Gift | ナノ

両親は共働きで夜遅くまで帰ってこないから家にはキッドと二人きりだ。それに自分の部屋なんて密室だ。いやだな、とローは思ったがキッドは手を離してくれそうにない。きっと自分が納得できるような理由を言うまで帰らないだろう。そう思うとローの荷は重かった。キッドに昨日のことについて聞きたくなかった。たとえ浮気していたとしても、自分が本命でなかったとしても、知らなければうまくやっていける。そう思うのは悲しいけれど、それでいいと思えるほどローはキッドのことが好きだった。

バタン、と部屋の扉が閉められて、二人きりになるといきなり後ろからキッドに抱きすくめられてローはびくりと大袈裟にその肩を揺らした。少し身じろげば倍の力で抱き締められて益々自由に体を動かせない。
不意にキッドの唇が首筋にあたり、熱い吐息を吹きかけられる。そのままねっとりと首筋を舐められ、耳朶に触れた唇にローの体が小さく震える。

「ユ、スタ…やめっ…」
「何で俺のこと避けてんのか、言ったらやめてやる」

そう言ったわりには、ローの唇をなぞっていた指がまるで聞きたくないとでも言うように口内へと進入する。首筋にキスを落とし、開いた片手でブレザーのボタンを外すとシャツの中に手を入れる。それに抵抗するようにローが首を振っても、キッドの指に弄ばれる舌では何も言葉が紡げない。
ぐちゃぐちゃに掻き回されて、唾液が顎を伝っていく。何とかキッドから離れようとしていれば、不意に乳首をぎゅっと抓まれてびくりと体が跳ねた。

「ふっ、ぅん、んんっ」
「…何言ってんのか分かんねー」

お前がそうしてるんだろうと思ったが、この状態ではそれも言えない。きつく抱き締められ、首筋にキッドの顔を埋められてしまえば振り返ることも出来なかった。
やめさせたいのにやめさせられなくて、ローはもどかしくて中に入っていったキッドの手を、シャツの上からカリカリと引っ掻く。でもそうすれば乳首を弄る指に力が入って、抵抗するたびにきつく爪を立てられるもんだからローはだんだんと立っているのも一苦労となっていった。
何度も触るうちに硬く尖って弄りやすくなったそこをキッドは捏ねたり押し潰したり、時折引っ張ったりと忙しい。ただ触られているのは片方だけで、もう片方には目もくれないのだからそれがまた何とも言えない気持ちにさせる。

「ん、んぅ…っ、は、ふぁ、!」
「っと…危な。ちゃんと立てよ」

散々弄られて赤くなったそこをゆっくりと指の腹で撫でられて、その急な緩い刺激にローは目を見開くとがくんと膝を崩してしまう。それをキッドが既の所でしっかり支えると、ローが倒れ込まないよう扉に手をつかせて覆いかぶさるようにして後ろから抱き締めた。
体の力も抜け、逃げ場のないこの体勢にローの抵抗も益々弱まっていく。それをいいことにキッドはシャツのボタンを全て外して前を肌蹴させる。現れたのは弄られすぎて真っ赤に尖った乳首。触ってないもう片方も、なぜかツンと尖って触って欲しそうに赤く充血していた。

「何でこっち、触ってねェのに勃ってんの?」
「やっ、見る、なぁ…!」
「触ってもらうの期待してたんだろ。淫乱だしな」
「ちがっ…」
「ふぅん、こっちはそうも見えねェけど」

そう言って今まで触れていなかった片方を、ローの唾液でてらてら光る指で押し潰すように触られて、ローは思わずびくりと腰を跳ねさせた。びりびりとした刺激が体中を巡って、気持ちよくてぎゅっと唇を噛み締める。
おざなりにされていた刺激を与えられて、弄られる乳首はみるみるうちにピンと卑猥に赤く尖っていく。それをキッドは目を細めて見つめながら両手でローの乳首を愛撫した。

「ひっ、んん!ぁ、ゃあっ」
「んな気持ちよさそうにして何が嫌だよ」
「あぁ、ゃっ、ゃだぁ…っ」

ぐりぐりと両の指で虐めて、爪を立てては優しく撫でる。いつもなら気持ち良さそうな顔をして、けれど少し恥ずかしそうにキッドにしがみついて喘ぐローはいなかった。ただ訳もなく嫌だ嫌だと首を振るだけで、それがさらに気に食わない。
そんなキッドが苛々しているという雰囲気は背後から伝わってきていたので、舌打ちなどされるとびくりと肩が跳ねる。乱暴な手つきでベルトを外され、止める前にスラックスを下着ごと脱がされてしまって益々心許ない。ストン、と落ちて足首に絡まる服のせいで余計に動きにくくなり、ローの抵抗は最早口先だけのものとなっていた。

「ふぁ、あっ…や、ゆーすた、っ、ゃめっ…」
「こんなぐちゃぐちゃにして感じまくってるくせに。何をやめてほしいんだよ」
「んっ、ぁあ!ひっ…あっ、あー…っ!」
「なぁ。喘いでるだけじゃ分かんねェんだけど」

耳元に唇を寄せられて、囁かれる声は静かな怒気を称えていた。
けれどやはり言う気にはなれず、何も言わないままキッドの手つきに翻弄されていく。
ぐちゅぐちっと濡れた音を立てながら緩急つけて自身を抜かれ、もう片方はクニクニと乳首を弄る。言いたくないのではなくて、言えないのかもしれなかった。元々敏感な体は同時に与えられる刺激に慣れておらず、ガクガクと脚を震わせながら必死に扉にすがりつく。それでもやめてと言おうものなら刺激を倍にして返されるものだから、ローは体をびくびくと揺らしながらその快楽を甘受する他なかった。

「ひっぁあ!やっ、も…あ、いっちゃ…い、くぅ…っ!!」
「誰がイっていいっつった?」
「ぁ、ゃだあっ!や、はなし…ふぇ、いきた、っ……ひゃ、ぁああっ!ゃんん、やらぁ、やっ、」
「気持ちイイ?お前これ弱いもんなぁ…」
「んぁあっ、きっど、やぁ…っ!いきたぃ、いきた、の…ひっぁ、こわれちゃ、やぁあっ!」
「イかせてほしいなら理由言え。…じゃなきゃずっとこのままイかせてやんねェから」
「ひっぅ…そ、なぁ…っ」

ポロポロと透明な涙が頬を伝う。今にも達してしまいそうなのに、それは根元をぎゅっと握るキッドの手が許さなかった。
そのまま先走りに塗れた手でローの腰を少し突き出させるとひっそりと息づく穴に指を入れる。少し出し入れすれば二本、三本と簡単に入っていき、キッドはローの自身をぎゅっと掴んでイけないようにしたまま前立腺を探り当てるとそこばかりを指で刺激した。
もちろんそれにローが堪えられるはずもなく。許容量を超えた快楽で、すぐに頭の中は真っ白になっていく。イきたい、と考えるのはそれだけ。けれど口を割らなければイかせてはもらえなくて、それがどうしようもなくもどかしい。キッドの手を引っ掻いてみてもぐりぐりと前立腺を刺激されるだけで、解放されるどころか更なる快楽を与えられてしまう。
イきたい、けれど言いたくない。ローの頭の中はその二つのことで占められていて、しまいにはぼろぼろと涙が溢れた。

「ひぁっ、あー…〜〜っ!っ、も、やらぁっ!きっど、っねが…ふぇ、いきた、よぉ…っ!」
「…イきたい?」
「ふっ、ん、ぅん…!いきた…きっど、しろ、の、だしたぃ…ふぁ、んっ!」

早くこの苦しみから解放されたい。その一心でローはキッドを振り返って見つめるとキッドの喉がゴクリと上下する。
口端から唾液を垂らしながら、頬を染めて、涙で潤んだ瞳は快楽で蕩けて。ぎゅうぎゅうと指を締め付けて、イきたいと泣きながら強請るローに本来の目的を忘れそうになってしまう。それほどに淫靡で、赤く濡れた唇が自分の名前を呼ぶのに魅入ってしまう―…。

キッドは目を覚ますように緩く頭を振ると、ぐちゅりと指を引き抜いた。それを解放されたと思ったのか何なのか、ローは絶頂を強請るようにキッドを見つめる。けれど、決してそのようなことはなく。

「っ、?!ひっ、あぁあ、ー…っ!!」
「っは、締め付け、すぎ…」

ぎゅっと自身は握られたままで、一気に奥まで入ってきたキッドの熱い塊にローの体が仰け反る。指とは違うその質量に奥を貫かれて、気付けばローの頭の中は真っ白になっていた。

「ひっ…は、ぁっ…」
「な、イけただろ?」

空イキだけど、そう言って笑ったキッドにぐんっと奥を抉られてローは意識を引き戻される。無理矢理体を抱えられて崩れ落ちないようにさせられると、キッドはローの腰をしっかり掴んでガツガツと打ち付け始めた。

「ひ、やぁあっ!あっ、あぁー…っ!!ゃらっ、手はなし、はなしてよぉ!」
「空イキでいいなら好きなだけイけば?理由言うまで離さないでおいてやるから」
「ふぇ、ぇ…やぁっ、こわれちゃ…っ、ひっ、んん!ぁ、ゃら、やっ、またイっ…〜〜っ!!ぁあっ、も、ゃだぁっ」

イけないのだからせめて狙いを外してくれればいいのに、キッドはローの前立腺ばかりを責め立てる。いつの間にか腰を掴んでいた手は乳首を弄るのために動き回り、自身は握られたままでだらだら先走りを流す先端を刺激される。熱い舌で耳を舐められ囁かれて、ローは身体中を襲う快楽に涙を流して激しく体を痙攣させた。

「やらっ、ゃあっ!ひっ、く…おかし、なるぅ…あっ、あぁあ!きっど、も、らめぇっ…こわれちゃ…!!」
「はっ、かわい……ロー、イきたい?」
「ひっぁあ、いきたっ…!」
「じゃあ教えて。俺のこと嫌いになったから避けたの?」
「ちがっ…!!」

キッドのその台詞に慌てて振り向くと、ちゅっと額にキスされてローの瞳にじわりと涙が溜まっていく。ぼろぼろと止まりもせず溢れ出した涙に驚いたのはキッドの方で、ぐずぐず泣くローに今度はキッドが慌てる番だった。

「だっ、て…だって、きっど、が…っ!…っ……うわ、き…する、からっ…」

しゃくりあげながら言われたローの言葉に意味が分からず、キッドの動きも思考もぴたりととまった。

「浮気なんてしてねェよ?ロー以外興味ないし…」
「うそだっ…だって、昨日女の子と、帰ってた…っ」

用事あるって言ったくせに、そう言ってローはキッドを睨み付けると、やっと納得がいったらしい。あれか、とキッドは苦笑するとローの目尻に愛しむように口付けた。

「ごめん…ちゃんと言えばよかったな。あれはボニーっつってただの幼馴染みだから」
「ほんと…?でも、腕…」
「絡むのはあいつの癖みてェなもんだから。すぐやめさせるし…それに、あいつはちゃんと俺に可愛い恋人がいるって知ってるから」
「なっ…!」
「今度紹介してやろうか?恋人のトラファルガー・ローだって」
「し、しなくていいっ、バカ!」

くすくす笑うキッドにローは顔を赤くすると首を振る。そんな耳まで真っ赤になったローの様子を見ながらキッドはその唇に触れるだけのキスを落とすとぎゅっとローを抱き締めた。

「誤解させてごめんな…ひどくしちまった」
「ん、ん…いいよ。……だから、」
「ん?」
「…普通にえっちしよ?」

照れたように頬を染めながら、それでも強請るように見つめられて、先程まで激しく絡まりあっていた熱が燻りだす。当たり前だと言うようにキッドはローの頬にキスすると、ローの腰を掴んでゆっくりと自身を引き抜いた。

「あっ…ゃだ、なんで…」
「立ったままだと辛いだろ?」

与えられると思っていた快楽はやって来ずに、その代わりいきなり抜かれてしまってローは泣きそうに顔を歪めた。そんなローにキッドは苦笑すると軽々横抱きにしてベッドまでの短い距離を運んでやる。そうしてゆっくり寝かせると、縋るように伸びるローの手を首に回させて脚を持ち上げると肩に担いだ。

「きっど…も、イってもいい…?」
「あぁ、何回でもな」

可愛いローのお願いにキッドは頬を緩ませると、ヒクヒクと蠢くそこにそっと自身を宛がう。挿れるぞ、とそっと囁くと、早くと強請るようにローはキッドにぎゅっとしがみついた。

「っ、ぁああ―…〜〜っ!!」
「は…まだ挿れただけだぞ?」
「ひぅ、だってぇ…」
「腰びくびくして…かわいー。我慢してたからいっぱい出たな」

ぐんっと奥を突かれた瞬間、塞き止めるものが何もなかったローは呆気なく達してしまったのだ。
長時間我慢させられていたそこからはどくどくと熱い精液が溢れて辺りに飛び散る。ローは久しぶりに与えられた射精感に気持ちよさそうにびくびく体を揺らして強くキッドにしがみついた。
そんなローをキッドは強く抱き締め返すと何の前触れもなく律動を開始する。いきなり与えられ始めた強い刺激に、射精の余韻も儘ならないローは目を見開いて喉を仰け反らせた。

「ひぁあっ、だめっ!ゃ、あぁっ、ゃらあ、すぐいっちゃ、よぉ!」
「ん、イっていいぞ?好きなだけ気持ちよくなっていいから」
「あぁ、ひっんー…っ!ゃ、あ、あっぁ!」
「可愛いロー、いっぱいイくとこ見して」

前立腺を抉り、奥を打ち付ける動きは止まらず、ローは泣きながらキッドにしがみつく。そんなローに何度もキスを落としながら、耳元で甘く羞恥を煽るようにを囁きながら、優しく何度もローに絶頂を迎えさせた。それこそもう出ないと言って泣いてしまうまで。


一体何度目か分からないほどの絶頂を迎え、薄くなった精液をキッドの掌に吐き出しながらローは意識も朧に荒く息をする。そんなローの中から自身を引き抜くと、大量に出した精液がシーツに溢れ、その様子にもキッドは目が釘付けになった。
ロー相手になら何度でも勃ってしまいそうで、キッドは下肢から目をそらすと今にも意識を落としてしまいそうなローの頭を労るようにそっと撫でた。

「お前に一日会わないだけで…こんな調子狂うんだからな」

そんな自分に苦笑しながら、そっと呟く。多分耳には届いていないだろうけれど、微笑んで擦り寄るローをキッドは強く抱き締めた。






295000hitにてキリリクくださった凛様に捧げます!お待たせしてすみません…!><
浮気疑惑からの甘々エチ…期待に沿えてますでしょうか?そして何だかローたんが乙女になってしまいました…。
こんなので宜しければどうぞ!リク有難うございました(*^^*)





[ novel top ]


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -