窓の外から雨の音が聞こえてくる。
灰色の雲に覆われた空。

今の私の心模様によく似てる。








「…ふーん。そんで、フラれたワケね」



私の部屋のベッドの上に寝そべり足を組んでいる彼は、幼なじみで近所に住むマイキー。

よくうちに遊びに来て、私の部屋で漫画を読んだりゲームをしたりしてくつろいでいる。


幼なじみで気を許しているという事もあり、私の恋愛模様については逐一彼に報告していた。

私は膝を抱えながら、背中をベッドに軽く預ける体勢で答える。



「…ほんとに、好きだったのに…」

「…うん」

「小学生3年からずーっと…見てたのにな」

「……知ってる」

「こんなに好きになれる人…もういないよ…」

「…」

「マイキー?」




ベッドのスプリングが軋む音。
次に彼が私の真横に来て、そっと腰を下ろした。

彼の真っ黒な瞳が私を捕らえている。




「…わかるよ」

「え?」

「オレもさ、ずっと見てるヤツいるから」

「…え、」



ふわり。
私の唇を、マイキーの唇が覆った。

すぐに唇は離れていったけれど、私は何が起きたのか理解できないまま。




「いい機会だし言っとく」

「…」

「オレはお名前が好き。幼稚園の頃から、ずーっとね」

「…へ」

「もうガマンしねーから」



覚悟しとけよ?
そう言って彼は、優しい顔で笑った。





「んじゃ、雨上がるまでゲームすっか」



身近にあったゲームソフトに手を伸ばし、本体の電源を入れている。

何も変わらない、いつものマイキーだ。
まるで今起こったことが夢だったのかとすら思えるほどに。



「う、うん」



呆気にとられながらも、手渡されたコントローラーを受け取る。彼は慣れた手つきでゲーム画面を進めながら言った。



「ぜってー惚れさせるから、覚悟しといて」



いたずらっぽく笑うマイキー。

ただの幼なじみだったはずの彼の存在が、私の中で変化を遂げた。



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