうことは想定済みだ。そのあとは、さあ、どうくるか。

「ったく、本当に…最近のガキは何考えてやがんだ…」

 ローの行動にキッドは面食らっただろう。しかしローもまたキッドの行動に多少なりとも驚いていた。何がきてもいいようにと身構えていた結果が、重い溜息と呆れるように言い放たれた言葉。その真意を掴む前に伸びてきた腕がカーディガンを掴む。あっと思った時には先程よりも力強い手で元あった位置まで戻されていた。そうして叱るように額を小突かれて、その予想もしなかった行動にローはぱしんと瞬きを打った。

「いってぇ…なにすんだよ」
「そりゃこっちの台詞だ。何してんだお前、そんな恰好までして」
「あんたみたいなアホなおっさん引っ掛けて遊んでる」
「あのなぁ……」

 再び吐かれた溜息にローは視線をそらす。キッドのとった態度は予想していたそのどれもと違っていた。そしてそのどれもとは違った意味で最悪な方に進んでいると思った。この状況下では絶対に起こり得ないだろうと思っていた、悪いことをした子供を叱る大人という方向に。

「自分が何してるのか分かってるのか?」
「お生憎様、その言葉そっくりそのまま返してやるよロリコン野郎」

 だがもちろん、ローを買おうとしたキッドに説教やら何やらされる筋合いは全くない。自分のことを棚に上げてふざけるなと、生意気な顔で舌をだした。そんなローに呆れた視線を投げると、キッドはコートのポケットから何やら取り出す。それをぐいっとローの眼前へと突き出した。

「そのロリコン野郎が補導してやろうか女装少年くん」
「なっ…」

 見せつけられた写真に写る顔はまさしく目の前の男のもの。ドラマ等でよく見知ったその手帳を間近で見るのは初めてで、一瞬何のことか分からなかった。開かれたその手帳に警察の二文字を見つけて思い出したように悪態を吐く。何がサラリーマンだよ、とローは目の前の男を睨みつけた。

「…夜回りセンセーってわけ?」
「まあそんなとこ。しかしこんな問題児が釣れるとはな」

 いつもは援交まがいの女子高生を補導するだけなのになーと何でも無いように呟くキッドに、こんな形での摘発はずるいとローは思った。その思いのまま口に出せば、キッドは嫌味な笑みを浮かべた。

「だけどこれで大人はからかうもんじゃないって分かったろ?俺が最後までヤる気だったらどうするつもりだったんだよ」
「それはっ…」

 呆れた口調に笑みもそのままだったが細められた瞳は剣呑な光を映している。二の句をつごうとして口を開くも乾ききったようにうまい言葉は出ず、ローは黙って肩を竦めた。暫く沈黙が二人を支配し、その間キッドはじっとローを見つめていた。ローはそんなキッドが何を考えているか分からず、ただ黙って俯いた。

「…よし、帰るぞ」
「は?」
「帰るんだよほら、出るぞ」

 沈黙を破るきっかけを探していたわけではないが、キッドの言葉を待っていたことは否定しない。ただまさかそんな軽い言葉をかけられるとは思わず、顔を上げたはいいがローは訝しげにキッドを見つめるだけでベッドから立つことはなかった。そんなローにブレザーとマフラーを投げつけ「ほら行くぞ、」と立ち上がる。

「で、署までご同行願います、って?」
「連れってってほしいならな」
「は?」
 投げつけられた服に顔を顰め、のそのそ着込むと立ち上がる。傍に立っていたキッドはそれを待っていたかのようにローを引っ張ると早々にホテルから連れ出す。何も言わないキッドにローも何も言わず、連れられるがままに道を歩けば目の前に駅が見えてきて困惑した瞳をキッドに向けた。

「駅に着いたら寄り道しないでまっすぐ帰れよ。そんでもうこんなことはするな」
「え、なに、帰してくれんの?」
「お前がその恰好をご両親に見せたいって言うなら引き止めねェけど?」

 頭のてっぺんから爪先までキッドの視線が上下に動き、ローは慌てて首を振った。こんな姿、誰が両親に見られたいと思うものか。てっきりこのまま交番まで連れて行かれると思っていたローはひどくラッキーだと心の内で喜んだ。その采配はキッドの一度限りの仏の顔なのだろうか、ともかくその恩赦を有難く受取ろうと。

「じゃあな、トラファルガー。次会ったら補導するからな」
「ご心配なく。ばれないようにこっそりやるから」
「おい、」
「はいはい、冗談だよ、もうしません」

 いや、恩赦というよりも執行猶予だろうか。次はないというキッドにまさしく次はないのだろうと考える。そうは言っても、もう会うこともないだろう。今日は運が悪かっただけ、今日で何度目かのその思いを抱えて改札を通ろうと定期を出した腕をぐいっと掴まれた。

「見てるからな、」

 囁かれた言葉は一瞬で、次にはもう改札の奥へと押しやられていた。脅し文句にしちゃありきたりだ。何だったんだと思いながら、人ごみの中へ消えていくキッドの背を見てローは不思議そうに首を傾げた。
 その言葉の意味を知るのはそれから三日後。通学路の交番に制服姿で佇む男を見て驚いたような顔をしたローに、キッドはにやっと笑ってみせた。

「見てるって言っただろ、女装少年くん」





続く予定




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