(兄弟パロ)
どこか遠くで誰かが名前を呼んでいるような気がする。心地いい空間の中で、体がふわふわと浮いているようだ。
「――ッド、キッド!起きろってば!」
「…ん〜」
「出てく前に起こせって言ったのお前だろ!」
「いっ…ちょ、まて、起きるから!禿げる!」
どうやら名前を呼んでいたのはローらしい。ふわふわと揺れる感触は揺さぶられた肩からだろう。
キャンキャン喚く声は少し煩いが、それでも睡魔には勝てずに眠っていたら癇癪を起こしたローにギリギリと髪を引っ張られた。もちろん容赦などない。慌てて起き上がると引っ張る手をやめさせる。確認できてないだけで数本髪の毛が抜けた気がするが気のせいにしておこう。全く、朝から疲れる。
「ったく、一回で起きろよな!」
「おー…」
「言ったそばから…寝るな!」
「痛っ!」
仕方なく起き上がり、ベッドヘッドに寄り掛かるとぷりぷり怒るローを尻目に睡魔と戦う。そうしたら思いっきり頬を殴られた。
もー、本当何なのこの子。兄ちゃん泣くぞ。
「俺はもう学校行くから。朝飯用意しといたからちゃんと食べるんだぞ!」
「お前は俺の母親か…」
「キッドが体たらくだからだろ?中一に世話されるとかマジだせぇんだけど!普通逆だから!」
「う゛っ…」
はんっ、と鼻で笑ったローに胸元辺りをぎゅっと握り締める。痛い…!言葉の暴力が痛すぎる…!
「俺はお前をそんな乱暴な子に育てた覚えはありません!」
「育てられた覚えもないんですが?」
白けきった目で俺を見つめると、じゃあもう行くから、とローは鞄を引っ付かんで部屋から出て言ってしまった。
クソッ…昔はあんなに可愛かったのに…!
いつの間にあんなに小憎たらしくなったのだろうかとベッドの上で暫し唸る。本当に、つい最近まではお兄ちゃんお兄ちゃん言って俺のあとを…ついてきてた気もするんだが、ついてきてなかったような気もする。
くだらないことに思いを馳せていたら、不意に扉が開かれる。そこにはつい先程出て言ったはずのローがいて、俺は首を傾げた。
「どうした、ロー。学校は?」
「忘れ物したから取りに来た」
「忘れ物ってここ俺の…んっ!?」
ここは俺の部屋だしローの忘れ物があるなんてことはない。ベッドに上ってきたローを疑問に思っていたら、不意に唇を塞がれて目を見開いた。目の前にはローの長い睫。
「いってきますのちゅー、するの忘れた」
ちゅ、と唇を離し、上目遣いで見つめてくるローに鼻と胸から何か熱いものが込み上げてくるのを感じた。
「は、…何だお前そのツンデレは!高度すぎんだろ!」
「うるさっ」
行ってきますのちゅーとか!何それマジで可愛すぎるんですけど!
ツンツンツンからのデレに思わずでかい声を上げれば、ローは眉根を寄せて耳を塞ぐ。遅刻するからもう本当に行ってくる、なんてつれないことを言うローの細い足首を掴んでベッドに引き摺り込みたい。引き摺り込んで両手縛って逃げられないようにしてまだ小さな乳首を弄りまくって触るだけでイけるようになるまで開発したい。乳首を開発したらもちろん次は尿道を開発するんだ空イキしまくって泣き出すローをイかせてイかせてぇって懇願させて隠語調教したらあとはもう可愛いケツにぶちこんで尻穴擦られただけでイけちゃうような体に
「なるかボケェ!気持ち悪いんだよ!」
「ぶふっ」
何故か顔を真っ赤にしたローからおもいっきり右ストレートをいただいた。
てか何この子、エスパーとかそういう感じ?それとも俺のことは何でも分かっちゃうの!的な…?
「だから考えがイチイチ気持ち悪いんだよ!全部声に出てんだっつーの!」
「あぁ、そりゃ悪かった。ローが可愛くてつい妄想を垂れ流しちまった」
「ついじゃねぇぇ!」
至極真面目な顔でそう言えば、どことなく頬を赤く染めたローに怒鳴られる。
顔を赤くするローなんて滅多に見れないから網膜に焼きつけておこえとじっと見つめていれば、二度と俺で変な妄想するなと怒られた。
あれ、これってもしかして…?
三度目の正直と言わんばかりに出ていこうとするローの腕を掴むと引き寄せる。後ろからぎゅっと抱き締め、耳元に唇を寄せると暴れていたローの体がびくっと震えた。
「もしかして自分のそういう姿、想像しちゃった?」
「っ、は…し、してねぇし!なんで俺が…」
「ふぅん?そのわりには顔が赤いけどな…こことか、触られんの想像したんじゃねェの?」
「だからしてな…!ぁっ、っ、バカ!さわ…、っ!」
ビンゴ!とガッツポーズしたくなるのを堪え、ローの焦ったような様子にニヤニヤ笑みを浮かべると、シャツの上から乳首を撫でる。上下に擦り、抓めるか抓めないかぐらいに小さく主張したそこを指の腹でぐりぐりと押し潰す。本当ブレザーって楽でいいなぁと思いつつ、耳を舐め、キスを落とした。
「ロー…」
「んぁ…!」
思わず、と言ったように洩れ出た声に、ローは慌てて手で抑えるがもちろんばっちり聞こえていて。気持ちいいんだ、なんて囁きながらびくびく震える腰を押さえつける。違う違うと顔を真っ赤にして首を振るローの可愛いのなんのって…眼福すぎるだろ!
至福の時とはこういうことを言うんじゃないかとローの腰を撫で擦りながら恍惚としていれば、涙混じりの瞳がキッと俺を睨み付ける。もちろん怖くも何ともない。そのまま泣いてしまえばいいんだ…なんて笑みを浮かべていれば、ローはギリッと俺の手に爪を立てた。
「帰ってきたら…母さんに言いつけてやる…!」
「すいません本当調子に乗りすぎましたもう二度としないので言いつけないでくださいお願いします」
その後の交渉の末、今日の出来事には地元で有名な高級洋菓子店の一日三十個限定バームクーヘンで手を打ってもらうことになった。
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恐らく書いている私だけが楽しいと思われる変態お兄ちゃん×しょたっこですww想像しちゃった?とかキッドまじきめぇバロスwwww
キッドは何度か前科があり、その度に母上に怒られている模様。多分、次ローに手出したら大学へは家からではなくアパートから通えとか言われてるんだと思います。ローたんと離れたくないがために、家からでも通える大学選んだキッド涙目ww