死ねばいいのに! | ナノ

「なあ、分かるか?いつもこうして俺の指締め付けてさ…」
「やっ、言う、なぁ…っ!」
「言われるの好きなくせに。さっきより締め付けてるぞ?」
「ぁん、ゃっ、だぁ…っ、ちが、ひぁあ!」
「嘘吐くなよ、淫乱」

低く甘ったるい声で囁かれた言葉に首を振っても、ぎゅうぎゅうと指に感じる締め付けはどうしようもなくて。はっきりと感じるその熱と締め付けが嫌で恥ずかしくて溢れた涙がシーツに零れていく。

早くその指を抜いてほしいのにユースタス屋は抜いてくれず、淫乱だと罵りながらわざとらしく俺の弱いところを突いてくる。
緩やかな刺激の中で断続的に与えられる強い刺激は、悔しいけど意識をもっていかれるほど気持ちいい。ユースタス屋はそれを知っててわざとやっているんだから本当に性質が悪い。
気付けば俺はその快楽に抗いきれず、自分勝手に指を動かしていた。

「あぁっ、んぁ!ふ、ぁ、」
「はっ、もう三本も咥えこんでるぜ?さっきまで嫌がってたくせにな」
「ひっ、ゃあ…っ、ゃ、見なっ…」
「見られた方が感じるんだろ?」
「や、ちが、ぅ…ぁっああ!」

ユースタス屋の言葉に首を振りながら、無意識のうちに増やした指でぐちゃぐちゃと中を弄る。いつの間にかユースタス屋の指は抜け出ていて、なのに止まらない。
確かに自分の指なのに自分の意思で抜くことも出来ない。ただ快楽を求めるようにさっきまで散々嫌がっていたその指で中を掻き回して、その姿をユースタス屋にじっと見つめられては羞恥に頬が熱くなっていく。恥ずかしくて死にそうだった。なのにやめられない自分がどうしようもなく浅ましくて視界がぼやける。
快楽を貪りながら思うのは早くこの行為が終わればいいのに、という真逆のこと。気持ちいいけどその何倍もこの状況が恥ずかしい。

「ひぁ…っ、ん、ふっ、」
「なあ…お前ちゃんと分かってる?自分のいいとこ」
「ふっ、ぁ…?んっ、ひぁあ、や、そこっ…!」
「そ、ここな?」
「あぁっ!ゃめ、やっ…ふぁあ、あっ」

羞恥と快楽が入り交じる混濁した意識の中で、ユースタス屋の視線に焼ききれそうになりながらもただ指を動かした。こんなんだったらこのあるかないかの理性なんてなくなった方がマシだ。
そしたらまだ楽なのに、なんて思っていたら不意にユースタス屋に囁かれて。明瞭ではない意識では何が何だか分からず、視線を投げると同時にいっぱいいっぱいのそこに押し入ってきた新たな指に目を見開いた。

撓る背中に宥めるようにキスを落とされ、突如入ってきてユースタス屋の指にぐちゃぐちゃと中を掻き回される。
慣れ親しんだように動く指が自分で弄るよりも倍気持ちよく感じられ、くいっと指を曲げられたかと思うとユースタス屋の指が出ていったきり放っておかれていた前立腺を何の前触れもなく刺激されてびくんと体が震えた。

「あっぁ!ゃ、んぁあ!」
「気持ちいいだろ?お前ここ、好きだもんな」
「ひぁ、あっ、ゃ…ゆー、すた…あっぁ、そこ…っ、や、あっ!」
「おいおい…これだけでイくなよ?」

くつくつと笑ったユースタス屋が揶揄するように先走りに塗れた俺のモノを撫でて、ぐちゅりと指を突き立てる。それに反論しようにも口を開けば甘ったるい声しか出てこなくて、キッとユースタス屋を睨み付けた。
もちろん効果なんて期待してなかったけど、仕返しとばかりにぐりぐりとそこを刺激されて視界がどんどん滲んでいく。ガクガク震える腕で体を支えるのはもう限界で、がくりと倒れそうになると同時にユースタス屋の指が引き抜かれた。

「っ、あ、…ぁ…は、」
「…やらしー顔」

俺を起こすと自分の方へと引き寄せたユースタス屋が、涙と唾液でぐちゃぐちゃになった顔を見てそう呟いた。にやりと弧を描いた瞳に頬が赤くなったのは言うまでもなく、そうすればまたユースタス屋が満足そうな顔をしてその頬にキスを落とす。
相変わらず可愛いな、なんて顔から火が出そうなことを口走りながら。

「ふっ、ゃだ…みん、な…」
「だからそういうのが…――ま、いいけど。…な、そろそろ俺も気持ちよくしてくれる?」
「…っ、ぁ、」

向かい合うよう抱き締められて、ちゅっと耳にキスを落とされながらそんなことを囁かれるこっちの身にもなってほしい。ただでさえ弱い耳元で、そんな声で囁かれたら嫌がることなんて出来ない。
だけど素直に、いいよ、きて、なんて当たり前だが言うことができず、変わりにユースタス屋の服をぎゅっと掴んだ。そしたら今度は額にキスを落とされて。

「自分で挿れられる?」
「っ、ゃ…むり…っ」
「俺も手伝うから」

ふるふると首を振れば優しいキスが頬や額や瞼の上に落ちてきて、やっぱり断ることが出来なくなる。
たまに垣間見える優しい一面に絆されて流される癖は今でもまだ健在らしい。「お願い」なんて取って付けたような言葉でも、気付けば俺はユースタス屋のベルトに手を掛けていた。

これで調子に乗るなよ、と言おうかとも思ったが、ユースタス屋が優しく頬を撫でる手つきに変わりがないので恐る恐る手を進める。
ベルトを外し、前を寛げると下着をずらしてユースタス屋のモノを取り出す。現れたそれはすっかり反応していて複雑な気分になった。

「んっ、ぁ…ふ、っ、」
「…っ」

ユースタス屋のモノを数度手で抜くと、自らそれを解れきった穴に宛がった。
こんなこと滅多にしないんだからな、と目で訴えかけると苦笑したように頬にキスされる。挿れて、ととどめの一撃ともとれるような低い声色で囁かれて、宛がったそこにゆっくりと腰を落とした。
ぎゅっとユースタス屋に抱き着いて、入ってくるその感触に身を震わせる。一気に挿れるのは辛いから、出来るだけゆっくりと。
そう思ってたのに。

「…ロー」
「っ、!?ひっ、ぁああ!」

不意に耳元で熱く名前を囁かれて、今までの緊張の糸が解けるみたいにガクンと体の力が抜けた。同時に半分以上がズプスプッと勝手に入っていって、その刺激に頭の中が真っ白になった。
何だかすごく気持ちよくて、びくびくと体を揺らしていればユースタス屋の驚いたような表情がちらりと視界の隅に映る。でもそれも一瞬で、次に見たときにはもうあの意地の悪い笑みへと変わっていた。

「何だよ、挿れただけでイったのか?」
「っ、ゃ…」
「名前呼ばれるの、そんなに気持ちいい?」
「ふ、ちがっ…」
「なら今の何だよ。…ロー?」
「ひぁ…っ!」

耳に唇をつけられて、そのまま囁くように吹き込まれる。それにどうしようもなくゾクゾクして、首を振るとユースタス屋の肩口に顔を埋めた。
そんな俺の反応を見つめて、ほんと名前呼ばれるの弱いよなあ、とくすくす笑ったユースタス屋に腰を動かされて益々頭の中が真っ白になっていった。

「あっ、あ!ひ、ゃ、ゆー…っ!」
「っ、俺のことも名前で呼べよ」
「ふゃ、あ…やっ…」
「シてるときぐらいいだろ?ロー」
「ひぁ!ゃ、ずる、い…ぁあ!」
「狡くて結構。…呼んで?じゃなきゃこの間みたいに意識飛ぶまで続けるぞ?」

言っていることがめちゃくちゃすぎてユースタス屋を睨み付ければ、涙を舐めとるように目尻にキスされる。
ロー、なんてまた囁かれて。本当狡い。

「っ、あ、…っど」
「ん?聞こえねェよ」
「ひっ、ぁ…きっど、きっ、ふぁあ!」
「はっ…やば、可愛すぎ…ロー…」
「あぁっ!ゃ、もっ…ゃあ、だめぇっ…」

ユースタス屋に名前を呼ばれるたびにどうしようもなく体が震えて、泣きながら首を振る。
だけどユースタス屋はやめてくれなくて、何度も何度も耳元で囁かれた。同時に激しく腰を打ちつけられて、そのたびに遠退く意識を無理矢理呼び戻される。
与えられる強い快楽にぼろぼろと涙を溢しながら、必死にユースタス屋にしがみついた。

「あっあぁ!ゃっ、きっどぉ…あ、も、いっちゃっ…!」
「ん…一緒に、な」
「ひっ、ぁあ――っ!」
「……っ!」

あとはもう、めちゃくちゃ激しく突き動かされて、何が何だか分からないうちにイった。




結局俺はその日気を失って、朝起きたら声は出ないわ腰は痛いわで最悪だった。
それについてぶつぶつと呪詛ともとれるような文句を呟いていれば、不意にユースタス屋に抱き締められて。昨日は最高だった、なんて言われてしまえばそれだけで俺は静かになる。

「超可愛かったし…マジやばかった。俺の名前呼びながらイくお前とか三日は抜けるわ」
「〜〜っ、死ね!」

だけど笑顔で言われた内容があまりにもショッキングで、赤くなった頬がバレないようにユースタス屋をベッドから蹴落としたのは言うまでもない。



お返しは三倍の愛でどうぞ




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