同棲中な二人の裏的日常 | ナノ

(Happy Valentine's Day!)


俺は手元に置いてあるチョコレートを見てにやりと笑った。綺麗にラッピングされた、端から見れば普通のチョコレート。中には一口サイズのトリュフがいくつか与えられた場所に座っている。
俺が今日ユースタス屋にチョコを渡すのは喜んでほしいからでも名目上のホワイトデー三倍返しを狙ってる訳でもない。大体これ買ったやつだし。中に入ってるトリュフは六個、そのうち三個が媚薬入り。つまりはそういうことだ。

何で半分しか入ってないのかと聞かれればそれしか売ってなかったと言うだけで。媚薬チョコは売り切れで代わりにこのロシアンルーレット並みのチョコしかなかったのだ。
付いてきた説明文書にはカップルで交互に食べてみると楽しいかもとか何とか書いてあったが誰がやるか。媚薬入りが当たるまでユースタス屋に食べてもらえばそれでいい。簡単なことだ。

何でこんなことするかなんて、俺がユースタス屋の上になりたいからに決まってる。この際狡いだとかそんなの気にしないし気にもならない。早く食べてくんないかな、ユースタス屋。


*

夕食後、何の前触れもなく唐突にトラファルガーからチョコを渡された。今すぐ食べろと言うのでラッピングされたリボンを解くと蓋を開ける。珍しいこともあるなと一つ摘まんで口に入れた。

「どう?」
「どうって…甘い」

それだけ?とこいつは脹れたように言った。それだけも何も本当に甘ったるいんだから仕方無い。そういえばビター買おうとして間違えてミルク買ったんだった、と言われて自覚した甘さが倍なる。嫌がらせか。

「これ甘過ぎだろ。もうやるよ」
「はあ?駄目に決まってるだろ。全部食うぐらいの勢いで食べろ」

持っていた箱を奪われると一つ摘まんで口に押し入れられる。何故か向けられる眼差しは期待に満ちていた。意味分かんねェ。俺に一体何期待してんだ。
口の中ではまたあの甘さが広がりつつあった。吐き出す訳にもいかないが飲み込みたくもない。ふと目の前にいるトラファルガーの唇に目がいく。最初からそうすりゃ良かったじゃねェかと顎を掴んでキスをした。

「んんっ?!ん、ふっ、んっん!」

唇を舌で割ると若干溶け始めたチョコを口移しする。まだ舌には不快な甘さが残るがさっきよりは随分とマシだ。
何故か知らないがトラファルガーの今日の抵抗は一段と強かった。なので逃げられないように後頭部を掴むとどろどろに溶けたチョコを飲み込ませる。喉が上下すると同時に甘ったるい元凶がなくなって舌を絡ませた。まるで逃げるように動くので無理矢理に絡め取って撫で上げる。舌先を強く吸うと唇を離した。

肩を上下させ、荒い息を吐くとこちらを睨むがすぐに目線を逸らされる。そこまで激しくした覚えはないと首を傾げた。俯いた顔を上げさせようと頬に触れれば振りほどかれる。

「や、っ…ん…は、さわ、な…っ!」
「……ぜってェあのチョコ何か入ってただろ」

明らかにいつもと違う様子を見せるトラファルガーに確信に近いものを覚えた。触れただけで大袈裟に反応するしセックスの最中みたいな顔を見せる。
振りほどかれた手でもう一度頬に触れると顔を上げさせる。とろんとした目がこちらに向けられるが果たしてきちんと見えているのかは分からない。顔は赤く首元まで染まっていた。

何が入ってた、ともう一度尋ねる。指を滑らせて首筋をなぞり腰に手を当て撫でる。それだけでびくびくと肩を揺らした。

「ん、ぁ…っび、やく…が、っや!」
「媚薬?何でんなもん入ってんの買ったんだよ」
「だ、て…ユ、スタ、屋ば、っか…っ、俺だ、て…上、がい…っ!」

上?ああ、そういうことか。一服盛ってどうにかしようとした訳な。
目一杯涙を溜めた瞳がはぁ、と熱い息を吐く。だからさっきチョコ食わされたときあんな嫌がってたのか。何で一つ目は普通だったのかとか気になることもあるが今のこいつに聞いたって無駄だろう。よくも媚薬何て厄介なもん選んでくれる。

「まあ…自業自得だろ」
「は、あっ!や、ユ、スタ……ひっぁ!」

確かに自業自得も甚だしいがこのまま放っておく訳にもいかない。服の上から乳首を触るとびくりと体を跳ねさせた。そのまま指先で摘まむと押し潰す。片方も同じように弄ると耳に舌を這わせた。

「や、あっ、あ!ひっ、んん!」
「…ここだけでイけんじゃねェか?」

あまりの感度の良さにそう呟くとトラファルガーは首を横に振った。それを無視して服の間からするりと手を滑り込ませると直に触れる。触れた肌はまるで熱を持っているかのように熱い。
捲り上げると弄られ赤くなったもう片方にも舌を絡ませた。時おり歯を立てるようにして舌先で嬲る。強く吸うと片方は指先でぐりぐりと押し潰してやった。

「やっ!あっ、ゃめ、ゃだ、ゃ、ぁあっ!」
「はっ…本当にイきやがって」

肩を掴む腕がびくびく震えたかと思うと一気に力が抜ける。縋るようにして寄り掛かってくる顔は赤く、目には涙が滲んでいた。
下着の中に手を入れるとどろりとした白濁が手につき、それを見せつけるようにして舐め上げる。赤い顔がさらに赤くなり俯いた耳元で囁いた。

「次はどうして欲しいんだよ淫乱。ずっとここだけ弄ってやろうか?」
「んっぁ、っゃだ、ゃ…ちが、い、らじゃな…ッッ!」

首を横に振ると涙が目尻から溢れ落ちる。それを尻目にまたぐりぐりと乳首を弄ってやった。刺激が物足りないのか、揺れる腰に唇を歪める。これが淫乱じゃないなら何と言うのか。媚薬のせいだと分かってはいてもだ。
言わないなら触らない、と言えば涙に濡れたトラファルガーの目が向けられる。或いは睨んでいるのかもしれない。だが快楽にまみれたそれでは効果なんてあるはずもなく。

「あっあ!んんっ、ふ、く、あ、っ!」
「喘いでばっかじゃ分かんねェよ」
「っ、ふ、ぁ、く…し、たも、さわ、あ!ひ、ああぁ!」

言い終わらないうちに自身を握ると上下に動かす。裏筋を指でなぞると悪戯に先端に爪を立て抉るように弄った。
快楽に翻弄されるトラファルガーを見て目を細める。まだまだこれからだというのに今からこんなんで大丈夫なのか。体の追い求める快楽に体力がついていかなそうだ。ならあんまイかせねェ方がいいかもしれない。びくびくと震えるとイきそうなトラファルガーを見て手を離した。途端に濡れた瞳がこちらを見やる。

「やぁ…な、で…っ」
「このまま何回もイったらお前が持たないだろ」

そう言うとトラファルガーを膝立ちにさせる。くちゅ、と音がして指を一本中に挿れた。ぐるりと中を軽く掻き回しただけですぐに二本目を受け入れる。がくがくと震える頼りない足に出し入れを激しくしてやった。

「ほら、しっかり立てよ」
「あっは、あ!やっ、むり、ぃ…ぁあっあ!」

いいところを指で揺さぶり押し潰し爪を立てれば肩を掴む手も震え、いよいよ立つことも怪しくなってくる。それでも変わらず刺激し続け、二本同時に引き抜くとすぐに三本目を押し挿れた。

「あっあ、あっっ?!ひ、や、ぁあっ!」
「おい…指入れただけだぜ?」

三本目を入れたと同時に中がきつく締まり、びくんと体が跳ねたかと思うと白濁を吐き出す。それに指を引き抜くと、がくがくと揺れる膝も堪えきれなくなったのか崩れるように座り込んだ。

荒く息を吐くトラファルガーの涙を舐めとると腰を引き寄せる。早くしろよ、と促すと何も分かってない瞳がこちらをぼんやりと捉えた。

「上がいいんだろ?自分で挿れて動けよ」
「っっ!ぅ、ぁ…ゃだ…」

漸く理解したのか目線を逸らすと小さく呟く。まだそれなりの理性がこいつを繋ぎ止めているらしい。早くそれを壊してやりたい、と思う。
逃げ腰になっているそれを掴むとぐっと先端を押し付けた。早くしろ、ともう一度耳元で囁けばこいつは簡単に堕ちてくる。

「んんっ、ふぁ、あ…」

肩に手を置いてゆっくりと腰を沈める。それに一気に突き上げたい気持ちを堪えるとトラファルガーの痴態を見つめた。

全部入ると熱い息を吐いてこちらを窺うように見つめる。その瞳に動けと唇を動かした。それに少し戸惑うようにして腰を動かし始める。
快楽に順応な体はすぐに慣れて腰の動きが速くなる。口端からは飲み込みきれなくなった唾液と嬌声。顔は涙でぐちゃぐちゃだ。

「はっあ!やっ、きっ、ど、も、い、ひぁっ!」
「いいぜ…その代わり俺がイったらな」

にやりと笑うとイけないようにトラファルガーのモノをぎゅっと握った。途端にこいつの目から涙が溢れる。

「ゃだっ、ぁ、いきた…ッッ!」
「なら俺をイかせればいいだろ。」

そう言って手を離す。動かなきゃイけねェぞ、と言えばぼろぼろと涙を溢しながらも腰を動かした。明らかに先程と違ってゆっくりな動き。自分がイかないということで精一杯らしい。

「そんなんじゃいつまでたっても終わんねェよ」
「ん、ふぁ…だ、て、ぇ、できな…」

首を振ると泣いて赤くなった目がこちらを見やる。それを見て目尻にキスすると腰を掴んで奥まで突き上げた。
それに一際高い声を上げて啼いたかと思うとびくびくと体が揺れる。白濁を吐き出すと荒く息を吐いてぐったりと寄り掛かってきた。今のはこのぐらいやんねェと駄目だってのをやっただけなんだが。こいつ今のだけでイきやがった。

「ほら、休んでる暇ねェぞ」
「んぁっ!まっ、ゃだ、ま…ぁああっ!」

ぐったりとしているトラファルガーの腰を掴むと突き上げた。誰が待つかってんだ。
逃げないようにしっかりと押さえ込むと激しく律動を繰り返す。抵抗も出来ず寄り掛かったままで、それにいいように動かした。

「ふぁあっ!やっ、きっ、ど…っ!ゃっ、いくっ、いっ、ゃあぁっ!」
「っ、俺がいい、って言うまでは駄目だ」

さっき勝手にイったからな、と耳元で囁くと転がっているラッピングのリボンだった紐が目に入る。それを拾うとイけないように根元を縛ってやった。

「ひっぁ!ゃだ、ゃあっ、いきた、あっ!」
「イきたきゃ何回でもイけるぜ?っ、空イキでいいならな」

そう言って奥を抉るように突き上げる。ぎりぎりまで引き抜くと一気に押し挿れる。そうすると縋るように掴んだ手にぎゅっと力が入り中が締まった。

「ああっあぁ!ひ、ゃ、もっ、やぁあっ!」

びくんと震えて空イキしたあとも止めることなく律動する。ぼろぼろと涙を溢しながら首を振ると最早言葉にならない喘ぎを出しながらしがみついてきた。嫌だ嫌だとひっきりなしに唇から漏れる否定の言葉。それと同時に耳元で響く嬌声。
全てが俺を煽る要因であることをきっとこいつは知らない。

「んっ、はぁっ!だめ、きっど、やっ、またくる、っ、あっあっ、いくっ、いく、っ!」
「はっ…イってもいいぜ、ロー」

しゅるりと紐を解くと一気に奥まで突き上げる。どくりと溢れた白濁と中の強い締め付けにぐっと腰を押し付けると一番奥に吐き出した。

ぐったりとしながら荒く息を吐くトラファルガーの頭を撫でる。多少の無理は強いたがこれで熱は収まっただろうか。顔を上げさせると目尻にキスをする。涙のあとに舌を這わせればびくりと肩が揺れた。

「き、どぉ…ゃ、まだ、あつ…ふっ、ぅ…も、ゃだ、ぁ…」

苦しそうに息を吐くと首を振った。どうやらまだ熱は収まりがつかないらしい。最初に危惧していたことが予定調和よろしく起こりそうだ。額にキスを落とすともう少し我慢な、と言って押し倒す。一体いつになったら収まるんだか。




とりあえず散々なバレンタインだった、ということは痛む頭でも理解できた。あのあとも何回ヤったか何て覚えられないほどヤった訳で。さすがに疲れたってか媚薬ってすげェな。

もちろん悪いのはこいつであって俺は1mmも悪くないのに何故かこいつは俺に対してあれやこれやと文句を言ってくる。ちゃんとお前が食べてれば俺はこんなことにならなかったのに、とか何とか。
それがましてや良心的に熱を冷ましてやった(媚薬が切れるまで付き合った)あげく今もこうやって甲斐甲斐しく世話してやっている(ヤりすぎて動けない)奴に言うセリフだろうか。

別にあのままバイブでも突っ込んで放置しといても良かったんだぜ?と言えばトラファルガーはどうせ出来ないくせにと生意気言う。上等だ。

「言ったな糞ガキ。どうせまだあることだし試してやろうか」
「やってみろよバーカ。そしたらもう一生お前に触らせないから」



(...Happy Valentine's Day?)




[ novel top ]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -