Gift | ナノ

(高校生兄×小学生弟)

数ある毎日のノルマの中で、今日のノルマはこれだった。すやすやと天使のような寝顔を晒して眠るローの腕にしっかりと抱き締められた、シロクマのぬいぐるみを洗うこと。
言っておくがこれは並大抵のことではない。朝起きてから夜寝るまで、そのシロクマはがっちりとローのか細い腕にホールドされているからだ。もちろん学校へは持っていかないが、そのときは俺だって学校に行かなきゃいけない。部活もあるからローより早く帰ってくるなんてことはまずないし。そうかといって休みの日は一日中抱いて離さないから、全く隙がなかった。今みたいに寝てるときだって、もふもふとした手触りが心地いいのか顔を埋めて離そうとしない。
今までもそのシロクマを何度か洗ったことはあるが、それはローが遠足やら運動会やらでいなくなったときだけ。即行で洗って即行で乾かして元に戻しておけば大抵バレない。だけど今回はそんな悠長なことを言っていられないほど、シロクマが汚いのだ。白いから余計に汚れが目立つし、毛並みもどんどんパサパサになってきている気がする。そんな汚いシロクマを抱かせておくわけにはいかない。

そっとローに近寄ると、シロクマを抱き締めていた腕をゆっくりゆっくりと外していく。途中ビクリと腕が震えて軽く唸った時には起きたかと思ったが、ごろりと寝返りをうっただけでほっと息を吐いた。ローが寝返りをうったおかげで腕から離れたシロクマを早々に回収すると、近くにあったムートンのクッションを身代わりに抱かせてそっと風呂場へ向かった。

洗濯機の音でローが目を覚ましたらどうしようかと思ったが、一度眠りについたらなかなか起きないことを思い出してシロクマを洗濯機の中に放り投げた。スタートボタンを押してから、部屋のベッドで寝ているローの様子を窺いに行く。音を立てないように扉を開けて、顔だけで覗けばどうやらローは未だぐっすり眠っているようだった。それに安堵してリビングへと戻る。特に何事もなく今日のノルマを達成できそうだと、そう思った。

暫くすると洗濯機が終了の音を告げ、俺は急いでシロクマを取り出す。そして乾燥機に入れようとして、乾燥機が壊れていたのを思い出した。マズイかもしれない…が、まあ何とかなるだろう。夜までには乾くはずだと、シロクマの両耳をそれぞれ洗濯鋏みで挟んでいるそのときにギシリと床の鳴る音が聞こえた。

「ベポは…?」

小学四年生の出す声とは思えない、地を這うような低い声だった。後ろを振り向かなくてもギロリとこちらを睨み付けているのが分かるほど、背中に鋭い視線が突き刺さる。
ここでローを振り返れば確実に終わる。だけどそうかと言って背を向けたままなのも不自然すぎるだろう。冷たい汗が背中に流れるのを感じながら、少ない脳味噌を総動員してみたものの何も思いつかない。何で今日に限ってそんなに早く起きちまうんだよ、とただその運の悪さを呪った。

「キッド…ベポは?起きたらなかった。どこ?」
「それは、だな…」

言葉に詰まっているとおもいっきり投げたらしいクッションが背中に当たる。もう駄目だと思った。

「ほら、お前がこの間チョコソース溢したりして汚れてたから…ちょっと綺麗に、」
「ベポが!キッドさいあく!早くおろせよ!」

かわいそうだろ、耳がとれるだろ、とギャンギャン喚くローには悪いが乾くまで渡せない。もう少ししたら乾くから、と言おうして顔面に当たったクッションに阻止された。

「早くかえせバカ!バカキッド!」

俺はローを目に入れても痛くないほど可愛いと思っている。思ってはいるが「我儘・傲慢・癇癪持ち」の三つにはほとほと手を焼いていた。普段はそれ全部を引っくるめて可愛いと思うのだが、こういう時には厄介でしかない。
案の定ローは手当たり次第俺に向かって物を投げつけ始めた。さっき投げられたクッションや、テーブルの上に置いてある雑誌やティッシュなんてまだいい方だ。それがリモコンやら菓子の入った缶やら、幾分硬さを持ったものに変わると危険だった。壊れる可能性もあるから、一見危険そうなものは何とか取るかあるいは体に当たるのを我慢しなければならなかった。
だけどそれもほんの一時。投げるものがなくなると、ローはただ息を荒くして俺を睨み付ける。そんなローを抱き締めて、暴れられても引っ掻かれても抱き締めて、背中をあやすように撫でてやると大抵ローは落ち着いた。そして聞き取れるか取れないかぐらいの小さな声で「ごめんなさい…」と呟く。それだけで俺は満足だったし、そのあとはたっぷりとローを甘やかした。

常ならばそうだ。だから今日もそうなると思ってた、いや確信していた。

「キッドのバカ!あっちいけ!」
「ローっ、それは…!」

だからテーブルの上に置いてあった携帯を掴んで投げられたのは予想外だった。さすがに携帯は投げられたことがない。ローはそれに気付いてるのかいないのか知らないが、投げられた携帯をうまく取ることはできなかった。テレビボードの角にぶち当たり、どこか硬質な音が響く。俺の携帯はスライド式だ。画面が大変なことなっているんじゃないだろうかと見てみれば案の定ひどいヒビ割れだった。スライドすればヒビが入って歪になってしまったローの寝顔。しかもカメラ以外の機能が使えない。一言で言えば壊れた、それだけ。

何をしてもカメラ以外の機能が使えない携帯から目を離してローを見ると、ぎゅっとパーカーの裾を握り締めてウロウロと視線をさ迷わせていた。ロー、と声をかければビクリと肩が揺れる。

「壊れたぞ?お前が投げるから」
「…っ、だって…キッドが悪い!ベポとるから!」

罪悪感はあるものの、認めるのは小さなプライドが許さないのかローはふいっとそっぽを向いた。
ここで一言ごめんなさいと謝ってくれれば俺はもちろんローを許した。だけど謝罪どころか責任を押しつけてくるローにハァとため息を吐く。やはり甘やかし過ぎだっただろうか。

「…仕置きだな」
「っ、やだ!おれ悪くない!」
「こら、逃げんな」

放った一言に対して脱兎のごとく逃げようとしたパーカーの帽子を掴むと事前に阻止する。苦しい、離せ、と喚くローを小脇に抱えて自室に向かうと本格的に暴れだした。これから何をされるか分かっているからだろう。

「下ろせ!はなせよっ」
「あんま暴れると落っことすぞ」

少し腕の力を緩めればバタバタ暴れていた足がぴたりと止まっておかしかった。それでも離せと小さく抵抗するローを無視して扉を開けるとベッドの上に放り投げる。

「ズボン脱げ。パンツもな」
「…っ、やだ…」
「嫌だって言った分だけ長引かせるぞ?ちゃんと言うこと聞けたらすぐ終わりにしてやる」

早くしろ、と催促するとローは瞳に涙を溜めてのろのろとした手つきでズボンを脱いでいく。ズボンを脱いだあとちらりとこちらを向いたが何も言わずに黙って見つめ返すと、唇をぐっと噛み締めてゆっくりとパンツも脱いだ。

「…ぬいだ」
「四つん這いになってケツこっちに向けろ」
「っ…ゃ、だ…指入れる…」
「当たり前だろ。早くしろ。もっと仕置かれたいのか?」

その一言にローはびくりと肩を震わせるとこちらに尻を向けて四つん這いの体勢をとった。今にも泣きそうにふるふる震える体に近寄ると腰を高く上げさせて突き出させるような格好にさせる。途端にローの耳が赤く染まり、そのしおらしく可愛らしい様子に笑うとローションを取り出してたっぷりと指に絡めた。

「キッド、やっぱやだ…!」
「もう遅ェよ」
「ふっぁ?!あっ、ぁあ、いたっ…やぁ、いたい!」

ローションで濡らしたとはいえ、乾いた小さな穴にとっていきなり二本はきつかったらしい。痛い痛いと首を振って泣くローの尻を撫でながらゆっくりと指を根元まで進めていく。多少無理をしても一度拡張されたことのあるそこは切れることなく飲み込んでくれた。
根元まで入ってもローは痛いと泣くのでさらにローションを足してやる。そうしてゆっくりと、だが確実に指を動かした。

「んっ、ぁ、あ…ゃっ、いた…」
「痛い痛い言ってるわりにこっちは美味しそうに咥え込んでるけどな」

少しばかり慣れてきた中をぐちゃぐちゃに掻き回せば、痛いとは言うもののそれ以外の艶やかな声が目立つ。所詮は開発された体、痛みが馴染めばすぐに快楽を追うようにできている。

「んんっ…ふっぁ、あ…っ」
「何だよ、もう気持ちよきなってきたのか?ったく、本当にお前は淫乱だなァ」
「やっ、ちが…ひっ、あ!ゃだ、そこっ、やあ…!」

首を振って認めようとしないローに、今までわざと触れないでおいた前立腺を強く突き上げた。途端にびくびくと大きく腰が揺れ、ぎゅうっと強くシーツを握り締める。
口では嫌がってもとろりと蕩けた瞳は気持ちいいと映し出していた。そんなローににやりと笑うと、前立腺から指を外しその周りを柔く撫でたり引っ掻いたりを繰り返す。そうすれば一度与えられた快楽を再び味わおうとローの腰が勝手に揺れ動いた。それをまた言葉で詰ってやれば顔を真っ赤にしながら違う違うと首を振った。抵抗してみても体はすっかり正直だ。ローがいくら違うと言ってみても、続きを強請るように指を強く締め付けていることには変わりない。

「あっ、ぁ…キッドぉ…」
「ん?」
「ふ、ぇ…っ、も、それ…やだっ…」
「それって?してほしいことあっても口にしてくんなきゃ分かんねェよ?」

わざとらしくそう囁けば、ローの顔がくしゃりと歪む。それでも何も言わずに黙っていれば、堪えきれなくなったのかローがそろりと口を開いた。

「もっ…さっきとおなじ、とこ…さわって…っ!」
「どこ?…ここ?」
「んっ、ふぁ…やっ、ちが…」
「違う?いまいちよく分かんねェなァ…」

白々しい自分に堪え切れなかった笑いが洩れ、それにローがキッとこちらを振り返る。まだそれだけの気力はあるらしい。こんなこと言わせてんだから、早く触れと顔には可愛げなく、だけど焦らされて切羽詰ったようにそう書いてあった。
それでもゆるゆるとした刺激を与えるだけに止めておけば「キッド、はやく、」とうわ言のように繰り返し、腰を揺すって擦り付けてくるローはもう理性などなくなってしまったのだろうか。先程の睨みも、触ってほしいのに触ってくれない、なんて実際はただ欲に濡れた瞳だったのかもしれない。

「どんだけ強請る気だよ…ほら、ここだろ?」
「ひっ、ぁあっ、あ!あ、そこっ…ゃ、んん!」
「さっきまであんな嫌がってたくせにもうこれか」
「ふっ、ぇ…!だっ、て…だって…っ!」
「そんなに気持ちいい?ロー」
「はっ、ぁあ!ゃ、っ…ぁ、きもち…ひっ、あ!」
「そりゃ良かった」

くつくつ笑いながら突くように前立腺を刺激するとローが甲高い悲鳴を上げる。いつの間にか枕を手繰り寄せていたらしく、俺の枕はローの唾液と涙でぐっしょりと濡れていた。その分も仕置きに加算してやろうか、なんて考えながら震える腰を見つめる。俺が仕込んだだけあるといっても小四とは思えない淫乱っぷりだ。もともと素質があったのかもしれない。

「んっん、キッド…きっど、もっ…!」
「おっ、と…ここまでな」
「やぁっ!な、で…やだっ、いきた…!」
「お前さっきからずっと気持ちよくなってばっかじゃねェか。それじゃ仕置きになんねェだろ?」

ぐちゃり、と濡れそぼった穴から指を抜くとローは泣きそうな顔をしたが、俺の一言で今のこれが仕置きの一環であることを思い出したらしい。いや…と声にならない声で小さく首を振るローの頬を掴んでこちらを向かせるとべろりと涙でぐちゃぐちゃになった頬に舌を這わす。

「すぐ戻ってくるからここで大人しく待ってろ。勝手に触ってイったりしたら仕置きは倍にするからな」

仰向けに寝かせ、囁いた言葉に震えながらこくりとローが頷くのを確認すると部屋を出る。急いで目当ての物を見つけ、取ってくると部屋に戻った。

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