絵空事 | ナノ

(兄弟パロ)


「ロー、お年玉やろうか?お年玉」
「くれ」
「よしじゃあとりあえずズボンとパンツ脱いでみようか」
「死ね」


炬燵に寝転がってだらだらテレビを見ていたローに、ふと思いついたように言ってみた言葉は敢えなく却下されてしまった。どうせ退屈しているのなら少しぐらい興じてくれたっていいものだが。如何せんこいつはガードが硬い。


「お年玉いらねェの?」
「脱ぐ必要性が見出だせない」
「やっぱり俺にも見返りがないとだな」
「死ね」


何かあるとすぐ死ねと悪態を吐く弟はやはり反抗期らしい。こちらを振り返りもせず、適当にチャンネルを変えてつまらなそうなお笑い番組を見ている。
両親はもう寝てしまって二人きりだった。もう歳だから眠気も堪えられないのだろう。俺的には有難いが。


「じゃあ姫始めしようぜ」
「ひめ…?」


お年玉に釣られなかったローだ、こんなのはそれこそ死ね以上の言葉で打ち返されるだろうと思っていたが、怪訝そうな声色で返されただけだった。まあ、そうか、中一じゃ姫始めなんて知らないか、とローの様子に納得する。
教えてやろうか?と勿体振って言ってやれば、別にそんなの知ってるししないしと強がったように返された。


「どうせ何か分かってないくせに」
「だから知ってるっての!ただくだらないからやらないだけだ!」
「へェ、じゃあ何すんのか教えてくれよ」
「う゛っ…それは、えと…」


キッと睨み付けてくる瞳が気まずそうにそらされ、誤魔化すように不明瞭な言葉を紡ぐ。そんなローをにやにやしながら見つめた。


「聞くは一時の恥、知らぬは…なんだっけなぁ?ロー」


もちろんこんなの知らなくたって一生の恥にも成り得ないが、それはそれ。まだまだ餓鬼のくせにプライドだけは一丁前に高いローにこの状況は屈辱的だろうが、俺は愉しくてしょうがない。
しかも「姫始め」だ。屈辱に堪えて聞いた内容が「年が明けてから初めてするセックス」だからな。きっと怒るだろうが、真っ赤になった顔も可愛いんだろう。


「…べっ、べつに…聞いてやっても、いい、けど?」


起き上がったローが、俯きながら呟く。全く可愛くないお願いだ。だが今のローにとってはこれが精一杯なのだろう。それにお願いの仕方は可愛くないとは言っても、顔を赤くしたローは可愛いしな。
すぐに返事をしない俺に痺れを切らしたのか、ちらりとローがこちらを窺う。それに答えることはしないで、その小さな体を抱き寄せた。


「ちょ…キッド?」
「教えてほしいんだろ?」
「別に聞いてもいいって…ふ、ぁ!?や、どこ触っ…!」
「姫始めってのが何なのか…体で教えてやるよ」
「キッド、いい加減にっ…ぁ、も…〜〜!母さーーん!!」
「はい、いま俺手放したよ!放したから叫ばないでってか呼ばないでマジ謝るから!」



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