絵空事 | ナノ

部活の報告書を提出しに行った(行かせた)キラーを誰もいない教室で待っていると不意にガラガラとドアが開いた。煩い見回りのセンコーが早く帰れとか何とか言いに来たのだろうか。ちらりと視線を上げれば俺の予想とは外れてそこに立っていたのはトラファルガーだった。
こんな遅くにこいつが学校に残ってるなんて珍しいなと思っていれば目があってスタスタと歩み寄られる。何か用か?と言おうとした言葉はトラファルガーの言葉に掻き消された。


「犯して」
「…は?」


突飛な発言に思わず聞き返してしまうとトラファルガーは至って真面目に犯してと再度言った。誰もいないとはいえ教室のど真ん中で何を言ってんだこいつはと眉根を寄せれば何も言わない俺にトラファルガーは首を傾げる。ユースタス屋?と疑わしげに名前を呼ばれて見ればトラファルガーは反応しない俺に困ったように眉根を寄せていた。


「そういうのは家ん中だけで言ってろ」
「はぁ?なんで?」


訳が分からないと言いたげに見つめるトラファルガーが分からない。こんな状況下に放り出されたのは起きたとき身に覚えがないのに素っ裸のトラファルガーがすやすやと隣で眠っていたとき以来だ。ユースタス屋意味分かんねェと呟くトラファルガーを尻目にキラーに先に帰ると伝えようかどうしようか迷っていると不意にドンッと。





机の上に鞄を置かれた。


「…あ?」
「だから置かしてっつってんの。俺が戻ってくるまでちゃんと見てろよな」


少々ご立腹な様子でそう言ったトラファルガーが早足で教室を出て行く姿を唖然としながら見送る。入れ違いで戻ってきたキラーに悪ぃけど先帰っててくれとため息を吐いた。
そろそろ俺の脳味噌も末期な気がする。嘆く前に耳鼻科に行った方がいいかもしれない。




聞き間違えは楽しい


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