Gift | ナノ

実を言うとキッドはまだローと体を繋げたことがなかった。しかし健全な男子としてそういった欲求はもちろんある。抱きたい、と。
そうして今この瞬間に、その想いは止められないほど膨れ上がっていた。

「ロー……抱いても、いいか?」

軽い体を抱き上げ、そっとベッドに寝かせると、とろりとした瞳で自分を見つめるローにキッドは囁く。途端にローの頬が赤くなり、恥ずかしそうに視線をそらされる。嫌か?と聞けば、ローはふるふると首を振った。

「嫌じゃない、けど……」
「けど?」
「っ、人間同士のやり方、分かんなくて…」

羞恥ゆえか、潤んだ瞳で呟かれた言葉にキッドの背筋にぞくぞくとした興奮が駆け上がる。気分はさながら真っ白な積雪に足を踏み入れ蹂躙するかのごとく。やり方さえも知らないといった初心なローに一つ一つ快感を教え込み、開発していくのはどんなにか楽しいだろう。黙りこくったままのキッドにローが不安そうな瞳を向ける。それに答えることはせず、瞼の上にキスを落とすとするりと服の中に手をさしこんだ。

「キッド…?」
「ローは感じているだけでいいから」
「でもっ…あっ、!」

何も伝えられぬまま行われる行為は不安なのか、ローの戸惑ったような顔色を尻目に服を首元までたくし上げるとそっと柔らかな乳首に触れる。訳も分からぬままただ与えられる快感に感じ入る姿を見たいと、キッドは少し意地の悪いことを考えていた。だからローに何を言われても説明する気はない。
ぐりぐりと指で乳首を虐めながらキッドはローを見つめる。まだ戸惑いの方が強いようで、そこを触ることに意味があるのか、と言ったような目で見つめてくる。意味があるかないかと聞かれればないが、開発した方が楽しいに決まっている。親指で押しつぶしたり爪で引っ掻いたり刺激を休むことなく与えれば、いつの間にかローの乳首はぷくりと立ち上がっていた。抓めるほどになったそれを親指と人差し指で挟んでやると、もう片方は口に含む。ぬるりとした突然の刺激に、びくりとローの肩が揺れた。

「や、ぁっ、そこ…っ、なんか、ぁ…ヘン、ッ…!」
「変?どういう風に?」
「ひっ、!しゃべ、なっ…んんっ!」
「でも嫌じゃないだろ?」
「ふっ、わか、なぁ…ぞくぞく、してぇ……!」

眉根を下げたローは乳首を弄られ、自分の中心がいやに熱くなっていることをどう言い表していいのか分からないのだろう。変だ、おかしい、と、もじもじと脚をくねらせるその姿を尻目にキッドは口に含んだ乳首に柔く歯を立てる。そのまま強く吸いついてやるとビクンとローの腰が跳ねた。

「ぁうっ…キッ、ド…それ、ゃあっ…」
「噛まれると気持ちいいんだ」
「ちがっ、ぁあ!ゃっ、も…そこ、やだぁ…!」

行き場のない熱に潤んだ瞳からぽろりと涙が零れ出す。苦しそうに寄せられた眉にキッドは唇を離すと、じゃあどこを触ってほしい?と意地悪く囁いた。ぷくりと真っ赤に腫れた赤い乳首を虐めながら羞恥に震える姿を見つめる。両脚を摺合せ、どこに触れてほしいかなんて聞かなくともわかっている。それでもローが告げるのを待っていれば、すっと手を取られて。おずおずとその熱い中心へと導かれた。

「ここっ…あつ、いから…さわ、ってぇ、キッドっ…」

ごくりと息を飲むとキッドはそのままぎゅっと熱を握り締める。途端ローの口から洩れ出る甘い声。その声に導かれるようにして下着ごと取り払うと、ゆっくりと上下に扱いてやる。

「あっぁ、あっ…!やっ、すご、ぃ…っあぁ!」
「気持ちいいだろ?人間の男はみんなここで気持ち良くなるんだ」
「ひっ、ぅん…あっ、ゃ、そこっさきっぽ、やぁっ!」
「はは…すっげーぐちょぐちょ…」

一擦り撫で上げるごとに得られる快感にローは身を震わせ甘い声を上げる。シーツに擦り付けるように顔を押しつけ、与えられるやり場のない刺激にローはぽろぽろと涙を零した。その様があまりに可愛らしく、手の動きを速めるとぐりぐりと尿道口を刺激する。突如与えられた強い刺激にローは首を振ると逃げるようにぎゅっと脚を閉じてしまった。浅黒い、柔らかな腿に挟まれたキッドの白い腕が目立つ。しかしそれで逃げられるはずもなく、あっさりと左右に押し開かれると閉じられないように間に体を割り込まれてしまった。ぐちゅぐちゅとローの性器を虐めながら空いた手で乳首を弄る。

