Gift | ナノ

(飼い主キッド×兎ロー)
(人参プレイにつき注意!)

玄関を開けると同時にバタバタと駆けてくる音がして、ぎゅっと腰に感じる暖かな圧迫感。幾度もやられ慣れたそれを反射的に抱き締めると、とびきりの可愛らしい笑顔が俺を出迎えてくれた。

「お帰り、ユースタス屋!」
「ただいま、ロー。いいこにしてたか?」

俺を見上げてにこにこ笑うローの頭を優しく撫でる。最早当たり前の光景となった、仕事帰りの俺を疲れも吹っ飛ぶような可愛らしい笑顔で出迎えてくれるロー。さらさらとした髪を指で梳きながら聞けば、擽ったそうに笑った。

「当たり前だろ」
「そっか。じゃあいいこにお留守番出来たご褒美やらなきゃな」

するりと、髪を梳いていた手を頬に滑らせるとそのまま唇をゆっくりなぞる。何度やってもこの空気には慣れないのか、ご褒美だって与えられ慣れてるハズなのに、途端にローの顔が赤く染まっていく。何をされるか気づいたせいだろう。それににやりと笑うと手始めに額に一つ。何だか今日は意地悪したい気分だった。

「ほしいか?ご褒美」
「…ひっ、ぁ…」
「それともいらない?」
「ゃ…っ、ほし、い…」

わざとらしく耳元で囁くとくちゅりとそのまま舌を這わす。ウサギの耳ってのはいわゆる性感帯らしく、触ってやるとローはひどく気持ち良さそうな顔をする。今だってびくびく体を震わせながら顔を真っ赤にしてこちらを見上げてくるもんだからこっちとしては堪ったもんじゃない。

「…口開いて」
「ん……んっ、ふぁ…」

涙目で見上げるローにゆっくり唇をなぞって囁けば、うっすらと開いたそこにキスをして開いた空間からするりと舌を入れ込んだ。ちゅぷ、とやらしい音がして、ローの舌を絡めとると途端にびくりと震える体。引っ込もうと逃げるそれを追いかけて柔らかい舌の感触を楽しむと、歯列をなぞり、弱い上顎を擽るように舌先で撫でる。

「ふ、っ…んん、ぁ…」

目を開ければふるふると睫毛を震わせて必死にキスに応えようとするローがいて、眉根を寄せてすがりつくその姿に思わず目を細めた。口内を余すことなく舌を這わせれば、びくっと肩が震えてその度に服を握る手から力が抜けていく。目尻に涙が浮かぶ頃にはとうとう脚も震えだし、腰に腕を回すと確り支えてやった。
常ならこのまま押し倒すところだけど、今日は。



「ん、ぁ…」

ちゅっ、と最後に舌を吸って唇を離すと力の抜けた体を支えてやる。どこか名残惜しげな視線を向けられて、それににやりと笑って何だ?と聞けばローは別に、と何でもないように慌てて視線をそらした。

「ユースタス屋、夕飯は?」
「あー、食べる」

取り急ぎ繕ったように聞いてくるローに笑いを堪えながら、お前は?と聞けば食べると赤いを顔を隠すように頷く。

「先に食ってていいって言ってんのに。また食わなかったのか?」
「だって…ユースタス屋と食べたい」

どんなに遅くてもローは決して一人で食べたり眠ったりしない。たまに待ちきれなかったのかテーブルに突っ伏して寝ているのを見たことがあるがそれだけだ。
寂しがりやなウサギは一人でいるのが大嫌いらしい。でも俺が帰ってくるまでの留守番はちゃんといいこにしてくれている。だけどそれは俺の帰りを待つという目的があるからこそ出来る訳であって、だから起きていないと気が済まないらしい。ちなみに寂しがりやは冗談じゃない。前にローが寝ていたので何も言わずに出掛けて(と言ってもコンビニに行っただけだが)帰ってきたら起きていたローにぼろぼろ泣きながら抱き着かれた。慌てて理由を聞けば置いていかれたと思った、と。今更何を、とも思ったがローにして見れば重大らしく、それからはいつでもどこでも行き先を告げるようになった。

「ユースタス屋?」

不安そうな色が滲み出た声で名前を呼ばれてハッとする。クイクイ服を引っ張られて、待つのいや?と首を傾げられれば何も言うことが出来ない訳で。

「嫌な訳ねェだろ」

むしろ嬉しい、と頬にキスすればローは擽ったそうに笑う。でも無理はすんなよ?と言えばにっこり笑って頷くので何でこんなに可愛いのかと真剣に考える始末だ。とりあえずいつまでも玄関で抱き合っている訳には行かないのでリビングに入ると早速遅めの夕食の準備を始めた。




準備と言ってもどうやらローが先に作っていたらしく(かなり珍しい)今日のメニューはシチューだった。鍋にもう一度火をかけて温めなおせば食欲をそそる匂いが鼻を掠める。ローが用意した皿にシチューを盛るとテーブルに運んで椅子に座った。
いただきます、とスプーンで掬って口に含めば確かに美味い。今日は成功したんだなと思っていたら、おいしい?と聞かれたので美味いと答えるとローは嬉しそうに笑った。

それからは今日あった出来事だとか次の休みはどうしたいだとかお互い他愛もない会話をしながら夕食を進めていく。ローは少食で、しかも割かしゆっくりと食べるのでお互い食べ終わるのはほぼ同じ。じゃあ片付けるか、と立ち上がろうとして皿の中に避けられた、見慣れた赤い存在を見つけた。

「お前また人参残してんじゃねェか」
「だってニンジン嫌いだし」

おいしくないと忌々しそうにスプーンでつつくとローは眉根を寄せた。こいつはどうにもウサギのくせして人参が嫌いらしい。他にも嫌いなものは結構たくさんあって、なかなか偏食気味。だからその避けられた存在を見逃す訳にはいかず、食え、と言うとローは嫌だと首を振った。

「お前好き嫌い多すぎ。野菜も食べねェと体に悪いぞ」
「悪くたって別に死なねぇもん」

屁理屈を捏ねるローにスプーンで人参を掬うと口元まで持っていく。だが横一文字を刻むそれは開く気配がなく、ふいっと横を向くと意地でも食べないというような態度を示した。

そのときピンときた訳だ。これは使える、と。


「じゃあ勝手にしろ」

わざとらしく冷たくそう言うと、心配してやってんのに、と呟いて席を立った。さっきも言ったが今日はどうにも意地悪したい気分で。途端にローの顔に不安の色が浮かぶ。だけどそれも無視して素通りして、そうすればもっと落ちつかなげな雰囲気を纏ったローに内心にやりと笑った。どうにも俺が本気で怒ったと勘違いしたらしい。人参ごときでんな怒るかっつー話だが、俺に呆れられたり怒られたりするのが大嫌いなローはそれどころじゃないようだ。

「何?鬱陶しいんだけど」
「……っ」

いてもたってもいられないといった様子のローが勢いよく立ち上がると台所にいた俺の背中にぎゅっと抱きついてきた。それにあえて心無い反応をすれば後ろで息を詰めると音がして、服を余計に強く掴まれる。

「…ユ、スタス屋、」
「………」
「ふっ…嫌い、に、ならな、で」

より一層握る手に力が入って、同時に啜り泣き混じりに紡がれた言葉にくるりと後ろを振り返った。そんなことを言われて放っておくことも出来ず、ずりぃなあと思いながら俯いたローの顔を上げさせて目尻にキスをする。

「じゃあもう好き嫌いはしない。出来るか?」
「…ん、しない」
「いいこ」

こくりと頷いたローにそっと囁くと顔中にキスを落とす。もう怒ってないと思ったらしいローはすぐに甘えたような表情になっていて。でも今日はこのまま目一杯可愛がるんじゃないだよなとか思いながら自然とつり上がりそうになる口端を必死で抑えた。

「ならあの人参も食ってこい…って言いてェけど、やだろ?食うの」
「う、ん」

これまた控え目に頷いたローの腰に腕を回してさらに抱き寄せるとその耳を軽く食んだ。途端にびくりと体が震え、れろりと舌を這わせばぎゅっと強く服を掴まれる。序でに腰に回していた腕を下ろして小さい尻に触れるとその感触を楽しむように揉んで撫で回すと少し余裕のあるズボンの中に手を突っ込んだ。

「ゃっ、あ…ユースタ…っ」
「だからローにはおいしく楽しく食える方法で食わしてやるよ」

直に触れら、びくりと震えたローを尻目にちゅっと耳にキスをしてそっと囁く。それでもローは何も分かっていないようで、とろんとした目が不思議そうに見つめる無垢なそれににやりと笑いながらそっとその唇を塞いだ。

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