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(学パロ。R18。)


最初は遊びのつもりだったんだ。

俺たちが出会ったのはまったくの偶然だった。夜間コースに通う俺と、昼間の一般コースのトラファルガー。
俺が学校に来るのは昼間の生徒が帰ったあとだから、顔を合わせることなんてないはずだった。
それなのに、トラファルガーと出会ったのは、おれたちが同じ机を共有していたから。
ある夜俺が帰り支度をしていたら、昼間の制服を着た男が教室に入ってきて、俺の前で止まった。
机の中に忘れ物をしたらしい。中を探って渡してやると、ありがとうと微笑まれた。
その男がトラファルガーだ。それからなんとなく一緒に帰って、そのあともちょくちょく俺の退け時に顔を合わせるようになった。
トラファルガーは大体その時間に予備校が終わるからだと言っていたが、思えばあれは俺を待っていたのかもしれない。
そんな風に思ったのはいつだったか。たぶん、あいつが俺のことを好きなんだと気付いてから。

それに気付いたのはそう前のことじゃない。特にこれといったきっかけはなかったが、いろいろ思い返してみるとどうやらそうらしいと思えたんだ。
深夜のコンビニで、帰り道にある公園で、隣にいて話しているときのあいつの嬉しそうな顔。
メルアドを教えてやったときには、大事そうに携帯を握り締めていたっけ。あと、彼女と別れたと愚痴ったときの少し安心したような顔。
煙草が苦手だというから、わざと顔を近づけて吹かしてやったときの赤くなった顔。俺と別れるときに見せる、残念そうな甘えた顔。
そうやってトラファルガーが俺に見せる顔を見るのが面白くて、わざと意地悪したりからかったりもした。
ちょっと泣きそうになる顔がお気に入りだなんて、俺もどうかしてる。
でも、俺にしてみればちょっとしたお遊びのつもりだった。好意を寄せてくれるあいつが可愛くて、ちょっとの間こいつと遊ぶのも悪くねえかもって。
だから、俺の家に招いたのもほんの気まぐれ。しっぽ振ってついてきたトラファルガーに、内心苦笑しながら玄関の鍵をかけた。
あいつの赤くなる顔が見たいからって、あんなことを言ってしまったのは久しぶりに摂取したアルコールが効きすぎた所為だと思いたい。



「なあ、お前俺のこと好きなんだろ?」

藍色の瞳が丸くなる。直後、アルコールで赤くなっていた顔がさらに赤くなった。
相変わらず表情に出やすいやつだな。取り落としそうになっているチューハイの缶を取り上げて机の上へ。
トラファルガーを背後の壁に押し付けるようにして、距離をつめた。ほんのりとライムの匂いがする。
そうだろ?と片手で赤くなった頬をなでながら聞いてやれば、恥ずかしげに目を伏せられた。
その反応を肯定と取って、俺にも好きになってほしいかと囁いて耳朶にキスをする。
身体を震わせながらもうなずくこいつに、心臓がどくんと音を立てて鳴った。
相変わらず赤い顔に少し潤んだ藍色の瞳。何かもの言いたげな唇から覗く舌から目が離せない。
本当はこの辺で終わるはずだったんだが、その顔をもっと乱してみたくて、その先を見てみたくて。
俺のジャージをきゅっと握るトラファルガーの手を握って、俺もお前が好きだと告げていた。
とたん嬉しそうに輝く藍色の瞳。なんて単純なヤツ。俺の言葉が本当じゃないかもなんて、考えたりしないのだろうか。

「だから、しようぜ」
「……なにを?」
「好きなやつと部屋で二人っきりで、することって言ったらひとつだろ」

ようやく言葉の意味を理解したらしいトラファルガーの首筋をぺろりと舐める。
そのまま唇を寄せて口付けを落とすと、身じろいで抵抗された。
こいつの抵抗なんてもののうちに入らないが、逃げられないようにだめ押しの言葉をひとつ。

「今させてくれなかったら、嫌いになるかもな?」

ジャージを握る手に力がこもる。
唇の触れそうな距離で、ダメか?と甘えるように問えば、泣き出しそうな藍色の瞳がこちらを見た。
もう少し。さあ、落ちてこい。

「……嫌いに、ならないで。お前にならなにされてもいいから…」

ほら、もう俺の掌の上に。






頭の下に左手を差し入れて、右手は痩せた身体をこれでもかと抱きしめて。トラファルガーの薄い唇を味わった。
固く閉じられた両の目に少し笑って、何度も何度も。怯えたように逃げる舌をきつく吸い上げて離さない。
ようやく離した唇からは唾液の糸がつうと伸びて、それを舐め取ると赤い頬がまた色濃くなった気がした。

「ほら、釦外して見せてくれよ。お前の身体」
「……っ電気、消さねえの?」
「消したらお前が見えなくなるだろ」

なんでもしてくれるんじゃねえのと言って、トラファルガーの手をシャツの釦まで持っていってやると、その言葉は効果絶大だったらしく、一瞬ためらった後におずおずと自分で釦を外し始めた。その細い指先が震えて動くのをじっと観察する。
俺に見つめられているのが羞恥を煽るのだろう。そう小さくもない釦がすべて外れるのには少し時間がかかった。
前を開けよと言うと、また泣き出しそうな顔をされたが、逆らわれはしなかった。
シャツに手をかけて肩からすべり落とすと、予想通りの痩せた身体が目の前に現れた。自然と喉が鳴る。
もう一度唇にキスをして、褐色の肌に自分の唇を這わせた。触れるたびに、トラファルガーの口から吐息が漏れる。
肌色の乳首を口に含んで舌先で弄ってやれば、吐息は啼き声に変わった。
もっとその声を出させたくて、もう片方を手で嬲る。指先でつまんで引っ掻けば、耐え切れないといった風に腰が揺れた。
ふと、声が聞こえなくなったのを訝しんで顔を覗き込めば、相変わらず顔を真っ赤にしたトラファルガーが、必死に唇を噛んでいた。
その必死な表情はいいんだけどな。声が聞こえないのは面白くない。

「なにしてんだ。声、出せよ」
「や…ぁ…!だ、って、はずかし…っひ!」
「やじゃねえだろ?それとも、嫌ならやめるか?」
「んぅぁ!あ…や、…」
「俺はやめてもいいんだけどなあ?」
「ぁ、ん!や、めないっつ……!!で…」
「じゃあ、ちゃんと声出して感じてろ。気持ちよすぎてたまんねえって」
「……ひぅ!あっ、ぁん……ユースタス、やぁ…」

とろりと蕩けた藍色の瞳が俺を映す。ちくしょう、可愛いじゃねえか。そんな顔をされるとこっちがたまらなくなる。
早くもっとこの顔がぐちゃぐちゃに乱れるところを見てみたい。
揺れる腰を引き寄せて、片手をズボンの中に差し入れる。
下着の中のものはすでに大きくなっていて、ゆっくり上下してやると、先端からじわりと先走りが零れ出た。
そのまま緩急をつけて触ってやる。時折先の方の孔を引っ掻くと、どろりとした液体が流れ出た。それはたちまち俺の掌を濡らして。
ぐりぐりと弄ってやれば、面白いくらいに身体がはねた。

「なあ、すげえぐちょぐちょなってんだけど。ここ」
「ひぅ!やあぁぁっ、あぁ!なん、か、へん…」
「こんなに濡らしてもうこれ使いモンになんねえな。ちょっと触られただけでそんな感じてんの?変態」
「ぁん!だ、て、お前がっ…さわる、からっつあ!」
「ふうん、俺の所為か?じゃあ、自分でやれよ」

俺のジャージをつかんだままのトラファルガーの手をズボンの中に導いた。握られたままの手を開かせて、自身のものをつかませる。
つかんだ手を離せないように、俺の手も添えて。はやくしろよと言ってやると、トラファルガーの目尻に涙がたまった。

「ほら、自分でいいとこ触れよ」
「っつ、ぅ…あ…、や」
「それとも、俺に見られてるだけで感じてんの?さっきから出っ放しだもんな」
「やあっ!ちが…、そ、じゃな…」
「なにが違うんだよ。俺に見られながら自分ですんの、そんなにいいか?」

