同棲中な二人の裏的日常 | ナノ

「っんん、ふ、ぅ…く、!」
「…声出せよ」

耳に舌を這わされるとそのまま低く囁かれ、それに反応した体がビクリと揺れる。首を横に振って睨んでやったが余裕な笑みを見せつけられただけで。その顔、俺ばっか余裕ないみたいでムカつくんだけど。文句のひとつでも言ってやりたいところだが下手に口を開ければ声が漏れてしまいそうになってそれも出来ない。

気紛れに動く舌と指が胸元を弄る。シーツを掴むと声が漏れないように唇を噛んだ。暫くその攻防を続けていた。が、ふとユースタス屋がベッドから起き上がって視界から消える。何事かと目で後を追えば寝室の隅に追いやられるようにして今朝届けられた荷物を見つけた。いつの間にかこっちに運ばれていたらしい。そう言えばすっかり忘れていた。ユースタス屋、それ、と言おうとしたがその前にユースタス屋がそれをこちらに持ってきていた。ひとつ言わせてもらえば今この行為を中断してまでその箱を開けるという行動はとらなければならないものなのだろうか。というか俺は放置かこの野郎。何してんだよと言おうとして、怪しくもにやりと笑ったユースタス屋と目が合った。瞬時に視線を反らす。あの笑みは決して良いものなどではないからだ。

「これ、何だか知ってるよな?」
「は…なに、っ」

先程までは箱の中、今はユースタス屋の手の中にあって俺の前に差し出されたそれはローター、いわゆる大人の玩具というやつで。最早知る知らぬの問題ではない。
嫌だと首を振って逃げようとしたがユースタス屋に阻止されて無駄に終わる。試してみようぜ、と事も無げに言ったその顔には殴りたくなるほど最高にムカつく笑みを浮かべていた。





「ん、く、ぁっ、は…っゃめ!」

人間の動きでは決して出来ない機械的な動き。それを使ってぐりぐり乳首を押しつぶされると思わず声が漏れた。もう片方はユースタス屋の舌先と指先で摘まんだり歯を立てられたりといいように弄られる。
こんな玩具で、という気持ちもあってか絶対に声を聞かれるのがいやで。それならと自分の手で口を塞ぐ。それに気づいたらしいユースタス屋が顔をあげたのできっと睨みつけてやった。

「ったく…強情だな。素直に気持ちよくなってりゃいいのに」
「っ、だれが、ぁ…そ、なので…っっ!」

もっと言ってやりたい言葉もあったけど生憎あんまり喋ると声が漏れそうになってだめだ。睨みつけた先のユースタス屋はその言葉を聞いて小馬鹿にしたように笑った。その笑みに本日何度目かのムカつきが襲ってきた。が、ぐっと片足を持ち上げられて足を無理矢理に開かせられるとそれどころじゃなくなってしまう。

「ここをこんなにしてるやつが言えたセリフか?」
「っ!?んんっ!ひ、ぁ、はっ、ぁあ…ゃめ、ゃっ!」

何の前触れもなくいきなり自身を触られて大げさに体がはねる。今まで上しか弄られてなかったせいか直接的な刺激に抑えていた声も漏れてしまった。一度出してしまえば抑えがきかなくなるのは知っているから。だらしのない声が引っ切り無しに漏れてそんな自分がいやでたまらない。
強く上下に抜かれて意識が快楽で真っ白になる。何も考えられなくなる。ユースタス屋の舌が耳を這って聴覚からも犯される。ぐっと先端にさっきのローターを当てられて突然の刺激に首を振った。

「ひぁ、あっ!ゃ、ゆ、すたっ、ふぁ!ぃや、だ、ぁっ!はな、し…っ!」
「いいから、ほら…イけよ」

耳元で囁かれるとぐりぐりと抉るようにして押し付けられる。その強い刺激に喉を反らせると声も儘ならずにユースタス屋の掌に白濁を吐き出した。

生理的な涙がじわりと滲んで視界がぼやける。肩で荒く息をすると腕で顔を覆った。こんな顔見られたくない。でもユースタス屋はいつだって自分の都合のいいように動く。今だってさっきまで顔を覆っていた手はユースタス屋によってシーツに縫い付けられてしまった。いい例だ。

「もうギブアップか?」
「っ、だまれ、バカスタス、っ」
「はっ、威勢だけはいつでもいいんだな」

吐精感を感じた体はすでにだるい。これで終わってくれればいろんな文句も飲み込んでやろう。でもさすがにそうはいかないもので。

案の定後ろに少しの圧迫感を感じたかと思うとユースタス屋の指が中に押し入ってきた。無遠慮に押し進められたそれが中で好き勝手に動く。ぐちゅぐちゅと出し入れさせる音はいつ聞いてもいやなものでしかない。わざと聞かせるようにしてやってるんだから余計性質が悪い。二本、三本と増えた指がばらばらに動くもあくまで慣らしている、といった感じでいいとこには掠りもしない。じっとユースタス屋を睨むとにやりと笑われて堪らず横を向いた。そんなことしてくるユースタス屋にもムカつくけど浅ましく強請ってしまいそうな自分にも腹が立つ。唇を噛むと何とか堪えようとして目を瞑る。それを見計らってかどうかは知らないがユースタス屋に囁かれた言葉にかっと顔が熱くなった。

「…腰、揺れてるぞ」
「っ、うるさ…ぁ!?んんっ!ひっ、ぁ、あ、っそこ、ゃめっっ!」

予想もしなかった刺激に体が震える。容赦なくいいとこを指で突かれて抵抗するようにユースタス屋の肩を掴んだ。でもまったく力が入らないから無駄なことでしかない。首を振ると涙がぼろぼろと零れた。

「ぁ、んっ!ゆ、すた、ぁあっっ!な、かに…!」
「ああ、さっきのローター。気持ちいいだろ?」
「やだ、ゃっと、って、とっ、あぁあっっ!」
「…おい、またイったのかよ。そんなにいいのか、この玩具が」

中に挿れられた玩具の振動を強にされていいところに押し付けれらた。痛いほどの快楽に飲み込まれてたまらずまた吐き出してしまう。それでも止まない振動におかしくなりそうだ。ユースタス屋の背中に思わず爪を立てる。べろりと涙と一緒に頬を舐められてユースタス屋の言葉に必死になって頷いた。

「…挿れるぞ、っ」
「ぇ、や!まだ、なかに、っっひ、ぁ、ああっ!」

挿れていいか、と聞かれて頷けば取ってもらえれるかと思ったのに大間違いで。静止も聞かず腰を押さえられるとぐっと一気に挿れられた。びくんと体が大きく跳ねる。

取れなくなるんじゃないかってぐらい押しやられたローターをさらに奥に押し付けるようにして激しく律動される。涙腺なんて壊れたみたいに涙は止まらないし声だって最初の決意はどこへやらだ。強すぎる快楽はもはや痛みでしかない。逃げようとシーツを蹴れば両足を肩に担がれてより深くまで突き上げられる。頭がおかしくなりそうだ。

「ん、はっあ!ぁあ、き、っど、っおかし、くな、っぁ、あ!」
「っ、なら…おかしく、なれよ、っ」

激しく打ち付けられ奥を抉るようにして突かれる。耳元で囁かれた言葉にせめてもと背中へ爪を立てた。そうでもしないと本当におかしくなりそうだ。激しい律動とローターに攻められて限界を訴えると唇に触れるだけのキスをされる。ぎりぎりまで引き抜かれて一気に奥を突かれると声にならない声をだして絶頂へと追いやれ、そのまま意識は暗闇へと落ちていった。





翌朝ユースタス屋になんであんなものを買ったのか聞いてみたところ「てめェが言ってたんだろ」と寝起き独特の不機嫌そうな声色で言われた。

「玩具使うとマンネリ防止とかなんとか自分で言ったの忘れたのか?」
「…あー…」

言われてみれば確かに言ったことがあるような。でもあれはユースタス屋をからかおうと思って言っただけで。まさか本気で実行してくるとは思わなかった。

たまには悪くないかもな、と言ったユースタス屋をとりあえず全力で否定しておいた。もう二度と余計なことは言わないでおこう。




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