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「ポケモン、勝負ですか………わかりました。街中はまずいでしょうし、ポケモンセンターでよろしいでしょうか」
考えずとも私と彼らの尺度が違うだけで、彼らにとってはそれが当たり前なのだ。
「うん、じゃあオレ先に行ってフィールド確保してくる!」
じゃあまた後で!と元気に走り去る背中を見送ってため息をついた。
勝手にボールから出てきた昴が嫌なら断ればいいだろ、と冷静に呟いていたけれど。
「だって、勝負を嫌がっているのは私くらいですから」
暖かな風に舞う髪を抑えながら言えばフンと鼻で笑って先を往く相棒。
また呆れられたのだろうか。難しいなあと思いながらPCに私も向かう。
きっとこの世界にいる以上踏ん切りをつけなければならないのだろう。
『ねぇ、結鈴ちゃん。ちょっといい?』
「あら、皐月どうかしました?」
歩きながら、不審に思われない声量で皐月と会話をする。幸いにも人はいない。
『まだ悩んでるんでしょ?だったらさ、見方を変えてみたらどうかな』
見方?ときき返すと少し笑ったような、幼子に諭すような口調でそうだよ。と返ってきた。
『スポーツにはコーチが居るだろう?結鈴ちゃんたちトレーナーは、僕らを指導する係りなんだよ。コーチや監督やトレーナーが殴り合う試合はないからね。つまりそういうこと』
「傷つく事を疎んではいけないと?」
簡単に言えば結鈴ちゃんの気にしすぎってことだよ、とゆるゆる話しながら歩いていると酒瓶を片手に上機嫌で歩いてくる美女と目があった。
「おう、主か。何やら悩んでいるように見えるが何ぞやあったんかえ」
「ああ、お姉さん。お帰りなさい。ちょっと勝負のことで悩んでて…。あ、今から勝負するんですけど、お姉さんはどうなさいますか?」
ふむ、と少し考えてから今回は観戦するというお姉さんとともにフィールドへと向かうことにした。


 

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