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「ユウキさん、お待たせしてすみません」
フィールドにはすでに臨戦態勢のユウキさんと昴が待機していた。
「待ちくたびれるかと思った。えっと、3対3で構わない?」
「ええ、よろしくお願いします。ではいきますよ、昴」
おう、と構えた昴に対しユウキさんが出したのはキノコのようなポケモン。キノコだから草タイプだろうかと考える。
「行くよキノココ、しびれごな!」
「火炎放射で相殺!」
黄色い粉と炎がぶつかり爆ぜ上がる。戦いの幕は切って落とされた。



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「ありがとうございました」
「こっちこそありがとう。結鈴さんと勝負できて良かったよ」
結果から言うと負けました。現在は次の街へと向かうユウキさんをお見送りしているところだ。
「じゃあ、元気で。くれぐれも気をつけてね!」
オオスバメさんの背に乗り飛び立った彼は無邪気にも勇ましくあった。
PCで宿もとったし、バトルに出たメンバーは回復中なので後はダイゴさんに連絡をいれるくらいだろうか。余談だがお姉さんは誰も見ていないのをいいことに何食わぬ顔で原型に戻ってボールに帰って行った。一連の行動のはやさに私は何も言えなかった。
よし、と気分を入れ替えてポケナビを取り出す。コール音が三回ほど鳴ったのち数日ぶりの声が聞こえてくる。
『もしもし、結鈴ちゃん?』
「はい、結鈴です。こんばんは、今お時間よろしいでしょうか?」
『ん、大丈夫だよ…どうかしたのかい』
優しく訊ねられ、さっきまでユウキさんとバトルしていた事や初めて負けたこと、キルリアの霊翠とエアームドのお姉さんが新たにメンバーとして加わったことなど、時系列がバラバラで聞き手としては聞きづらかったろうにダイゴさんは根気強く聞いてくれた。
『そっか。じゃあ今はフエンにいるのか…ジム戦はもうしたの?』
「いえ、まだ行っていないです。多分明日にでも行くとは思うんですけど…」
ふふ、と電話の向こうで笑われてしまった。やる気のない私を皆がジムに連行する図でも思い描いたのだろうか。
『ああそうだ。もしフエンのジムを終えて彼らに見つかっていないのであれば一度こっちに帰っておいで。結鈴ちゃんに渡したいものがあるんだ』
「??わかりました。ではそろそろ失礼しますね。おやすみなさい」
『うん、おやすみ』
渡したいものとは何だろうか。まるで心当たりがないなと思いながら回復が終わった昴たちを迎えに行くことにした。

 

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