ロー誕2010 | ナノ

ぐったりとベッドの上に沈み込み、死んだように眠るトラファルガーの頭をそっと撫でる。泣き腫らして少し赤くなった瞼にキスすると、あれじゃあいつも通りだと結局最後の最後で優しく出来なかった自分に苦笑した。

「つか…渡しそびれた」

本当はもっと前に渡すつもりだったのに、そのまま行為になだれ込んでしまい、無茶をさせてトラファルガーは気を失ってしまうしで、すっかり渡しそびれてしまった。いつ渡そうか、くるくる箱を弄りながら考えたが明日面と向かって渡すのは何だか微妙。じゃあどうするか、と考えたところで…シュルリと包装された青いリボンを解いた。





やはり今日もカーテンの隙間から射す朝日で目が覚めた。いつもならこの眩しさにやられて渋々起きるが今日は休みなのでわざわざ起きる必要もない。その眩しさから逃れるようにユースタス屋に擦り寄ると、ふと金属の擦れる音がして首を傾げた。視線を落として音を追えば、首にかかる見たこともないシンプルなシルバーのプレートネックレス。ぱちりと目を覚ますと、手に取ったそれは朝日にキラキラ輝いていた。

「…ん」
「! ユースタス屋」
「……?」
「これ、」
「…あー」

起きる気配を見せたユースタス屋をバシバシ叩くと無理に起こさせる。喋るのが億劫なようで、眉根を寄せたユースタス屋に指で示せば、寝起き独特の低い声で間延びしたような返事をされる。

「これ…誕生日プレゼント?」
「遅くなっちまったけど。…気に入らねェ?」
「別に…嬉し、い」

何だか急に照れ臭くなってしまって、ついそっぽを向いて答えてしまう。素直に言えない俺、可愛くない。性格的な意味で。
だけどユースタス屋は気にしてないようで、そっか、と貰った俺よりも嬉しそうに笑うから調子が狂う。

「…?ユースタス屋もつけてる?」
「ん、ああ。これな」
「なんでブレスレット?ネックレスじゃないのか?」
「…秘密」

俺の頬を撫でるユースタス屋の左腕にシャラリと光る、やっぱりシンプルなシルバーのブレスレット。デザインは同じだけど、ユースタス屋だけブレスレットというのが分からなくて首を傾げれば少し間を置いた後に指先を唇に宛ててしまい、教えてくれない。気になると言えば飼い猫には首輪、と訳の分からないことを言われて眉根を寄せた。そんな眉間にキスを落としてユースタス屋は知らなくてもいいというように笑う。それに餓鬼みたいに脹れると、シルバーのそれを手に取った。こういうときのユースタス屋は大概何を言っても無駄なのだ。

手に取ったそれをよくよく見れば、メッセージプレートのようで、何か書いてある、……っ?!

さっと目を通し、赤くなっていく顔を必死で抑えようとしたけれど自然現象には勝てない訳で。真っ赤な顔をしたままネックレス片手に固まる俺に気付いたのか、ユースタス屋はふっと笑うととびきり甘い声で愛してると囁いた。




I vow to love you forever!





「ロー、それネックレス?つけるなんて珍し」
「ん?ああ、ユースタス屋から貰ったんだ」
「誕生日プレゼント?どうせペアだろペア」
「羨ましいならキラー屋に頼めよ。まあペアっちゃペアだけどユースタス屋はブレスレットなんだよなー」
「誰が羨ましがるかバカップルめ。…ふーん、面白い揃え方だな」
「なんでか聞いたんだけど教えてくんねェの。飼い猫に首輪なんとかって言われたけど」
「………」
「なに?」
「んー…そーいやこの間ペットショップでおんなじ話聞いたなーって」
「は?」
「ユースタスってすげぇ独占欲強そ」
「なんだよいきなり」
「べっつにー。ローってたまにすげぇ鈍感だなぁって思って」
「…はぁ?」

(…この間ペットショップで聞いた話、飼い猫や飼い犬なんかに首輪紛いのペット用アクセサリー?を買い与えるとき、揃いのブレスレットなんかを一緒に買ってつける飼い主がいるらしい。)

「…そもそもネックレスって時点で“首輪”だしなぁ」
「なんか言ったか?」
「愛されてるなって」
「…はぁ」




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