「やっ、あぁ!どっち、も、だめぇ…ひっ、あ!」
「こんなに濡らして何が駄目なんだよ」
「あっ、だ、って…ひっ、んん!っ、感じ、すぎ、ちゃ…あぁ!」
「ハッ…じゃあもっと感じさせてやるよ」

赤く染まった頬、眉根を寄せて苦しげに伝えられた言葉。そのいやらしい表情に今すぐにでも挿入して突き上げたい気持ちをぐっと堪えると、キッドはサイドチェストから潤滑油を取り出す。そしてたっぷりと自分の掌、ローの中心部にその液体を垂らした。

「っ、あ、なに…ひぁ!?」

突然現れた自分の下半身を濡らす液体に、ローは戸惑ったような視線を送る。しかしキッドがその疑問に答えることはなく、それどころか突如つぷりと、尻穴に感じた異物感にローは驚きに肩を揺らした。

「ゃだ、キッドっ!」
「大丈夫、ローは感じてればいいから」

ちゅっと額にキスを落とされ、そのまま訳も分からずゆっくりと挿入される。ある一定の長さまで入れられると引き抜かれ、その繰り返し。時折ぐるりと中をかき混ぜられ、予測できないその動きに翻弄されるがまま、ローは甘い声をあげて体を震わせる。その異物がキッドの指だと気が付くころには、ぎっちりと広げられたそこには既に三本の指が突き入れられていた。

「んっ、あぁ…やっ、ゆび、もぅ…っ!」
「ちゃんと慣らさないとな…痛いのはやだろ?」
「で、も…ひっぅ、あっ!そこ、やっ!」

襲いくる慣れない感覚に早く抜いてほしいと懇願しても、宥めるような声色でキスを落とされるだけで、キッドが指を抜いてくれることはなく。ぐちゃぐちゃと音を立てて動かされる指に最初は異物感しかなかったはずが、いつの間にかそれとは違う感覚を見出してしまっている自分に怖くなる。気持ちいいか?と聞かれて分からないと答えるけれど、だらだらと先走りを零す性器がいい証拠だ。ふるふると首を振るローに、キッドは笑みを浮かべると額にキスを落とす。別々に動く三本の指がローの中をぐるりと探った。途端にびくりとローの身体が震える。キッドの指が霞めたその場所が、どうやらローの泣き所であるらしかった。

「ここ、か?」
「あぁっ、やっ、そこだめっ!ひっ、んん!」
「すっげェ気持ちよそうな顔…可愛い、ロー」

中指を第二間接で折り曲げたあたりを強く擦るとローの身体がおもしろいぐらいに跳ねあがる。見つけたその場所を執拗に責めると、ローは涙を零しながら逃げるように身をくねらせた。しかしキッドが逃がす筈もなく。がっしりと腰を掴まれ、何度も指で責められるそこに悲鳴じみた声が上がる。訳が分からないまま快楽の底に突き落とされていくローをキッドは愉しそうに見つめていた。可愛い、と囁きながら耳もとに舌を這わせて。

一頻り責め終わった後で、いつ終わるともしれぬ快楽責めに泣き言を洩らしたローに満足したキッドはゆっくりと指を引き抜いた。ぬぷりと音を立てて引き抜かれたそこはじっくりと、執拗に責められたせいかひくひくといやらしく蠢いている。その姿に途方もなく煽られる。ぐったりと荒く息を吐くローの瞼にキスを一つ。そうしてピクピクと揺れる脚を抱え上げると濡れそぼったそこにいきり立った性器を押し当てた。

「ふっ、ぁ…き、っど…?」
「ロー、入れるぞ」
「ひっ、なに、ぃあっあぁ!」

押し当てられたその熱に困惑するローを尻目にグッと性器を突き入れる。きついながらもずぶずぶと押し入ってくる熱い塊に目を見開いた。何を言おうにも洩れ出る声は喘ぎ声となり、与えられる未知の感覚にローはただ泣きながら首を振る。

