Gift | ナノ

「お前なんで男ダメなの?」
「は?」
「お前の顔すげぇ好みなんだけど」
「はぁ!?なに言って…」
「なぁ、一回だけヤらせてくれよ」
「絶対嫌だよ!」
「じゃあやっぱり触るだけ…」
「やめろ!」
「ほんとほんのちょっとだから!絶対気持ち良くするし、な?」
「な?じゃねぇよ!…ってなにしてんだよ!放せアホ!」

褒められているのは分かるが、男に好みだのヤらせてくれだの言われても全く嬉しくない。先程の空気を読まない発言でどうにかここを凌げると思ったのだが、そううまくはいかないらしい。迫るキッドに後ずさるが、逃げるより先に肩を押されて押し倒される。冗談じゃない!と思ったがシュルリとネクタイを外され目を見開いた。

「馬鹿キッド!やめろ!」
「ローが逃げようとするからだろ」
「ったりまえだろ!」

解いたネクタイでいとも簡単にローの両腕を拘束し、スーツを肌蹴させていくキッドに抵抗するもマウントポジションを取られた状態では身を捩るぐらいしかできない。放せ、と言おうとしてぺろりと肌をなぞる柔らかい感触に、ローはひっと喉を引き攣らせた。

「マジでいい加減に…!」
「もうその気になっちまったから無理」
「キッド!」
「ちょっと黙ってろって」

肌を伝う舌が乳輪をなぞり、びくりとローの体が震える。乳首は小さく、まだ何の反応も見せていない。それがおもしろくないとでも言いたげにキッドはカリカリと指で引っ掻く。

「っ、ぁ、やめ…!」
「ここも毎日弄ってでっかくしてやりてーなー」
「ふざけんなアホ、っ…離せ!」
「満足したらな」

にやりと笑い、少し反応しだした乳首をもっとというように指で抓む。こんなのじゃ指で抓むのも一苦労だ。キッドはゆっくりと舌を這わしながらローを見る。ぎろりと睨みつけてくるその表情に背筋が震えた。

「ッ、離、せ!」
「その顔すげーいい」
「ふざけっ、ぁ、くっ…」
「なぁ、気持ちいい?」
「誰が…!」
「そ?こっちはヨさそうだけどな」
「っ!」

カチャカチャとキッドの指がベルトを外し、するりとズボンの中に入り込む。身を捩るローをものともせず、小さく反応しだした性器を下着の上からゆっくりと撫でた。そのまま何度か揉んで握れば、唾液で濡れたローの唇が戦慄く。その様子にぺろりと唇を舐めた。

「かわいーなお前」
「ンッ…、っ黙れ、!」
「そんなことも言えねェくらい気持ち良くしてやるよ」
「やっ、なにす…ッッ!!」

ずるりと下着ごとズボンを脱がされ、曝け出された下半身に慌てて足を閉じようとするもそれよりも強い力で割り開かる。閉じれないように脚を掴まれ、声を荒げようとしたがそれよりも早くぱくりとキッドに性器を咥えられてローは目を見開いた。

「ッ、んぁ!ふっ、ゃめ…!」
「つらいなら我慢すんなよ、声」

ちゅっちゅっと労わるように性器に口付けるキッドに首を振る。そう言われてはいそうですかと頷けるわけがない。ふざけんな、と言おうとしたが口を開ければあらぬ声が洩れ出てしまいそうでローは必死に唇を噛み締めた。それがキッドにはひどく気に入らなかったようで。戯れるように舐めていた舌は離れ、根元まで咥えられて、繰り返されるディープストロークに押さえられたローの脚がびくびくと揺れる。ちらりと顔を上げれば残念なことにローは両腕で顔を覆っていた。声も出さないし顔も見せないローが気に入らないのか、先端を強く吸うと舌でぐりぐりと責め立てる。唇を噛み締めたようなくぐもった声が聞こえ、手に触れる脚が跳ねる。口の中でじわりと苦みが広まっていく。

「っ、ぁ…ん、くっ…キッド、っ…ゃめ、ッ!」

もうイく――びくびくとローの脚が震え、声に出さないが体が訴える。意地悪にも、キッドはその瞬間唇を離した。無情にも塞き止められ、ローの脚は悶えるように小さくベッドを蹴り、それを落ち着けるように荒い息が辺りに響く。体を起こしてローの顔を遮る両腕をどければ、口には出さないものの蕩けた表情がなんで、と語っていた。

「ん、ぁ…」
「ロー…一緒にイこうぜ?」

ローの両腕を縛るネクタイを外すと手首にキスを落とす。一度蕩けさせられた身体は抵抗する気力もないのか、荒く息を繰り返すだけ。キッドは自らの性器を取り出すとローの脚をぴったりくっつけ胸元にまで寄せる。そこでびくりとローの身体が震え、思い出したかのように手がキッドの肩にかかる。押し返そうとしているのだろうが、力の抜けた体では意味もない。曝け出される格好に驚きと羞恥で赤くなった顔を可愛いと思いながら額にキスを落とす。挿れはしない、と囁くとキッドはローの腿の間に性器を挿入した。いわゆる素股だ。触れあう熱い熱にローの瞳が戸惑いに揺れる。開いた唇はどうせ文句しか言わないのだろう。少しの間だけでいいから自分の都合のいいように考えさせてほしいと、キッドは何か言われる前にローの唇を塞いだ。そしてそのままゆっくりと腰を動かす。

「んっ、ふ、んん!」

最初はゆっくりとした動きで、徐々に律動を速めていけばローの唇からくぐもった声が洩れる。ぬちゅぬちゅとした音と感触、ローの逃げる舌を絡めて洩れ出る声に欲を煽られる。止まらない動きをそのままに唇を離せば、至近距離で見えるぐしゃりと涙で溶けた顔。あっ、あっ、と小さく洩れる喘ぎ声にキッドは脳が沸きそうだった。

「キッド、っあ、キッ…んぁ、っ、も、ぉ…イッ…!」
「ああ、いいぜ、っ…ロー…」

耳元で聞こえるローの喘ぎ、涙で濡れた声で呼ばれ背筋が震える。びくびくと脚を揺らし、限界を訴えるその表情に追い打ちをかけるように囁くと、ローは絶頂に達した。どくりと性器が跳ねて精液が腹の上に散る。眉根を寄せ、口を微かに開き、絶頂に達するその瞬間の表情でキッドは何度でも達せてしまいそうだと思えるほどに、いやらしい。ドクドクと心臓が激しく脈打つのを感じながらキッドはローの絶頂に合わせてゆるゆると動かしていた腰を激しくする。無論、達したばかりのローからしてみれば、直に与えられる刺激はつらいものでしかない。

「ふっ、あっ、ゃめ…ッ、キッド、まっ、あぁ!」
「悪ぃ、ロー…っ、すぐ終わらせっから…」

擦れあう感触に、萎えた性器が強制的に熱を持っていく。シーツを握り首を振るローに異様な興奮を感じながら何度も何度も腰を動かす。ぽろりと零れる涙を舌で掬い、結局その行為は時間ぎりぎりまで続けられることとなった。



はぁっ、と唇から熱い息が洩れる。組み敷いたローのシャツはぐちゃぐちゃで、腹の上には二人分の精液が飛び散っていた。ああ、やっちまった、とキッドはその姿に微かな罪悪感を覚える。殴られても罵られてもいいと思って臨んだ行為だが、挿入していないとはいえローにとってはレイプ同然だろう。しかも同じ男から。今更ながら自分の行為を悔やむが、あとには引けない。ロー、と呼びかけようとしてドスッと腹に当たった衝撃にうめき声が洩れた。

「ぼーっとしてないで早くキレイにしろよ馬鹿野郎」

腹に入ったのはローの蹴りだった。キッドは一瞬ぽかんとしたが、早く!と急き立てるローの声に慌ててティッシュで腹を拭う。ローの息はすっかり落ち着いていた。しかしこれは一体どういうことなのだろうか。予想していた態度とは違う態度にキッドはちらりとローを見つめる。向けられた視線はひどく冷たいもので、それなら怒鳴ってくれた方が何倍もマシだとキッドは思った。

「あの…悪ぃ、ロー…無理矢理こんなことし」
「当たり前だアホ!お前、誰にでもこんなことしてんのか?」
「違ェよ!こういうのもあれだけど…こんなことしたのはローが初めてだ」
「………」
「ほんと、何つうか…お前があんまり俺好みで無理にでも自分のにしたくなったってか…本当ごめ、っ痛ぇ!」
「謝るぐらいならすんなボケ!」

手を合わせ、頭を下げて謝罪の言葉を紡いでいたら突然頭に痛みが走る。ゴスッと鈍い音がした。どうやらローに踵落としを食らわせられたらしい。さっきもそうだが意外と手が早い。あのとき一番に両腕縛っといてよかったかもなぁ、とキッドは頭の痛みに耐えながらも今更ながら自分の行為に感心した。
しかし思っていたよりもローの態度が清々しくて、これじゃあ許されるんじゃないかと変な期待を持ってしまう。もちろん許されなくて当たり前だからそんな高望みはしてはいけないのだが。
先程までは猛獣のようにがっついていたくせに、急におろおろと小動物のように戸惑いだすキッドにローは溜息を吐いた。そんな目で見ないでほしい。溜息を吐くごとにびくりと震える巨体がおかしかった。しかし、じゃあもうしないでね、なんて簡単に許せるほど甘い性格はしていない。

「一度だけ言う。今から言う数字を覚えろ」
「へ、」

それでもこんなことで手を打とうと思っているのだから、他人が聞いたらどうかと思うだろう。自分の考えに苦笑しながら数字を言い、覚えたか?とキッドに問う。何が何だか分からないと言いたげな顔をしながらも、キッドはこくりと頷いた。

「もし許されたいと思ってるなら、とびっきりの文句を考えて俺を飯にでも誘うんだな」
「え、それって…つか、じゃあ今の番号、」
「勘違いすんなよ。チャンスをくれてやるだけだ」

母親に怒られた子供のようにしょげ返っていた瞳がみるみるうちに期待を映し出す。現金なやつだと思いながら、キッドにばれないように小さく笑った。

「ちょ、ロー!さっきの番号もう一回!」
「一度だけっつったろ」

不覚にも、次に電話でその声が聞けるのを楽しみに思ってしまう自分がいる。




490000hitにてキリリクしてくださった匿名様に捧げます!どちらかがヘルスで働いているキドロ、とのことで、ローたんが風俗やってるのはあるけどキッドがやってるのは…と思いキッドにさせていただきました。真逆の方向に行くのが当サイトのクオリティです(笑)
遅くなってしまいすみません!リク有難うございました!




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