淫乱だ、と耳元で囁いてやれば、とうとう藍色の瞳から涙が零れ落ちた。
ぽろぽろと零れ落ちるそれを舐めてやれば肩に腕が回ってきて、ぎゅうと抱きつかれる。

「な、あ…こんな、俺、きらい?」

小さな声。そのあいだも涙は止まらなくて、俺の首筋を伝って流れてきた。
肩に回るトラファルガーの腕の力はどんどん強くなって、まるで全身で嫌いにならないでと言われているような気がした。
また、だ。俺の心臓がうるさく音を立てる。
最初はそんなつもりなかったのに。いつしか目の前のこいつのことが、愛おしくてたまらなくなっていた。
嵌められたのは俺のほうじゃねえのか。
とめどなく流れる涙を拭いてやろうと、そっと 手でトラファルガーの顔を包み込んでこちらを向かせる。

「きらい、じゃねえよ。好きだって言ったろ?」
「…ぅ、ひっく、ほんとに?」
「ほんとだ。信じろよ」

せっかく拭った涙はまだまだ零れ続けて。痩せた身体を今度は俺のほうから抱きしめてやれば、前が擦れたのかトラファルガーが小さく啼いた。
続けていいかと耳元で問えば、こくりと頷く形で肩に埋められた頭が揺れた。
そのまま床へとトラファルガーの身体を押し倒して、下着ごとズボンを引き抜く。不安げな顔を一つするりと撫でて、空いている手で奥を探った。
唾液を絡めて抜き差しを繰り返す。トラファルガー自身からとろとろと流れる白濁も手伝って、そこはすぐに二本目の指も飲み込んだ。
円を描くように内側を撫でて奥を引っ掻いてやれば、苦痛に歪んだ顔がだんだんと快楽に染まる。
指を三本に増やしたころには、きつく硬かったそこも熱く蕩けてぐちゅりと卑猥な音を立てた。

「は…すっげ、えろいな。お前」
「っ、ふぁあ、ん!な、か、あつ、い!ゃん!」

そろそろいいかと指を引き抜けば、それにすら感じるのか身体が大きく跳ねた。細い足を抱えて自身を入口にあてがう。
トラファルガー、と名前を呼んでやれば、涙に濡れた目で微笑まれた。
本当にこいつはタチが悪い。せっかく優しくしてやろうと思ったのに、そんな風にされると自信がなくなる。
ゆっくりと自身を埋め込むと、予想以上にその中は熱くて狭くて、気持ちよかった。
細い足を腹につきそうなくらい抱え上げて、もっと奥へ。もっともっと。
行き場のないトラファルガーの腕を背中に回させて、俺の腕がトラファルガーを抱きしめて。
もうどこが唇だか分からないくらいに口付けを繰り返して、何度も何度もその身体を揺さぶって。
藍色の瞳から零れる涙は、しばらくの間止まることはなかった。



やるだけやって、床に倒れこんで数分。トラファルガーを抱き込んでその髪の毛をゆっくりと撫でた。
涙はようやく止まったらしく、泣き腫らした目でトラファルガーが腕の中からこちらを見た。
熱を持った目尻に口付けを落とすと、幸せそうに微笑まれた。ちくしょう。ほんとにこんなつもりじゃなかったのに。

「……俺、お前に嵌っちまったかも」
「ユースタス屋?」
「もう離してやんねえからな」

不思議そうな顔のトラファルガーに口付けをもう一度。離してやらないの言葉通り、息が出来なくなるくらい抱きしめた。




俺の色に染めてしまえ








Orange Canoneのtocoちゃんより頂きました!
意地悪されて泣いちゃったローを優しく宥めるキッドがリク内容でし、た…(力尽き)
何これめっちゃ 萌 え る んですけど!←
うわー!いいよ!意地悪キッドいいよ!健気ローいいよ!萌えたよ!
特にキッド様の独占欲強そーなとこにごっそり持ってかれました^^^^
うちにはいないキドロ^^←
本当に有難うございました!
これからもよろしくお願いしますっ!





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