14.三歩進んで二歩下がる
49/58

幸せは歩いてこない、だから歩いてゆくんだね。なんて歌が昔はやったわけだけれどPCも歩いて来てくれるわけではない。
降りしきる火山灰の中をずんずん進んでいく。ハジツゲタウンはもうじきの筈なのに行く手を野生のポケモンと血気盛んなトレーナーたちに阻まれ、私はとてもイライラしていた。
「ねえ君!ポケモンバトルしようよ!」
「丁重にお断り申し上げます」
「えっ」

「灰の中からドロロロン!!勝負でござる!」
「ノーサンキューです」
「なんと殺生な!」

『さっきからバトル断ってばっかだね』
「当たり前でしょう、昴と霊翠はヒトガタですし、朋はさっき頭を強打、まともな戦力が皐月だけの今片っ端からバトルを受けていたらいくら強い皐月でも疲れるというものです」
「たしかに私たち今戦力外だもんねぇ」
『ボクは一向に構わないんだけどなー』
「ほんとコレどうやったら元に戻るんだろうな」
「はぁ…困ったものです」
「そうみたいじゃのぉ」
全員で驚いて声の方を向けば露出の高い格好をした銀髪の女性が立っていた。
「何じゃ何じゃ皆でポッポが豆鉄砲くろうた様な顔して」
「嗚呼、いきなり会話に入ってきたものですから驚いてつい」
「中々素直な女の童じゃのぅ」
『ねえ結鈴、めのわらわって何』
「女の子、お嬢ちゃんってところでしょうか」
「ほう…そっちの童はポケモンかえ。話せる上に擬人化とは中々ゆかいな女の童じゃのう」
カッカッカッと愉快そうに笑うお姉さん。それよりも気になるのは昴と霊翠に向かって擬人化、といったところだ。
「あの、擬人化とはなんでしょうか」
「何じゃ、そんなことも知らんのかえ…まあ百聞は一見に如かず。よう見とり」
そう言うなり目の前のお姉さんは光に包まれ、収束した光の中には銀の鳥ポケモンがいた。
『まあ要するにポケモンが人型とったりするって事じゃが…主ら聞いとるかえ?』
「大丈夫です、少し驚きましたが…」




 

  back

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -