ハロウィン続




「アニー、ルカー…」
「ルナさん…!?どうしたんですか」


ぐずくずと半べそ状態で医務室に訪れたルナ。
ルナが泣いているのを少し驚いた様子のアニーが小走りで彼女に近付く。
ルカも心配そうに眉を下げてルナに何かあったのか、怪我でもしたのかと問う。


「うっ…うぅ…。り、リオンが突然倒れたの…」
「リオンさんが?」
「何があったの?」
「なんもないと思うの…」
「リオンさんは今どちらに?」
「お部屋。ベッドで寝てる」
「(というかルナ、いつまでその格好なのかな…)」


ハロウィンの衣装として着た猫耳ルックのままな為、目のやり場に困ったルカは直視出来ずにいた。
脳波を読み取って動いているらしい猫耳と長い尻尾は先程から垂れっ放しである。


「兎に角行きましょう、ルカさん。ナナリーさんはもうすぐ戻ってくる筈ですから」
「う、うん」


ぐずっているルナの頭を優しく撫で、アニーは薬や道具の入ったケースを持ち、リオンが寝ているという部屋に向かった。










「倒れた…という割りには顔色いいですよ」
「そうだね。ただ寝てるように見えるけど…」
「えぇ!?本当に突然倒れたんだよ!今までそんな事なかったのに!」
「…ねぇルナ。リオンが倒れる前に何をしてたの?」


もしかして、と一つの可能性が思い浮かんだルカが訊ねる。
なんでそんな事を聞くのとでも言いたそうにルナは首を傾げる。


「んーと、クエストから戻ってきたリオンにお菓子欲しいって言ったの」
「うんうん、それから?」
「えっとね、飴をもらったの。あ、そういえばお礼にほっぺにちゅーってしたら凄く怒られた…」
「あぁー…」
「それですね…」
「え?」


リオンが気絶した理由をわかってしまった2人は遠くを見つめる。
いまいち理解出来てないルナはリオンが気絶してしまった理由を問い掛ける。
その理由を言ってもいいのか、はたまた言ったところで理解してくれるのかと思った2人は苦笑いする。


「大丈夫だよ、そのうち起きると思うから」
「本当?」
「えぇ。疲れてただけですよ、きっと」
「そっかぁ。確かにここんとこリオン働きすぎてたみたいだし」


よし、上手く誤魔化せたみたいとアニーとルカは顔を見合わせる。
納得したルナはリオンの元に寄り、労っているのか頭を撫で回す。


「ルナさんは本当にリオンさんの事が好きなんですね」
「うん、大好き。リオンは知り合ってからずーっと一緒にいてくれたの」


アニーの好きという発言にルナは照れる事もなくさらりと答える。
やはりルナはリオンと違って恋愛感情を持ち合わせていないと知ってアニー達はリオンに同情のような感情を抱く。


「ずっと一緒にいてくれて…。私、リオンがいなかったらきっとこうはならなかったよ」
「…?それってどういう事?」


含みのある言い方にルカは訊ねたが、その時小さな呻き声が聞こえ、リオンの体が揺れた。
目を覚ましたのかと3人はリオンに注目する。


「リオン、リオンっ」
「ルナ…?」
「リオン、起きた?良かった〜!」


体を起こそうとしたリオンにルナは歓喜のあまり抱き付く。
寝起きで状況を把握していないリオンは最初呆然としていたがすぐにカッと顔を朱に染め上げた。


「ルナさん、またリオンさん倒れますよ」
「ん?」
「!!貴様等いつからそこに…!」
「えっと、少し前から…。ルナがリオン倒れたって言ったから様子見に…」


ぎゅうぎゅうに抱き付いてるルナをどうする事も出来ず、それを見られている事に動揺を隠せないリオン。
それを微笑ましく笑顔浮かべて眺めるアニーと羨ましそうな目で眺めるルカ。


「(僕もイリアに……)」


思わず浮かんでしまった妄想に意識を呼び戻されふるふると頭を振る。


「いいから離れろ!暑苦しい!」
「えー!ぶー」


無理矢理引き剥がし、距離を取れば不服なのか頬を膨らましながら不満の声が上がる。
そんな2人にアニーが間に入り宥める。
ある程度落ち着いたところでアニーとルカは部屋から出ていった。










「trick or treat!」
「おやおや、可愛らしい猫ですねぇ。はいどうぞ。ここに置いときますから」
「ジェイドさんありがとう!」
「(旦那が素直に菓子あげてるとかなんか怖いな…)」
「ガイ?何か」
「イイエナニモ。ほらルナ、俺も此処に置いとくから」
「わーい!ガイもありがとう!」



「trick or treat!」
「これは俺のだ」
「!!(ガーン)」
「ユーリ!そんな大人気ない事言うんじゃない!ほらルナ、僕のあげるから」
「……(シャー!)」
「…参ったな」



「trick or treat!」
「…アンジュ、頼む」
「はい。どうぞ、ルナ。私からも」
「リカルドさん、アンジュ、ありがとう!」
「あら、ルナもハロウィンに参加していたの?」
「リフィル先生」
「さっきジーニアス達も来てたわ。どうぞ」
「何も言ってないのにくれた!ありがとうございます!」
「私特製のクッキーなの。是非感想聞かせてね」
「…ワカリマシタ(ガタガタ)」
「…医務室に薬貰ってくる」
「お願いします、リカルドさん。ついでに他の子達の分も」



「trick or treat!」
「「悪戯で」」
「…え?」
「ほらほらルナちゃん。おっさんお菓子持ってないから悪戯しちゃっていいわよ〜?」
「俺様も持ってないんでー、ルナちゃんから悪戯されるしかないんだよね〜」
「え、えと…あの…」
「さぁさぁ存分にしちゃって?」
「ルナちゃんからの悪戯なら大歓迎〜」
「う、うぅ…」
「それか俺様達がお手本として悪戯してあげても…」
「うわぁーん!!リオーン!」



「貴様等、覚悟はいいか」
「ちょちょちょちょい待ち、落ち着いて少年」
「俺達何も間違っていないぜ?菓子持ってないから悪戯していいって言っただけで」
「ほぅ?なら僕がコイツの代わりにしてやる」
「野郎に悪戯される趣味持ち合わせてねーんだけど」
「それに少年の場合悪戯だなんて可愛らしいもので済みそうにないし」
「今にも殺りそうな目だしな。やっぱルナちゃんから可愛く悪戯…」
「わぁーん!!なんか怖いよー!」
「貴様等の性癖なぞ知った事か!コイツに強要するな!」



「大丈夫か、ルナ」
「うん…、少し怖かったけど…。ねぇリオン」
「なんだ」
「セイヘキって何?」
「………」
「?」
「……知らない方がいい」
「何それー!ケチー!リオンが言ってたんじゃないー!」

















ラスト台詞に逃げた。



|



back top



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -