Gift | ナノ

(飼い主キッド×猫ロー)


何だかうまく寝付けなくてベッドの上で何度も寝返りを打った。何でだろう、何故だか知らないが体が熱くてしょうがないのだ。もぞもぞと動くたびにまだ温もりを持たない冷たいシーツが肌に触れてぞくぞくする。どうしよう。

「んっ…はぁ…」

知らず知らず洩れた熱い吐息に顔が赤くなる。素面で、一人のときにこんな声を出すなんてどうかしてる。ぎゅっとシーツを握り締めて必死に堪えようとするけれど、いいようのない熱が背筋から這い上がってきては俺を苛んでいく。
どうしようどうしよう。一人でシてしまおうか。

「んんっ…ふっ…」

一人でするのはユースタス屋によって禁止されていた。でもどうにもこうにも疼きがとまらなくて、気付けば下肢に手が伸びていた。面倒くさいから下は履いてない。少し大き目の服を捲り上げると緩く反応している自身に触れる。

「ぁ…っ、ん…っ」

ユースタス屋に知られたらきっと怒られる。でもこんなときに限って遅く帰ってくるあいつが悪いんだ。今日は遅くなるから先に寝てろ、だなんて。今日はじゃなくて今日もだろ。ここ一週間ユースタス屋はずっと忙しい。帰ってくるのも遅いから構ってくれないし、朝起きると大抵ユースタス屋はもう仕事に行く支度をしている。
それに一回出してしまえばこの熱も引いてスッキリするかもしれない。そしたらすぐに片付けして何事も無かったかのように寝よう。

「ふっ、んぁ、あ…っ、ひ…」

早く終わらせてしまおうと目を瞑ると両手を使って自分を追い詰める。でも目を瞑ってしまったら、自然ユースタス屋のことを思い出してしまって。いつの間にか手の動きも、いつもするユースタス屋を思い出してまねするようなものになっていた。

『…ロー』
「んんっ!あ、ユ、スタ…やぁ…っ!」

ぐちゅぐちゅと先端を弄る。ユースタス屋の熱くて低い声を思い出したらびくびくと腰が震えてすごく気持ちよくなった。気持ちい。気持ちいけどやっぱりなんか物足りない。ユースタス屋の大きな手で触ってほしい。ぐちゃぐちゃにしてほしい。発情期なのかなぁ、俺。

「んぅ、はっ、あ…あっ、いっちゃ…!」
『イけよ、ロー』
「ん、んんー…っ!」

目を瞑って必死にユースタス屋の姿を思い出して強く抜き上げれば絶頂は呆気なく訪れた。どくり、と手の中に吐き出された精液に荒い息を吐く。



「…っふ、ど、しよ…」

一回イけばスッキリするかと思ったのに、どうやらその考えは間違っていたらしい。何だかさっきよりも余計に体がムズムズするような気がする。でも、もうユースタス屋帰ってくるかもしれない。何時に帰るのか聞いておけばよかった。
半泣きになりながら熱い体をシーツに擦りつける。触れてもいない奥が疼いて仕方がない。これも自分でシちゃえば収まるのかな。どうしよう。

どうしよう、と思っていても体は求めていて止まなかったし、とっくに思考回路も熱に犯されていた。そっと白濁に塗れた指を後ろへともっていて求めて止まないそこに擦り付ける。回りをなぞる度に中がひくひく蠢いて指を躍起になって入れ込もうとしてるのが分かって顔が赤くなった。ゆっくりと指を一本入れてみれば、熱くて火傷しそうな中にぎゅうぎゅうと締め付けられる。もしかしたらさっきよりも気持ちいのかもしれない。そう思うと勝手に指が動いて奥へと進んでいった。

「ひっ、んん…ぁっ」

ユースタス屋、もう帰ってきちゃうかな。でも構ってくれないあいつが悪いんだ。俺をこんな体にしたくせに一週間も放置しておくユースタス屋が悪いんだ。
熱に浮かされた頭で早々に結論付けると、いつもユースタス屋が触ってくれるいいところを探す。でも俺の指じゃ届かないみたいで、どんなに探しても見つからない。闇雲に指を動かして、悪戯に高まる熱に視界が歪む。これじゃあさっきよりも辛い。

ぐちゅぐちゅと闇雲に指を動かす中で、不意にゆらゆら揺れる尻尾に目がいった。最後にエッチしたときユースタス屋はその尻尾を俺の中に入れた気がする。やめてって言ったのにやめてくれなかった。ユースタス屋の変態っていっぱい怒ったけど、俺、いま、そのときのユースタス屋と同じことしようとしてる。だって奥が疼いて頭がおかしくなりそうなんだもん。なのにユースタス屋はここにはいないし。
ゆらゆら揺れるその尻尾を掴むと、それだけで体がびくりと震える。俺、尻尾駄目なんだ。触られると体がぞくぞくしてどうしようもなくなってしまう。ユースタス屋はこの尻尾のこと「性感帯」って教えてくれた。触ると気持ちよくなってしまう場所を人間はそう呼ぶらしい。

「ふっ、んん!ひっ、ぁ、あ!」

くちゅ、と尻尾を解れきったそこに押し当てるとそれだけで勝手に中へと入っていってしまった。これも俺の体の一部だから気持ちいことが好きなのかもしれない。ズンズン奥に入っていって勝手に中を暴れまわる。

「ひっぁあ!や、そこ…〜〜っ!」

ずちゅ、といきなり奥を突かれてびくりと脚が震える。そしたら今度はユースタス屋がいつも触ってくれる気持ちいとこばっか突き上げてきて。
やっぱり尻尾を入れたのは間違いだったかもしれない。気持ちよくてだんだん何にも考えられなくなってきた。ユースタス屋が来る前に終わらせなきゃなのに、止まんない。

俺の一部なだけあって、気持ちいところは分かっているらしい。自分の尻尾なのにまるで誰か他人に、ユースタス屋に抜き差しされてるみたいにいいところばかりを的確に突き上げてくる。止まらないその刺激にシーツを握り締めながら喘ぐ。じわりと浮かんだ涙が頬を伝って流れていって。あ、もう、

「んっはぁ!また、いく、いっ…あぁあっ!」



ずるり、と中から尻尾を抜き出すとそれだけでびくりと体が震える。なかなか収まらない呼吸に深く息を吐き出しながら体をシーツの上にぐったりと横たえた。
確かに気持ちよかったけど、今度は何だか物足りなくなった。やっぱり俺の体、ユースタス屋じゃないと満足できないらしい。早く帰ってきてほしいけどこんなとこ見られたら怒られるな。早く始末しないと。だけど体が動かない。


「ただいま。ロー?」

瞑っていた目を見開くと慌てて蹴っ飛ばしていたシーツを羽織る。どうしようどうしよう。ユースタス屋が帰ってきた。まだ何にも始末してないのに。
とにかくシーツを頭まで被ると扉から背を向けた。何とか呼吸も落ち着けて、眠っているふりをしようとする。冷静に、冷静に、と思いながらがちゃりと開いた扉に心臓が早鐘のように打った。




ローにまともに触れなくなってから一週間が経った。ここ最近仕事量が膨大でまともに構ってやれ無かったってのが一番の原因だ。そのお陰か最近のローの機嫌はすこぶる悪い。
でもそれも今日で終わり。やっと仕事に一段落ついて、明日はもう休みだから存分にローに構ってやることができる。さて何をして遊んでやろうか、と頬を緩ませながらカードキーを差し込むとドアを開けた。

「ただいま。ロー?」

真っ暗な玄関の電気をつける。呼びかけはするがいつものようにそこでローが待っていることはなかった。当たり前か、先に寝てろって言ったしな。そう思いながらネクタイもジャケットもリビングのソファに放り投げると寝室で眠っているだろうローの元へと向かう。
そこまではいつも通りだった。


案の定、ローはベッドの上ですやすやと眠っていた。
と言いたいところだが何だか様子が違う気がする。いや、確かにローは寝てるんだ。頭までシーツ被って。だけどがちゃりと部屋の扉を開けて一歩踏み入れた瞬間に漂う淫靡な空気。残り香とでも言おうか。鼻につくそれにまさか俺が気付かないはずもなく、俺がいない間ローが何をしていたのかなんてのは大体予想がついてしまった。
どうやらローは俺との約束を破ってしまったらしい。

「…ロー」

でもまずは確かめてみないとな。そう思ってベッドに体を預ければぎしりと軋む音がする。名前を呼んでそっと頭を撫でてやればローの体がびくりと震えた。それだけで寝ていないのは一目瞭然だ。それでもわざとらしく耳元で、寝てんのか?と囁やけばおずおずとした様子でローがこちらを振り返った。

「起こしたか?」
「…ん、ん。寝てなかった」
「そっか。…いいこにして待ってたか?」
「…ん」

するりと頬を撫で上げて聞けば、ローは一瞬戸惑うように視線をそらすとそれでもこくりと頷いた。相変わらず嘘がヘタクソだなと思いながらそこは気付かないふりをする。ローの顔はほんのりと赤く色付いていて、瞳も涙の膜で揺れていた。情事特有のその表情に思いはほぼ確信に変わる。
それでもやはりそのことにはまだ触れず、いいこだな、と頭を撫でててやれば気持ちよさそうにうっとりと目を細めて、額にキスをしてやれば物足りなげに見つめてくるローに笑みを浮かべた。

「ん、もっと…」
「はいはい」

強請るような視線に催促されてその唇にキスをする。薄く開いた隙間から舌を入れてローの熱い舌と絡めると気持ちよさそうな声が口端から洩れた。少し強めに舌を吸って歯列をなぞり、口内を余すことなく舐め上げてやる。

「んぅ、ふっ…」

目を開けばそこには必死になってキスに応えようとしているローがいて、一週間ぶりの可愛らしいその姿に笑みを浮かべると口付けを深くした。そうしたらぎゅっと強く肩を握られて、それでも絡められるローの舌全体をねっとりと舐め上げてやる。びくびく震える肩に目を細めるとキスに夢中になってるローをいいことに、その体に纏うシーツに手をかけてばさりと下に滑り落とした。

「んっぁ!?ん、んー!」

びくりとローが目を見開く。それでもキスは止めずに、ぐいぐいと押し返そうとする腕は無視した。
ちゅくちゅくと舌を絡ませながらするりとローの服を捲る。途端に閉じようともがく脚を遮って、大きく開かせると間に体を割り込ませて閉じられないようにしてやった。

「ん、ぅっ、はっ…やっ…」
「ロー、何でここ濡れてんの?」
「ひぅ、あ…っ」
「もしかして約束破った?」

ちゅ、と唇を離せば途端にローはふいっと顔を背けてしまう。ピクピク震える耳にキスを落とすと、露になった自身に目を向けた。白濁に塗れたそこは先程のキスのせいか緩く立ち上がっていて。ほら、ここも、と呟いて、つつつ、と後孔をなぞればびくりとローの肩が震える。約束の話になれば涙を溜めたローの瞳がゆらゆら揺らぎ。なぞる指を悪戯に押し入れてしまえば、いとも簡単に入っていってしまってそれににやりと口端をつり上げた。

「何でこんな柔らけェの?一人で弄ってたのか?」
「ふっ、だって、がま、できなくて…」
「俺が帰ってくるまでも我慢出来なかったのか?いいこにしてたって言ったくせに」
「っ、ごめ、なさぁ…」

眉根を寄せてぽろぽろと涙を溢しながらごめんなさいと見上げるローにぞくりと背筋が震える。何せ一週間ぶりなのだ。ローのこの表情を見るのも。そう思えばもっともっとと欲も出てくる訳で。得てして俺はその欲望に忠実だったりする。

「約束破った悪い子にはお仕置き、だな」
「! や、ゃっ…ゆ、すた…ゃだあ…っ」

お仕置きという言葉にひどく敏感なローはこれから自分が何をされるか分かっているのだろう、じわりと涙を瞳に浮かべて首を振る。でも、もちろんそれで俺が許すはずもなく。

「駄目。今更泣いたって遅いぜ?」
「ひっ、ぅ…」
「痛くはしねェよ。気分じゃねェから」

その代わり気絶するくらい気持ちよくしてやるよ、と柔く耳を噛んでそっと囁けばびくりとローの体が震える。不安と怯えと一抹の期待を宿した瞳ににやりと笑った。

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