ハッピーエンドの裏側
空を覆っていた暗雲は波のようにひき、
やわらかな陽ざしが凍てついた国々のすべてを溶かしていきました。
それまで枯れ果てていた地には、一匹の妖精がやってきました。
指先を軽く鳴らすと、あっという間に冬は、春になりました。
すべてが彼らを祝福しているかのようです。
そうして、お姫様と王子様はようやく結ばれたのでした。
交わされた唇は、永遠のひみつを肯定するものでもありました。
永遠のひみつは死ぬまで、ふたりをわかつことはないでしょう。
「これで、よかったのよ」
王子様はお姫様をやさしく、つつみました。
それはそれは、しあわせそうなふたりなのでした。