絵空事 | ナノ

(兄弟パロ)


すらりと伸びるニーハイソックスに包まれた脚。黒を基調としたワンピースから覗く柔らかそうな腿。純白のフリルがついたエプロン。恥ずかしそうに伏せられた瞳がゆっくりとこちらを見つめ、震えた赤い唇がゆっくり言葉を紡ぎ出す。


「とりっく、おあ、とりーと?」




「ああー…俺もう死んでもいい」
「なら死ねこのクソ兄貴!変態!」


滑らかなサテン生地を纏った足で容赦なく頭を踏みつけられるのも気にせず、ただただ下からその素晴らしい姿を見上げた。


きっかけはローがほしいと言っていたどでかい白熊のぬいぐるみ、ハロウィンバージョン(6300円)だった。普段は俺を兄とも思わない態度で接するくせに、自分の都合のいいときだけローは甘えてくる。今回もそうだった。
いつものあの上から目線の態度はどこへやら、「キッドおにいちゃん…」なんて上目遣いで近寄るローに鼻血を流せども最早流されまいと決めた決意は固く。だがローもそれで引くはずがなく、ぎゅっと腕に抱き着き、まだ子ども特有の柔らかさが残る胸を押し付けては脚と脚の間に挟んだ腕に股間を擦り付け俺は今日死ぬんじゃないだろうかとガチで思った。


結局負けたのはいつも通り俺で、買う約束を取り付けたローは上機嫌に笑う。だが俺も負けてばかりはいられない。ということで突き付けた条件がこれだった。
幸いなことに今日はハロウィン。仮装、もといコスプレしたっておかしくない。この間捨てられそうになったローへの誕生日プレゼント(メイド服、ナース服、セーラー服)の中からメイド服を選ぶとこれを着ることを条件として、俺は勝負をドローへと持ち込んだのだ。


「…ん?お前パンツ履き替えてないじゃん」
「ひっ!?バカ、やめろ!スカートの中に入ってくんなぁ!」
「あれ穿くかノーパンのどっちかって言っただろーが。ま、こういうアンバランスなのもエロいけど」
「いいから早く出てけアホー!」


ローが脚を上げる度にふわりと持ち上がるワンピース。ちらりと見えた先に約束破りが混じり込み、俺は確かめるべくスカートの中へと顔を突っ込んだ。
ワンピースの上から叩かれ、引っ張られる髪を無視してボクサーパンツ姿に不平を溢す。せっかく可愛い純白フリルの面積が小さいショーツを買ってきてやったと言うのに。
まあローのメイド服姿を見れたからよしとするか、と妥協してスカートの中から出るとすぐに顎を蹴られて舌を噛んだ。激しく痛い。


「クソ、クソッ…!お前なんか性犯罪で捕まればいいんだ…!もう脱ぐからな!」
「ちょ、何物騒なこと言ってんの?!てかまだ脱ぐな!まだ駄目!」


呪い殺さんばかりの目で俺を睨み付け、服を脱ごうとするローを慌てて制止する。あともう少しだけと言うと、ローはまた呪詛のような文句を呟きながら渋々と脱ぐのをやめた。


「他になにさせたいんだよ…」
「Trick or treat?」
「は?」
「いやだから、今日ハロウィンだろ?Trick or treat?」
「……意味分かんないんだけど」
「お菓子か、悪戯か」


完全に焦っているローに分かりやすく二択で示してやる。どっちがいいかはお前が選べ、なんて言ったがローが菓子を持っていないのは一目瞭然。そうすれば残された道は必然的にたった一つ。


「…悪戯か」
「! ちょ、待っ…」
「待たない」


逃げようとしたローを抱え、ベッドに放り投げると逃げられないよう手枷で両手を拘束した。ガチャガチャと必死になって抜け出そうとするローに、見せつけるように玩具を取り出して。


「で、まずはどれがいい?」


順々に並べ、にこりと笑う。それでも強気な態度を崩さないローに、まずは媚薬入りローションへと手を伸ばした。
今日は楽しいハロウィンになりそうだ。


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