「ゃ、あぁ…ひっ、あつ、いぃ…」
「ロー、っ、大丈夫か?痛くない、か?」

身を焦がすような熱の塊がゆっくりと挿入される感覚に震えていれば、不安そうな顔をしたキッドに覗きこまれる。我慢できなかったとはいえ、早急に事を進め目てしまった罪悪感はあるらしい。宥めるように髪を梳き、頬に触れる手がローの呼吸を落ち着かせる。ローはぎゅっとその手を握り締めると、だいじょうぶ、と舌足らずな言葉を返す。その健気なまでの姿に、キッドはぎゅっと胸の内が強く掴まれるような気がした。

「あっ…でも、」
「ん?どうした、ロー…つらいか?」
「ちがっ…ふっ…も、はいっ、な…」

苦しそうに眉根を寄せたローにキッドは心配そうな瞳で呟けば、涙の浮かんだ瞳で苦しいと訴えてきた。もうはいらない、と泣きながら腹に手を当て呟いたローにぞくりと背筋が震える。その姿に無理矢理奥まで突き入れたくなる衝動を堪え、「分かった、」と囁くとそのままゆっくりと性器を引き抜いた。そしてまた入るところまでゆっくりと押し入れる。こうして動いていくうちに少しずつ馴染んでいくだろうと思ったからだ。ただでさえいっぱいいっぱいのローにこれ以上無理を強いたら壊してしまいそうで。最初はゆっくりでいい。そうして動かしていけば次第に引き攣るような動きもなくなり、それを合図に徐々にペースをあげていく。先程見つけたローの感じるところを探るとそこを中心的に突き上げた。

「ひっぁあ!ゃ、ら、そこっ…だめ、ってぇ、あぁ!」

その度に顔を赤く染めたローが、喉を反らせ、びくびくと身体を震わせて善がる。その姿にキッドはきゅっと目を細めた。ローが善がり乱れる姿にむくむくと自分の中の欲が頭を擡げていくのが分かる――全て中に収めてしまったら、一体どんな反応を見せるのだろう。自分の想像の中のローにこくりと息を飲むと、次第にスムーズになっていく動きにローの腰を強く掴んだ。グッと先程よりも強く入れられた力に本能的に何か感じ取ったのか、ローは泣きながら首を振ると逃げるようにシーツを蹴る。しかしキッドが逃がす訳もなく。ロー、と促すように囁くと、びくりと身体を震わせて眉根を下げた。

「あっあっ、らめ…ッ!こわれ、ちゃ、からぁ…!」

縋るように腕を伸ばし、告げられた言葉は精一杯の制止なのだろう。ローにとっては。しかしキッドにしてみれば、それは非情なまでに欲を掻き立てられる言葉でしかなく。

「ならっ…壊れんなよ、ロー?」
「や、ぁっ…!――っ!!ひ、あぁあっ!!」

伸ばされた腕を掴み、抱きしめてやれば安心したように背に腕が回された。しかしその思いも長くは続かない。にやりと笑ったキッドに告げられた言葉に、涙を浮かべて首を振るも気づいたときにはもう遅かった。強く掴まれた腰をそのまま引き寄せられ、前屈みに押し付けられた熱がずぶずぶと、先程よりもさらに深くまでローの中を犯していく。狭い中を押し拡げるようにして入ってくるその感覚に、ローの唇からはひっきりなしに甘い声が洩れる。ズンッと突き上げるようにして最後まで押し入れると、最早声もでないのか、背をそらせたローはビクビクと体を震わせた。

「〜〜っ!!ぁ、っ、!」
「っ、はぁ、きっつ…!」

そのあまりに熱く、それでいてぎゅうぎゅうと締め付ける中の動きにキッドは眉根を寄せる。背中に感じた微かな痛みは立てられた爪のせいだろうか。
今にも射精してしまいそうなのを堪え、震えるローの頬を労わるように撫でる。許容量を超えて与えられる快楽に、涙ながらに縋りつくローの姿は殊更キッドの欲を煽った。震えるローの姿にどくりどくりと心臓が激しく脈打つ。中の強い締め付けも相俟って限界はすぐそこまできていた。

「っ、ぁ、…きっど…っまだ、うごか、なっ…」
「悪ぃ、ロー…我慢できそうにねェ……!」
「やっ、うそ、っひ!ああ、っゃあ!」

辛かったら噛んでもいいから、と抱きしめたローの首筋にキスを落とすとキッドは制止も聞かず腰を動かし始めた。先程よりもずっと奥深くを貫いてくるその熱に、ローはただひたすらキッドに縋りつく。脚を抱え直し、ローの感じるところを突き上げてやれば、こわれる、おかしくなる、と。耳元で呟かれる、涙まじりの快楽に濡れた声がさらにキッドの興奮を煽り立てている事をローは知らない。

「あっあぁ!ゃ、もっ…ひっ、な、か…でちゃ、…っ!!」

ガツガツと貪るように突き立てられて、追い上げられるように昇り詰めていくその中、ローは身体の底から湧き上がる熱に戸惑ったような声を出す。ああ、そうか、とその声にキッドはぞくりと背を震わせた。射精すら、初めて。ローの初めてを何もかも自分が手にいれられるのその事実にキッドはぎゅっとローを抱きしめた。

「っ、そのまま…一緒にイこうな、ロー」

そっと耳元で囁いて。迫りくる熱を押し付けるように動きを早め、同時にぐちゃぐちゃに濡れたローの性器も扱いてやる。一度に与えられた快楽にローはひくりと喉を震わせると、訳も分からず次々与えられる快楽に堪えきれなくなったのか。がぷり、とキッドは肩に感じた痛みをそのままにローの頭を抱き寄せ、一番奥を貫いた。

「――〜〜っ!!」
「くっ、ぁ…!」

柔らかな締め付けに堪えることもなくローの中に熱を吐き出すと、同時に手の中にも感じる温かな感触。ぎゅうぎゅうと絞り出すような中の動きに合わせて、キッドも残滓まで吐き出させるようにゆるゆるとローの性器を扱く。そうして空っぽになるまで吐き出したあとで、漸く落ち着けるようにゆっくりと息を吐いた。

「大丈夫か…ロー?」
「っ、ぁ…」

汗に濡れた前髪を掻きあげ、ローの顔を覗き込む。蕩けた瞳はぼんやりと虚空を映し、身体は小刻みに震えたままだ。その姿にどう考えてもやりすぎだったと、キッドは抑えつけられなかった自分の欲にバツの悪そうな顔をする。無理させてごめんな、と呟くと、これ以上刺激しないようにゆっくりとローの中から性器を引き抜いた。

「ひっ…んっぁ…」

それでも洩れでるローの甘い声に、また勃ちそうになるのを必死に堪える。塞ぎをなくした穴からはこぷりと精液が零れ出し、潤滑油と中に出したものでぐちゃぐちゃに濡れたそこは見ているだけでもまた欲を引き立てられそうだ。キッドはローにシーツを被せると、熱を抱かないためにも見れないようにして抱き上げた。

「後始末しなきゃ、な」

そっと呟いた言葉はローに聞こえているのかどうか。その後始末が何たるかも、ローは知らない。精液を掻き出され身悶えるその姿を想像し、また襲ってしまいそうだと抑えの利かない欲に半ば諦めを覚えながらバスルームへと向かった。

その後意識のはっきりしたローに後始末が何たるか伝え、してやったのだが。ぎゅっと首に縋り付き、耳元で甘い声を出されたまま、とろりと太腿に伝わる精液など見せつけられたら最後。結局そのまま再び事に至ってしまい、最終的にローが意識を飛ばすまで抱き潰してしまった。ぐったりとしたローを抱えながら、やばいかもしれない、とキッドは口元を押さえる。予想以上のローの可愛さと自分の欲に忠実な様に、今後の性生活を思って。







カーテンの隙間から洩れる朝日が眩しい。小鳥の鳴き声でさえ重い身体に響くようで、ローは朝からすっきりとしない目覚めに呻き声をあげた。何度か瞬きを繰り返し、目を擦ると先に起きていたらしいキッドがおはようと髪を撫でる。

「大丈夫、」
「じゃ、なぃ…」
「…だよな」

労わるように呟かれた言葉を遮るようにして言ったつもりだったが、口端から零れた声は予想以上に覇気のないものだった。喉も腰も、泣きすぎたせいか頭も痛い。人間って大変なんだな、と気だるい自分の身体にローはため息でも吐きたい気分だった。
だけど一つだけ、いいこともある。

「ロー、何かしてほしいことあるか?」

眉根を下げながらあたふたと甲斐甲斐しく自分の身の回りの世話を焼く王に、ローは人知れず笑みを浮かべる。拗ねたふりをして背を向ければ、慌てたような気配がし、そしてそっと抱き締められて。無理させてごめんとかけられた謝罪の言葉に、ローは回された腕に手を重ねる。なら今日は自分だけの王様になってもらおうかな、と指を絡めた。







お誕生日プレゼントにあかつきさんに捧げます!人魚パロの続きということで楽しみながら書かせていただきました!二人はこうして順調にバカップルへの道を歩んでいくんだと思います(笑)




[ novel top ]


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -