同棲中な二人の裏的日常 | ナノ

寝惚け眼を擦るとベッドサイドにある時計を見やる。時刻は8時10分。今日は土曜日だからこれといって早く起きる必要もないが隣を見ればいるはずのユースタス屋がいない。腰に回された手に振り向けばどうやら後ろで眠っているらしかった。
暖かいベッドを離れるのは名残惜しいがユースタス屋より先に起きれたのは珍しいと思う。まだあまり覚醒しない頭で欠伸をひとつ。せっかくユースタス屋よりも早く起きれたんだしたまには俺が作ろうか。ぼんやりそう考えると朝食を作るために起き上がる。いや、正確には起き上がろう、とした。

「!っ、ぁ…?!」

温もりに別れを告げて起き上がろうとすればビクリと身体が震える。突然の刺激に嫌な予感。

(なんか…なかに入って…。)

どこに、とかなにが、とかもちろん聞かなくても分かると思うけど。確かに数時間前まではシてたが挿れたままとはどういう了見だこの野郎。
とりあえず今すぐ後ろでのうのうと寝てる奴を叩き起こして問いただしたいところだがそんなことしたら俺がヤバイ。そのままなだれ込むのが目に見えてる。
ので起きたら覚えてろ、と小さく呟いて起こさないようにゆっくりと体を動かした。

「ん、ぁ…ッ、ふ、」

漏れる声が嫌で唇を噛むがあまり効果もなく。邪魔なユースタス屋の腕を掴んで軽く退けるともう一度体を動かす。
抜けていく感覚がリアルに伝わって思わず鳥肌が立つが無視。もう少し、とシーツを握って一息吐くと不意に伸びてきた手が腰を掴んで無理矢理引き戻された。

「ひ、ぁっ!?ゃ…なん、起きて…ッ!」
「あんな声出されて起きない方が可笑しいだろ」

グッ、と奥まで押し込められて逃げようにも腕が邪魔で逃げられない。耳元で囁かれれば身体が震えてそんな自分に嫌気がさす。
振り向いて睨み付けても無駄でギリギリまで引き抜かれると体位を正常位に変えられた。

「…っ朝か、ら、ぁ…盛、んな、ッ!」
「人のこと言えた義理か?」

鼻で笑ったユースタス屋に奥を突かれて内腿が震える。誰のせいだと思ってんだ。つうか盛ってんのはお前だけだろ。ああクソ、ムカつく。
文句も言いたいのに口を開けばロクな言葉も出てこない。手を押さえつけられたので首を振ると涙が溢れた。
体はダルいし腰も痛いのにユースタス屋はお構いなしで。グチュグチュとなる卑猥な音はわざとかもしれない。耳を塞ごうにも手はシーツに縫い付けられたまま。

「ぁ、んッゃ…ユ、スタ、ゃだ、ひ、ァ!」
「はっ、素直なのは身体だけだな、っ」

いいとこばかりを攻められて腰が跳ねる。逃げるようにシーツを蹴ってもしっかりと押さえ付けられ直に伝わる快感にまた涙が溢れた。
身体が熱くてしょうがない。強く閉じた目を薄く開けるとユースタス屋と目が合って思わず視線を反らすがそれすらも阻止される。顎を掴まれると無理矢理視線を合わされた。

「んっ、ゃめ…見、っ、な…ぁ、ッ!」
「いいから、目ェ瞑んなよ、」

首を振ろうにも動かせなくて。嫌だと言う前にいいところを突かれれば上手く口にも出せない。見ろよ、と耳に這う舌と低い声に堪えきれず閉じた目をもう一度開けた。涙で滲む視界でユースタス屋は興奮した獣のように唇を舐める。目尻にキスされると涙を舐め取られた。
ユースタス屋のせいで身体が熱い。

「っア、ゃ、も…だ、きっど、ッ…ひ、っぁ!」
「っ…イけよ、ほら」

見ててやるから、と直接脳を揺さぶるように囁かれてゾクゾクとした何かが背筋を駆け上がる。笑みを浮かべたユースタス屋のその言葉を最後に俺は意識を失った。





「最悪。マジ腰痛い」
「まだ怒ってんのかよ」

のうのうと、と言うよりはむしろ面倒臭そうにも見える顔で呟いた張本人に顔面向かって枕を投げつける。あ、片手でキャッチしやがった。何か避けられるよりムカつく。

「どうせ休みだからいいじゃねェか」
「休みだからベッドの中にいるのはヤなんだよ馬鹿」

ムッとした顔でユースタス屋を睨み上げる。俺とユースタス屋がまともに一緒にいれるのって土日くらいなのちゃんと分かって言ってんのか。せっかく同棲したのにまともに過ごせるのが土日ってあんま前と変わんねぇじゃん。そりゃ、一緒にいれる時間は前よりも長くなったけどさ。

も、いいから。と呟くとシーツに顔を埋める。俺とヤれればそれでいいのか。何で朝からこんなムカつかなきゃなんねぇんだよ。ユースタス屋の馬鹿。

不貞腐れた俺はユースタス屋が何か言っても無視だ。はぁ、と小さく吐き出された溜め息にイライラする。俺ばっかりこんなことを考えてるような気がして。

何の前触れもなくベットが軋んだ音を立てると髪の毛にキスされた。少し見じろいだのをいいことに肩を掴まれて体を仰向けにされる。すぐに視界一面に広がる赤。顔中に降り注ぐキスが擽ったい。

「悪かったから機嫌直せよ」

明日はお前の好きなところに連れてってやるから。
頬や額や唇に降るキス。耳元で囁かれて横を向いた。相変わらず不機嫌そうな顔をして見るが内心はもうすっかり許していて。我ながら単純だと思う。それを知っていて笑うユースタス屋に許した態度を見せるのは癪だからまだ当分不機嫌を装うか。どうせバレてるんだし。気に入らないから明日は散々に連れ回してやろうと分からないように小さく笑った。

何がムカつくって結局ユースタス屋は俺の扱い方が上手いんだ。




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