『遊園地といえば、やっぱりお化け屋敷だよね!!』

んーっ、と伸びをする球磨川をよそに俺はため息をついた。

「なんで入場開始3分でお化け屋敷なんだよ。どう考えても──」『えっいきなり観覧車!?もう…善吉ちゃんってばロマンチス』「トなんかじゃねーよ!!」

勢いあまって球磨川の肩をパシりと叩く。『あうっ』、という小さい悲鳴が聞こえたが知りはしない。

「つーかなにが寂しくて俺がお前となんかと遊園地にこなくちゃなんねーんだよ!!不知火とかなら気がラクだったのに…」
くしゃくしゃと頭を掻きながら、俺はいかにもあてつけのように球磨川を指差した。

『僕だって人吉先生でも誘って人妻デートを楽しみたかったよ。』

事の発端は喜界島がもってきた遊園地チケットに因る。

「このチケットの期限、明日までなんだけど、友達が熱だしていけなくなっちゃんだよね…。誰か明日いける人いないかな?」

そんな彼女の呼びかけに、俺は真っ先に手を挙げた。生徒会戦挙も頑張ってくれたし、不知火を労うのには丁度いいのでは。

しかし、手をあげたのは俺だけじゃなかった。

球磨川もにこにこしながらチケットを欲していたのだ。

俺はめだかちゃんに誤解だと訴えるが、仲良くなるいい機会だ、とかなんとか言って聞き入れてくれない。

『まあ、いいじゃないか。僕だって善吉ちゃんと行くつもりなんてなかったけどね。』

そして肩ポンする球磨川によって、その話は終局したのだ。

俺と球磨川で、遊園地に行くという形で。


「にしてもよー」

てくてくと隣を歩く球磨川につい歩幅を合わせてしまう自分がうらめしい。

「お前、お化け屋敷とか平気なの?」

言い終わって振り返れば、そこには自分のブレザーの裾を掴む球磨川の姿があった。

『いやあ、善吉ちゃんが怖がらない分には大丈夫じゃない?』

奴の額にうっすらと汗が滲んで見えるのは気のせいだろう。…いや気のせいではない。

「冷や汗かいてんぞ。」
『ははは、やだなあ。僕は幽霊なんかは信じない…』

顔を背ける球磨川は妙に焦っている。怖いのか。

「てゆーか、なんでお前お化け屋敷選んだんだ!?」

頼りない先輩

「二名様〜お待たせいたしました。」
『よろしくね善吉ちゃん。』
「いや、俺もこわ…しょーがねえな、ほら。」



絶対澪度。のみゅうちゃんから相互記念で頂いちゃいました!ほんとありがとう!!


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