Gift | ナノ

(学パロ)


七限終了のチャイムが鳴り、辺りがガヤガヤと一気に騒がしくなる。俺も周りに倣って机の中のものを適当に鞄に放り込んでいたら、トントンと机を叩かれた。椅子を上げて机を下げようとしているペンギンが顔を上げた俺を見て笑う。

「王子様が迎えに来てるよー」
「…黙れ」
「痛っ、ごめんローつねんないで!」

にやっと笑ったペンギンがからかいを含んだ声色を投げかけてきたので、締まりの無いその頬を思わず抓った。力の入る限り頬を伸ばしてやれば、いひゃいいひゃいと間抜けな声でペンギンが訴える。

「大体なんだよ、王子様って。キモッ」
「えーだってそうじゃん。朝教室まで送ってくるし、帰りも教室に迎えに来るし?全てロー優先だし!」

本当あいつってローのこと大好きだよなー、と呆れ顔で語るペンギンは実は俺の幼馴染で家が隣。キラー屋も含め、小さい頃からの知り合いでまるで兄弟みたいな関係だったりする。

「変なこと言うな、アホ」
「はいはい。ってかもう行ったほうがいいよ、拗ねるよ」
「そんなガキじゃねーよ」

仮にも二歳年上なわけで、勝手に迎えに来てるくせにちょっと待たされて拗ねるとかどんだけなんだ。話を流す俺を尻目にペンギンは物知り顔でやれやれと首を振った。

「だといいけど。じゃあまた明日」
「ん、またな」

ひらりと軽く手を振り、掃除当番のペンギンを置いて教室から出る。教室のドアに背を凭れ、待っていた男はペンギンの揶揄した「王子様」とは程遠くて少し笑った。

「遅い」
「ちょっとペンギンと話してただけだっつの。待ても大人しくできねーのか」
「俺は犬じゃねェ!」
「分かったらからでかい声だすな」

何をそんなに気を立たせているのか、イラッとした瞳で見つめられたがそこは俺、寛容に受け流す。ていうかこんなので一々こっちまで気が立ってたら全く前に進めない。
キッドは不機嫌そうに鼻を鳴らすと、迎えに来たわりに一人ですたすたと歩き出す。相変わらず傲慢な男だと、それに少しこちらも苛立ちながらも大人しくあとに続いた。普段なら何か適当な会話を二、三話すところだけどキッドはだんまりを決め込んでいるらしい。ペンギンの言った言葉が脳裏に浮かび、はぁとため息を吐いた。

「拗ねんなよ」
「誰が拗ねるかよ」
「オニイチャン」
「ムカつくからその呼び方やめろ」

言うならもっと可愛く言え、可愛く!と言ったキッドに若干引きながら靴を履き替えて生徒玄関を出る。前々から思っていたけどこいつ本当にガキ。俺の思っている以上にガキ。産まれる順番間違えてきたんじゃねぇかな。

「機嫌直せ」

校門をくぐり、グラウンドから聞こえる掛け声を聞きながら人通りの少ない閑散とした道を歩く。こつんと触れた手を何とはなしに握ってやれば強く握り返された。こんなので機嫌直しちまうんだもんなぁ。眉間の皺がとれた横顔を見つめながらやっぱり単純だと思った。

「ブラコンもそろそろ卒業しねぇと彼女できねんじゃねーの?」
「あ?いるかよそんなの。お前がいんだろ」

けろりとした顔で呆気なく言われた言葉に思わず間抜け面。馬鹿なこと言ってんじゃねェ、なんて言われると思ったもんだから。
間抜け面に気づいたキッドはにぃっと人の悪い笑みを浮かべると握った手に軽いキスを落とす。お前だって彼女なんか出来てほしくないくせに、得意げに笑った瞳に囁かれて赤くなった頬を隠すようにそっぽを向いた。

「…言ってろ、ばーか」
「相変わらず素直じゃねェの。…あ、そうだコンビニ寄ってこうぜコンビニ」
「なんか買うのか?」
「ゴム切らしちまってるから買わねェと…」
「は!?」
「ナマでもいいなら別に買わな」
「ななななに言ってんだよこんな道中で!馬鹿か!!」
「あ?別に誰もいねェだろ。何回もシてんだから慣れろよ」
「うるさい!」

この下半身脳が!!まだ暗くもなっていないのにいきなり夜事情を話し出したキッドに顔が赤くなる。そこでふと気がついた。そう言えば今日からうちの親、二泊三日の旅行に行ってて家にいないんだっけ…。あれ俺やばくね?

「と、にかく!買いに行くなら一人で行け!」
「我儘だなぁ」
「それとこれとは別!」

楽しそうに笑ったキッドに変なところで年の差を見せ付けられたような気がして少しムカついたが構っちゃいられない。大体男同士でコンビニ行ってゴム買うとか怪しまれ…ないのか?いやいやそんなの、俺が変に顔赤らめて行ったら100%怪しまれるだろ!
ぎゃんぎゃん喚く俺を尻目にキッドは自分が優位に立てたことで余裕そうな顔をする。む、むかつく…。だけどちゅっと可愛らしい音ともに頬に落とされたキスに何も言えなくなってしまった。

「仰せのままに、お姫様」
「な…に、馬鹿なこと言ってんだよ!」
「はいはい、どうせ俺は馬鹿ですよ」

けらけら笑うキッドにそっぽを向くと乱暴に頭を撫でられる。囁かれた言葉に赤くなる顔を夕暮れで誤魔化したのを知っているのは俺だけでいい。



444400hitにてキリリクしてくださったろろ様に捧げます!大変遅くなってしまいすみません…!
甘いキドロということで…勝手に学パロ&兄弟パロにしてしまったのですが、どうでしょう。あにおと好き過ぎでスミマセンorz
こんなのですがお気に召していただけると嬉しいです!リク有難うございました!^^




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