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ダイゴさんは手元の機械を操作して地図を出してみせた。
「ここが僕らのいるホウエン地方で、こっちがジョウト地方なんだけど」
日本地図のような地形だけれど九州ではなくホウエン、関西ではなくジョウトとダイゴさんは言った。ポケモンといる時点で嗚呼違う世界なんだなあとは思うものの地形がそっくりというのはなかなかに言葉にし難い感情が胸を占める。
「このジョウト地方に渦巻き島という4つの小島があって、そこは海の神様を祀っているとされているんだ」
ピピピッと音を立てながら日本地図で言うところの瀬戸内海の辺りを拡大していくと小島があるのが確認できた。
「その渦巻き島と祖母にどういった関係が?」
「さっき言ったとおり、渦巻き島は神を祀っている。ジョウトの神々には代々神を祀り守る一族が仕えている」
驚きが隠せず、声が震える。
「…まさか、渦巻き島の神に仕えていた一族のものだと?」
「ああ。数十年前、渦巻き島を嵐が襲った。その時守護者が行方不明になり一族は途絶えたらしい」
その行方不明者の名前はウンランさんという。
話し終えたダイゴさんは温くなってしまったコーヒーに口をつけた。
聞けばその神様は海の神様らしく奇しくも海を渡ってきた私にとっては否定材料が少なすぎて。子供の頃祖母が漏らした“若い頃は神様にお仕えしていた”という台詞とも合致して。
いつもなら気にならない沈黙が今日は妙に気まずく、そそくさとあてがわれた部屋に逃げ込んだ。
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