同棲中な二人の裏的日常 | ナノ

家のドアに手を掛けると鍵を開ける暇もなくがちゃりと簡単に開いた。それにまたかと顔を顰めてリビングに入る。当の本人はソファでうたた寝をしていた。別にそれ自体はどうでもいいが鍵ぐらい掛けておけよと思う。

こいつはいつも無用心なんだ。この間だって鍵が開いてるのにどこにもいないから探してみたら風呂場にいやがった。それで風呂に入ってるんだ。扉を開ければ暢気に「お帰り」ときたもんだ。お前これが俺じゃなくて強盗とかそんな類の奴だったら一発で終わってるぞ。とその度に何度も言ってはいるが、次は気を付けるという言葉も何回聞いたか分からない。学習能力がないとかそんなことじゃなくて、完全にこいつは俺は大丈夫だから平気とか思ってるんだろう。痛い目見ないと分からないものかな。それじゃ遅いからこうして言ってやってるのに。

はぁ、と溜め息を吐くと起こそうと手を伸ばす。だがそこである一つの考えが浮かんで手を止めた。我ながらいい考えだ。そうすればこいつに何の気兼ねもなく“痛い目”を見させることが出来る。
ネクタイを解くと口許に笑みを浮かべた。悪く思うなよ。これもお前のためだ。






「何でこいつここまでしてんのに起きねェんだよ…」

両腕は適当にタオルで縛り上げてネクタイで目隠しをしたんだがそれまでに少し見動いただけで目覚めもしない。まあ途中で起きてもらっちゃまったく意味がないからいいがこれはこれで呆れるぞ。気持ちいいくらいの無防備加減だな。

でもま、やることやってりゃそのうち起きるだろ。そう思いながら服を捲る。指で脇腹や腰を撫でるともぞもぞと体を動かした。起きるか?と思って少し強めに乳首を弄ると薄く開いた唇から声が漏れる。だが多分起きてはいない。まさかこいつ夢の中でヤってるとか思ってねェよな。早く起きろと促すように首筋に噛み付いた。

「いっ!ん、ぁ、はっ…ん…?なっ、ぇ…っ?」

ぺろりと首筋を舐める。どうやらやっとお目覚めらしい。だが状況をまったく把握出来ていないようだった。確かに目覚めていきなりこれだったら理解に苦しむわなと乳首に爪を立てた。

「っ!ふ、ぁっ?!ゃ、な…!ぁ…ユ、スタ、屋…っ?」

身動き取れない状態で自分が嬲られていると気付いたのか驚いたような反応を示す。どうして自分が縛られてるだとか弄られてるだとか多分たくさんの疑問があるんだろうが、それより何よりもまずそれを行っている人物が俺かどうか確かめたいらしい。唇を歪めると答える代わりに御座なりになっていたもう片方に舌を這わせた。言っておくが今日は一言も喋る気はない。鍵なんて掛けなきゃ不審者入り放題だからな。ちょっとしたお仕置きだ。

「んっぁ、いやだ!だれ、だよ、っ…触る、な、っ!」

反応を示さなかったことでどうやら相手を俺以外の誰かととったらしい。恐怖に引き攣った顔でどうにかして腕の拘束を外そうと手を動かすがするだけ無駄だ。そんなことしたら逆に傷がつく。
乳首を弄っていた手を離すとズボンに手を掛ける。本格的に自分が危ないことに気付いたのか、大袈裟に揺れた肩にくつりと笑った。

「っ、ゃだ!や、めろ…っ、ひ、ぁ?!」

煩わしいので下着ごと剥ぎ取ると肩に足を乗っけてトラファルガーのモノを口に咥えた。それに腰がびくりと揺れる。視界で物を捉えることが出来ないためいつもより敏感なのかもしれない。
裏筋をべろりと舐め上げると舌を尖らせて先端をぐりぐりと刺激する。溢れ出た先走りを舐めとると強く吸った。

「ぁっ…んんっ!ゃっだ、い、たくなっ…ひぁっ!あぁっ!」

誰かも分からないと思ってる奴にイかされたくはないのか、必死に否定の言葉を口に出す。それでも快楽に弱い体は順応だ。先端に軽く歯を立てるとびくびくと内腿が震え口内に白濁が吐き出される。顔を上げれば赤い顔が必死に肩を上下させて酸素を取り込んでいた。
顎を掴むとキスをする。先程こいつが出したものを口移してやった。驚いたように体を強張らせるが縛られてれば抵抗も何もあったもんじゃない。舌で喉奥をつつくと苦しさに耐えられなくなったらしい。こくり、と喉が動いたのを確認すると唇を離した。

「ぅ、げほっ…は…も、ゃだ、ぁ…」

後ろに指を挿れると弱々しくそう吐き出した。だからって止めるわけでもないが。頬を伝う涙を舐めとり指を増やす。我ながら酷いかもしれないと思うがこの沸き立つ加虐心は止めることが出来ない。一本が二本、それが三本へと増えていき容易く飲み込んだそこを掻き回す。

「あっ、は、ぁ!だめ、ゃ、そこっ、そ、なしな、っ、ぁあッッ!」

いいところ敢えて触らず気紛れに掠めるように動かす。それだけも強い快楽を感じとり揺れる腰に淫乱、と呟いた。快楽を貪るのに必死で何にも聞こえちゃいないが。
そこを指で挟むようにして捉え揺さぶり、押し潰すように突き動かせば途端に体が大きく揺れる。嫌だ嫌だと首を振るが他に抵抗の術も知らないので涙を流すばかりだ。

「ゃあ!ふ、ぇっ…ゃだ、ぁ、きっ、ど…きっど、ぉ…!」

その助けを求めている当の本人に犯されてんだけどな、と独り言ちる。だがこんな状況で助けを求めるように恋人の名を呼んでると考えるとなかなか可愛いと思う。そんなことを思う俺も大概にイカれてんな。
もう十分反省しただろう。指を引き抜くと次に来ることを予測したらしいトラファルガーがふるふると必死で首を振った。

「ゃだ、や…っ!おねが…ひっ、いゃだ、あ!きっどぉ…!」

最早口先だけのものでは抵抗と言えないだろう。腰を掴むとゆっくりとトラファルガーの中に押し挿れる。何でゆっくりかだなんて愚問だろ。こいつに今入ってきてるってことを実感させるために決まってる。
最後にぐっと押し挿れるとトラファルガーはぼろぼろと涙を溢した。完全に知らねェ奴に最後まで犯られたと思ってるな。そろそろ許してやるか。

腕を拘束していたタオルを外すと指を絡めてソファに縫い付ける。ロー、俺だ、と耳元で囁くと弾けたようにこちらを見た。

「ふ、ぁ…きっど…?」
「ああ、今まで恐がらせて悪かったな」

ちゅっと額にキスを落とす。しゅる、とネクタイを外すと泣きすぎて赤く腫れた目が虚ろにこちらを捉えた。こりゃ完全にやり過ぎたな。機嫌を取り直すのが大変そうだ、と顔中にキスを落とした。

「――…ね、っ!」
「ね?」
「っ、しね!も、二度とさわ、んな!」

肩を震わせながら俯いたので泣くか?と思ったら予想に反して平手が飛んできた。想像以上に大分ご立腹らしい。てかまだそんな口利ける気力があるんだな。
だがそれを食らうほど俺だって柔じゃない。伸びてきた手を掴むと強く抱き締めて耳元で囁いた。

「悪かったって」
「ぅ…っく、ばか…しね、っふ…」

今度こそ本当に泣き出してしまった目尻にキスを落とす。吐き出される言葉は罵るものばかりだが肩を掴む手は微かに震えていた。それに宥めるように頬を緩く撫でると唇に触れるだけのキスをする。それにまともにしたのは今日これが初めてだと気付いた。

「っ、つぎは…ゆるさな、から…」
「ああ、もうしない」

しゃくり上げながらもこちらを見た瞳に小さく笑みを浮かべる。頬に触れた手をそのままに両手で包み込むと唇に口付けた。薄く開いた唇から舌を滑り込ませると絡ませる。鼻にかかったような甘い声。目を開けば必死に応えようとする赤い顔。
そろそろ我慢も限界に達し、トラファルガーの腰を掴むと激しく揺さぶった。

「ん、くっ…ぅ、ふ、っん!ん、んっ!」

律動を始めれば肩に回す手に力が入る。角度を変えて何度も追いかけるようにキスすると息苦しいのか押し返そうと手が動いた。それに唇を離すと顔を上げる。

「ん、はっぁ!あっあっあっ、や、はげし、っっ!」
「はっ…エロい顔…」

顔は快楽と涙でぐしゃぐしゃ。だらしなく開いた唇からは飲み込みきれなかった唾液と嬌声が漏れる。それに堪らず跳ねる腰を掴むといいところを突き上げた。その度に泣いて善がるトラファルガーに目を細める。快楽に喉を反らすと曝されたそこに噛み付いた。

「ひっぁ、ん!ゃ、きっど、っ…も、いく、っっ!」
「っ、は…いいぜ、イけよ…ロー…っ」

律動を早く激しくするとぎりぎりまで引き抜いて一気に奥を突く。ぐっと背中に爪を立てられてトラファルガーが達するのとほぼ同時に中に出した。




未だ隣で横になっているそいつはこちらに見向きもしようとせずにいた。背中から不機嫌ですオーラが出まくってやがる。

「…ユースタス屋のせいで手に痕ついた」
「悪かったな」
「腰痛いし喉痛いしむしろ体中痛い」
「ああ、今日は何もしなくていいから寝てろ」
「…ばーか」
「もう機嫌直せよ」

ぐいっと肩を掴むとこちらを向かせる。振りほどいてまた背を見せようとしたので抱き締めた。
まだつらつらと文句を言ってくるトラファルガーに苦笑しながらもああ、と頷く。そんなに赤い顔で強く抱き締められて、それで何か言われたってまったく利きやしないのに。




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