「オーク軍を相手にすることになった。決戦は湿地帯で行う。
そこで勝てれば良し、だがもし負けたら速やかにここを放棄しトレントの集落へ落ち延びるように。」


リムルさんの名付けによってこの村にいる子たちは各種進化をして強くなっている。
けれど女性や子供だっている。もしを想定してそんな村に残る子たちへも指示を出すリムルさん。
村の子たちを集めて作戦内容を話すリムルさんはなぜかすごく立派に作られた神輿の上にスライムの姿でいる。
ちょっとシュールだ。バレないように少しだけ顔を下に向けた。


「正直敵戦力は少なくない。勝つつもりで行くが負けたからと言って怯える必要はない。状況は思念伝達で知らせる。
皆落ち着いて決められた通りに行動するように。
えーでは、第一陣に加わるものを発表する。」



***



リムルさんは最初、私を村に残すつもりだった。

けれど、私は、役に立ちたかった。だから

「ネージュ様も随分スキルの使い方が上達した様子、自衛はもとより戦力の一つとして考えても問題ないかと」
「ああ。姫様ももう十分戦えるはずだ」

ハクロウとベニマルが一緒に言ってくれた。
うん、そうなのだ、私は私の持つユニークスキルのおかげでリムルさんの持つスキルを共有している。
ユニークスキルなどはまだ使いこなせはしないけれど、リムルさんが捕食者で獲得したスキルなどは使えるようになって
水を操ることも、空を飛ぶことも可能になっている。
まあリムルさんのなかにいる大賢者さんが私にはいないので、数多くのスキルをリムルさんは自由に使いこなせているけれど、私はひとつひとつ認識していかないといけないから、もうちょっと頑張って色々できるようになりたい。



『…私もリムルさんの役に立ちたいの』
「……そういうのどこで覚えてくるんだよ、まったくもう…」



ベニマルとシュナに言われたようにじっとリムルさんを見つめて首を少し傾げてそう言ったら
リムルさんが額に手を当てて空を仰いだ。



「__わかった。ネージュが十分戦えることはわかってるんだ……
第一陣に加える。けど絶対に俺から離れないこと!」
『うん、邪魔しないようにするね』

「そういうんじゃない…んだよ…」



__

そして今、ソウエイがリザードマンの本拠地へ向かった同盟を結ぶ話の続報待ち。
第一陣へと加わることが確定したみんなの出撃用の武具は揃い始めている。
今にも戦闘が始まろうとしているなか、リムルさんがいる中負けるわけないと勝ちを確信している女性陣が暇を持て余し始めていた。


「あ、だめですよネージュ様。まだ動かないでくださいね」


主にいつもお茶会などでつかう一室。
リムルさんが隣で可愛いワンピースを着せられている。
私も色違いで同じものを着ている。
リムルさんが低い位置で結わえられた髪を三つ編みにして輪っかにするような髪型をしている。
私も絶賛同じようにシオンに髪を結ばれている。

思いっきり着せ替え人形だね……。

髪が終わった後はぱふぱふと肌を整えるようにパフがシュナによって優しい加減で肌を流れて行く。
リムルさんは爪をハルナに研いでもらっているし、なんだかお姫様気分です。


〈リムル様、今よろしいですか?〉


そんななか早く終わらないかなあという顔をしていたリムルさんを助けるようにソウエイから思念伝達が届く。
リムルさんは私の手を引いて名残惜しそうにする女性陣を置いておくの部屋へと進みソファにどかりと座る。私も習って隣に座る。あんまり足開いたら中見えちゃうよ、、とリムルさんの膝をぺしりと叩くと居心地悪そうに足を少し閉じた。


〈リザードマンの首領に会えました。同盟の話受けてもいいそうです。
ただリムル様に出向いて欲しいとのことですが…〉
〈いいよ、どっちみち湿地帯で決戦予定なんだし。あってもいない人物を信用しろってのも無理な話だ〉
〈では会談の日取りはいつ頃がよろしいでしょうか?〉
〈んー、そうだなー〉


リムルさんはワンピースに合わせて履いていたブーツをスポンと足から引き抜くと今度は結ばれていた髪をほどいてそのまま私の足に倒れこむ。
形のいい頭を迎えて思わず三つ編みで少し癖のついた髪を触る。


〈準備や移動に時間がかかるだろうし、まあ7日後ってとこかな〉
〈ではそのように〉
〈そういえばリザードマンの首領ってどんなやつだった?〉
〈慎重ですが判断力のある男です。こちらへの対応も丁寧でしたね〉
〈じゃあ一つ伝言を頼むよ。”背後にも気をつけろ”って〉


そういって思念伝達での会話はは終了した。


『背後って会議で言ってたガビルのこと?』
「ああ。ないと思いたいけど…」


目を瞑って眉を寄せたリムルさんの眉間を指で伸ばす。
あれ、なんか自然と膝枕しちゃってるけど、
ずっと険しかったリムルさんの顔が少し和らいでるのを見て、まあいいかなんて思ってしまった。

 
 




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