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(現パロ)


「いらっしゃいませ」
「今日はなんにします?」
「へえ、仕事大変なんスね」


ソワレに入ってすぐ右側の窓際席。
大抵いつもそこが俺の指定席になっている。初めて来たときからずっと。
最初はなんとなく窓側の席がよかったから座っただけ。そのときは確かカウンターに背を向けて座ったっけ。
いつからか座るのはカウンターが見える方の席になった。
だって、カウンターにはユースタス屋がいるから。

ソワレの飲み物は全部ユースタス屋がいれていて、昼間は紅茶やコーヒーやジュース、夜にはカクテルとかも作ったりしてる。
コーヒーに関してはなんだかこだわっているらしく、色んな豆が置いてある。俺にはよく分からないんだけれど。
でもうちでは普通のインスタントコーヒー。あれなら俺にだってすぐ淹れられる。
家ではがぶ飲みできるインスタントの方がいい、らしい。

常連さんの相手をしているユースタス屋をこっそり観察する。
今はバーの時間だから、白いシャツにタイを締めてベストを着ている。ここの店を始めたときに、キラー屋に着ろって言われたらしい。
ユースタス屋は見かけがあんなんだから、見た目くらいちゃんとしろって。……まあ、正しい判断かも。
服の所為もあってか、店にいるときのユースタス屋はいつもよりかっこいい、気がする。そんなこと言ってやらねえけど。
服効果9割。うん。

常連さんが何か言って、ユースタス屋が笑う。
ちぇ、俺にはあんなふうに笑わないのに。
口の端がちょっと上がって、目が伏せられて。
俺に見せてくれるのは、ふにゃんとした優しい顔。目が細まって八重歯が見える。
それも大好きだけど。

辞書に目を戻してしばらく。俺のところに飲み物が一つ運ばれてきた。
運んできてくれた背の高い男がにやっと笑う。そうされるのはなんだか気恥ずかしいけど、小さな声で礼を言う。
男はユースタス屋の仲間で、知ってるんだ。この飲み物は俺専用だって。
まだ一緒に暮らし始めてそんなにたってないころの約束。
店が忙しくて俺のところに来れない時は、俺用の飲み物を出してくれるって。
今日はソーダ水の中にベリーの入った冷たい飲み物。
ラズベリーにレッドカラント、クランベリー。
赤い色とぱちぱちはじけるソーダの泡。
スプーンですくって口の中へ。その味は甘酸っぱい。





うちに戻ってしばらくすると、ユースタス屋が帰ってくる。
いつもなら出迎えるけど、今日はなし。台所に行って、さっき買ってきたものを取り出す。ただいまという声を背中で聞いて、電子レンジをセット。その間にコーヒーを入れる。


「おかえり」
「おー、ただいま」


コーヒーを手渡して、お菓子の乗った皿をテーブルに置く。
マシュマロをビスケットで挟んで電子レンジにかけたのがおいしいって、この前言ってたから。帰りについついコンビニで買ってしまった。
マシュマロサンドが一瞬でユースタス屋の口に消える。


「やっぱうまいな、これ」


ふにゃり。
優しい笑顔。俺だけの、あまいあまい。


「ロー」


優しい笑顔が近づいてきて、そっと重なる。
重なった唇は甘くて舌は熱い。口元についたビスケットのカケラをぺろりと舐めた。




永久保存版スマイル






5000hitフリーにてtocoちゃんより強d頂いてきました!tocoちゃん5000hitおめでとう!
そして素敵小説有難う^^^^
私の大好きな現パロシリーズですよ!持ち帰らないはずがない!←
相変わらず甘々バカップルで本当においしかったです有難うございます。
キッドのその笑顔はローにだけ見せる特別な笑顔なんですよね分かry
そんなバカップルに私一生ついていきます^^^^





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