サンドウィッチ




「(寒い…)」


時刻は午前4時前。体を突き刺すような冷気に凍え目を覚ましたルナ。
自分が布団を被ってない事に気付き、寝惚けながら起き上がり布団の在処を探したところ、その布団は共に寝ているルーティが包まっていた。


「るーてぃ…」


呆れながらルーティから布団を奪い取ろうにも彼女はしっかりと己の体に巻き付かせており外すのは困難。
人一倍寒さに弱いルナは困り果て、布団を被るのを諦めて次の行動へ移す。


「(リオン…)」


いそいそとベッドから降り、普段床に布団敷いて寝ているリオンの元へと歩み寄るルナ。
布団の一部が盛り上がってるのを確認出来たところでその布団を剥ぎ取った。


「………」


そこで彼女が目にしたものは背後からスタンに抱き締められ眠っているリオンの姿。心無しか険しい表情をしているような気がする。


「(仲良しさんだ…。いいな、スタン…あったかそう…)」


傍から見れば怪しい光景だがルナは変な目で見ずに微笑ましいものを見るかのような笑みを浮かべる。
ぶるりと体が震え、目的であったリオンの体に寄り添う。ぴったりとくっつき布団を被せ、リオンの腕の中に収まったルナは満足気な表情を浮かべた後すぐさま眠りに就いた。














「―――お前等!!起きろ!!!」


ルナには一発の拳、スタンには蹴り数回お見舞いして強制的に起こしたのは他でもないリオンだ。
無理矢理起こされた彼等は何が起こったのか理解出来ずにいたがリオンが相当怒ってる、いやブチギレてるのには理解出来た。


「ふぁ…、朝か〜…?」
「おはよぉリオン…。何怒ってるの…?」
「お前等なんなんだ!何故僕の布団に潜り込んだ!特にお前だスタン!気色悪い!」
「そんな事言うなよ、傷付くだろ。何故って、寒かったからさ…」
「左に同じくでーす」


朝、寝苦しさに目を覚ましたリオンに飛び込んで来た光景は彼にとって刺激の強い物であった。特に背後からはスタンに抱き締められてると理解出来た時には心情穏やかでなかろう。
同性愛者でない限り同性、それも普段から暑苦しい男に抱き締められていたとは堪ったものではない。
そして腕の中には想い人である少女が隙間無く己の体に引っ付いていたのだから尚更混乱を招く要因となった。


「私が抱っこしてもらう前からリオン、スタンに抱っこされてたよ」
「なっ…」
「床冷たいしベッドはルナとルーティが使ってるだろ?リオン小さいから試しに入ってみたら案外子供体温で心地好か」
「お前は一度死ね」


愛剣を構え、今にも術を放ちそうな雰囲気でいるリオンにルナとスタンは待ったかける。


「リオン落ち着いてー!」
「煩い離せ!大体お前もお前で何故潜り込んできた!ルーティがいるだろう!」
「そのルーティにお布団取られちゃったのー!寒かったのー!」
「だからって男の布団に潜り込む奴があるか!」
「それじゃ俺は退散〜」
「スタン!貴様っ逃げるか!話はまだ終わっ…」
「リオン落ち着いてってば、うわ!」
「なっ!?」



「リオンー、ルナー、起きてー。朝ごは…ん…」


部屋を訪れたピンク色の髪した少女が部屋の扉を開けるなり全ての動作が一瞬固まった。
少女の視線の先にはルナを押し倒しているリオンが、リオンに押し倒されているルナの姿があった。
逃げたスタンを追いかけようとしたリオンの腰に抱き着いたルナがバランスを崩しリオンまで道連れとなり、所謂お約束な展開となったのだ。


「あ、カノンノ。おはよー」


状況を理解出来ずきょとんとしていたルナはカノンノの存在に気付くと呑気に挨拶を交わす。
一方、状況を理解しているリオンはとんでもないタイミングで現れたカノンノにデジャヴを感じながらも青ざめていた。


「お、おはよ…。…し、知らなかった。二人がそこまで進んでいたなんて」
「違…っ、誤解だ!」
「いいよいいよ、皆には黙っとくし上手く誤魔化しとくから」
「だから違うと…!」
「ご…ごゆっくり…」


ゆっくりと扉は無情にも閉められた。


「カノンノ顔赤かったけどどしたのかな?」
「………」

















ルーティはリオンが怒鳴る前にログアウトしました。





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