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「うう…、ん?…霊翠?」
崩れた足場から逃れるために押し倒された、つまり霊翠は私の上にいるわけで。
けれどものしかかる重みは人間のそれで。ついでに言うと乗っかっているのは翡翠の髪の可愛らしい女の子で。
動こうにも腕をガッチリとホールドされているので動けない。
「…あれ、私ヒトになってる感じ?」
「そうですねぇ」
「ってかいつまで押し倒してんだよ」
ぺしりと翡翠色の頭を叩くのは未だ人型の昴。
何よ羨ましいのんなわけあるかと頭上で言い争う二人に見た目はどうあれ中身はまさしく昴と霊翠であることを確認した。
「あのー…二人共そろそろ退いて頂けませんかね」
「あっ、ゴメンゴメン」
はい、と伸ばされた手を掴んで起き上がる。
「しっかし随分と不思議な事になりましたね…」
服についた砂を払いながら呟く。雨はどうやら通り雨だったようですっかり元の乾燥地帯である。
「私は嬉しいけどな。結鈴ちゃんともこうやって手を繋げるわけだし」
「原因がわかんねぇってのが腑に落ちんがな」
『うう…ん、あれ、何で…ここどこ』
「あ、朋おはようございます」
ようやく目をさました朋は私以上に急展開についていけていないようだ。
ボールから出して体調のチェックをする。
『おはよう…ってその二人だれ』
「見てわかんねえか」
『…まさか昴とか言わないよね』
「残念、そのまさかだ」
にひり、と笑う昴に頬を引きつらせる朋。健康状態に問題はなさそうだ。
『ってことはまさか…』
「霊翠ちゃんでーす」
『嘘だろ…』
『嘘みたいなホントの話なんだなーこれが』
いつもどおりな皐月の声からしてどうやらこの超展開を受け入れているようだ。
「全員体調に問題はありませんか?」
「問題ない」
「絶好調よ!」
『たんこぶが気になるけどね』
『大丈夫だよー』
砂漠ももう少しで抜けれるので戻るより進んだほうが早いだろうと判断する。
「では先へ進みましょうか」

 

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