(現パロでキッドさん×白黒兎ローさんの3Pやおい話)
(ローさん×ローさんな描写がありますのでご注意ください)




見慣れた扉を開けた先の見慣れたはずの部屋は、しかしどうにも不穏な気配に満たされていた。
奥から聞こえる微かな途切れがちの声と、どこか熱を持って浮ついた空気を察知して、キッドは呆れたような溜息をひとつ吐く。またか、と言いたげな表情だった。仕事帰りのいささかくたびれた腕から重い鞄をすべり落とし、ネクタイを緩めながら、外で食事を済ませてこなかったことに後悔半分、安堵半分を覚える。時計は十時を回っていて、すでに空腹を持て余していたが、この分だと夕飯にありつけるのはまだ先のことだろう。同時に、もしのんきにどこかで食事をしていたら、目指す先の部屋でどんな事態が起こっていたかと考えると、まっすぐ家路に着いた自分を褒めてやりたい気がした。
まったく、おちおち留守にもできやしない。
心中でぼやいて見遣った寝室は薄くドアが開いており、衣擦れの音と、甘い吐息を混ぜたあられもない声が漏れ聞こえている。スーツの上着をソファに放ったところで、皺になるかもしれないと懸念が過ぎったが、拾い上げるのも億劫でそのまま寝室へと踏み込んだ。
ガチン、とドアがストッパーに噛まれる音に、ベッドに沈んでいた人影がこちらを振り向く。

「…お前ら、またか」

「……」

「…ユ、スタス屋…?おかえり…」

鏡合わせのようだと、初めて見た者なら誰しも感嘆しただろう。
細身の男が、まるきり同じ顔をしたもう一人を組み敷いていた。一種異様なその光景のもうひとつの違和感は、二人の頭に揃いの長い耳が生えていることだろうか。片方はヴェルベットのような艶やかな黒い毛並み、もう片方は対照的に綿菓子の甘やかな白さを持っている。所謂うさぎ、と呼ぶにはいささか全身を覆うはずの毛皮が足りていなかったが、ともかく二人、もとい二匹は、キッドに飼われているペットだった。
それがどういうわけか、白いうさぎは服を全て剥ぎ取られ、大きく広げさせられた脚の間を片割れに弄られながら、上気した顔と潤んだ瞳で今にも達してしまいそうに身を震わせている真っ最中だった。大抵はキッドが帰るなり餌をねだりに飛んでくるはずの二匹の姿がなかった時点で、大方こんなことだろうと予想はしていたのだが。
「ゆ、すたす屋ぁ…」鼻に抜ける甘えた声で、宙を掻くように頼りなく伸ばされた手を取ろうと一歩近づいた途端、不機嫌そうにこっちを睨んでいた黒うさぎが「邪魔すんな!」とキッドを一喝した。

「なんでこれからって時に帰ってくんだよ!出てけよ!」

「トラファルガー……俺が留守の間はいい子にしてろって教えただろ。なんで言うことが聞けねえんだ、お前は」

「命令すんな!何しようと俺の勝手だろ!」

「ご主人様に向かってその言い草はねえだろ」

今にも噛み付いてきそうな剣幕を気にも留めず、ふわふわと手触りのいい黒い耳に手を伸ばして根元から撫で上げてやれば、頑なな態度とは裏腹にぶるりと身を震わせて目許がわずかに赤く染まる。耳の付け根をゆるく掻かれるのが大好きな双子のうさぎは、どんなに聞き分けのないときでもキッドにこうされると大人しくなるのが常だった。もっとも、無闇な駄々を捏ねるのはもっぱらこの黒うさぎと相場が決まっていた。
ベッドに腰を下ろし、いまだ弾むように息を乱している白うさぎを覗き込むと、涙の滲んだ目を細めながら、見せ付けるように剥き出しの下肢をくねらせている。言葉より雄弁にねだるその仕草に笑って、むくれている双子の片割れの手を取り、張り詰めてとろとろと体液を零しているそこを握らせた。

「ほら、続けたかったんだろ?見てるからやれよ」

「…ッ、趣味悪いぞ…!出てくか、風呂でも入ってろよ!」

「気にすんなよ。早くしろって、ローが可哀想じゃねえか」

キッドの言葉にかぶせるように、だらしなく開かれていたローの脚が絡みつき、「早く、」と焦れきった声が促す。「ロー、早く…も、出る、から」腰を揺らめかせて、掌に包まれた性器に刺激を欲しがる白うさぎは、自分とそっくり同じ名前で片割れを呼んでいた。たちまち、そこにいるキッドのことなど忘れてしまったのだろう。黒うさぎが覆いかぶさって唇を重ねたのを合図に、再びその場の空気が重く、甘ったるく、熱と湿り気を孕んだものに変わった。
毛色だけが違う、同じ外見と同じ名を持つ双子を、キッド自身は区別するために黒うさぎを「トラファルガー」、白うさぎを「ロー」と呼んでいる。けれど昔から、双子が互いを呼ぶときはどちらも「ロー」だった。同じ名を口にしながら、唇の境界を溶かそうとするかのようにキスを繰り返し、熱い吐息を零して身を擦り合わせている。腹に挟まれた性器を弄っていた手がいつの間にか下へと潜り込み、ぐちぐちと音を立ててローの奥まった場所を掻き回し始めた。三本の指をあっさりと呑み込み、さほど苦しげでもない様子から、キッドが帰る前から充分すぎるほどに慣らされていたのだろうと容易に想像がつく。絶えず伝い落ちる体液を吸って、毛足の長い尾がぐっしょりと濡れそぼっている。毎度のことながらひどく倒錯的な光景だと思った。
ひくひくと物足りなさげに収縮している潤みきった肉を見つめて切なげな溜息を吐いたトラファルガーが、抱え上げたローの脚に頬を寄せ、「…挿れてもいい?」と切羽詰った懇願を口にする。聞こえているのかいないのか、太腿の内側をやわく噛まれ、垂れた耳の先までびくびく震わせながら、ローは濡れた視線を宙に彷徨わせて小さく喘ぐばかりだ。トラファルガーよりも幾分白い肌にすっかり血が上っていて、ともすれば白い毛に覆われた耳と尾までが桜色に染まっているのではないかと錯覚させた。

「トラファルガー」

長らく黙って目の前の光景を楽しんでいたキッドが発した声に、ようやくその存在を思い出したかのように二対の視線が向けられる。呼ばれた黒うさぎが訝しげな表情をするのに構わず、ちょいちょいと指先で手招きすれば、思いのほか素直に身を乗り出してきた。

「…なんだよ」

「内緒話?良いこと教えてやるからこっちおいで」

「…今それどころじゃ、」

「あ、」とローが上げたごくごく小さな声がくっきりと聞こえた。
焦点が合わないほど近い位置で灰がかった青い色が瞬く。呆気に取られたように開かれた唇の隙間に舌を捻じ込み、口内を蹂躙され始めてようやく、キッドに口付けられていることを認識したらしいトラファルガーが暴れ出しそうな素振りを見せた。んん、と抗議するような声が漏れたが、歯の付け根から喉に続いていくつるりとした粘膜を幾度もなぞるうちに、押しのけようとしていた両手がいつの間にか縋るものに変わっていった。パーカーの裾をめくり、うっすら汗ばんだ背筋を指先で辿ってやれば、びくりと震えて引けた腰が組み敷いていたローに擦り付けられる具合になり、刺激に息を乱したローの手がシーツに波を作る。
膝に力が入らず不安定なトラファルガーの身体は、軽く押しただけで簡単に崩すことができた。そのくせ、いいこにしてろ、と唾液に濡れた薄い唇を舐めてやっても、まだ気丈な眼でこちらを睨みつけてくる。かわいいものだと苦笑い、中途半端に放り出されていたローを引き寄せた。

「な、にすんだよ…!返せよ!」

「駄目だ。触りっこくらいなら大目に見てやるけどな、突っ込む気満々だったじゃねえか。ローが嫌がってんだろ」

「んなわけねえだろ!」

「俺にやられる方がいいよなぁ?」

きょとんとしているローの頬に手を伸ばせば、うっとりと目を細めて掌に擦り寄ってくる。さんざん食まれて少し腫れぼったい唇に口付けながら、脚の付け根までを濡らした体液を塗り広げるように撫でまわした。トラファルガーとは打って変わって、軽く唇を合わせているだけのキッドの口内のあたたかさを求め、ローが必死で舌を含ませようとしてくる。うさぎと言うよりはまるで犬のようにだらしなく開いた口元をべたべたに汚し、はっ、はっ、と荒い呼吸に合わせて腰が揺らめいていた。擦り付けられる性器に這わせていただけの掌をぎゅっと握りこんでやると、大きく背がしなり、恥ずかしげもない嬌声が上がる。

「ユ、スタス、屋」

「どうした?」

「も…はやく欲し…っ、いれろってば、ぁ…!」

「トラファルガーが怒るんじゃねえの?」

「…だって、ローが…!俺もする…って、いったのに…後ろばっかいじるから、もう…」

どっちもどっちだ。微かな疲労と脱力感を溜息に交えて吐き出し、つま先の丸まったローの脚を胸に付くほどに折り曲げた。
性器から糸を引く体液で腹を汚し、されるがままに浮かせた腰を不安定に揺らめかせて、はやく、はやく、とローが急かす。赤く潤んで熱を持った後孔にぴたりと身を寄せると、やわらかな肉が絡み付いてねだってくる。はやく、もっと奥の奥に、お願いだからこのまま一思いに、はやく。ぐったりと投げ出された長い耳の先が細かく震えている。ローの鼻に抜ける涙声と、突き放されたまま固まっていたトラファルガーの小さく息を呑む音が混じりあった。

「あ、あ、ぁあっ…ん、ふぁ、あ…っ…!、きっど、ぉ…!」

「っ…痛ぇか?」

「いた、い…けど、いたく、な…きもちい、から…痛、ぁ…っキッド、キッド…ッ」

「ひっでえ顔」

焦点のほやけた瞳で、弛緩しきった唇で、壊れてしまったようにキッドを呼ぶローの頭を撫でてやる。汗で額に貼りついた髪をかき上げ、耳の付け根をそっと揉み解した。強張った身体がわずかに緩んだ隙を突いて、きつい肉を掻き分けて繋がった部分を揺すってやると、中空の一点に目を見張って全身がガクガクと痙攣を起こす。弓なりにしなった背中はもはやシーツに落ちることもなく、その隙間に手を差し込んで抱き上げれば難なく上体が浮いた。体重の全てが結合部に掛かったローの喉から、薄い上等の布地を裂いた余韻のような、音にならない高い悲鳴が響き渡った。

「ロー…!」

「―――ッ、ひ、ぅ…っ、ふ、」

「無茶すんじゃねえよ馬鹿!さっさと離せ…!」

片割れへの無体に堪りかねたトラファルガーの罵声を聞き流し、奪い返そうと伸ばされた腕を束ねて引きずり倒す。バランスを崩し、胸元に収めたローの身体にしがみ付くように倒れこんだ黒うさぎもまとめて抱き込んだ。

「トラファルガー」

「…っ、」

「意地張ってねえで、お前もこっちおいで」

「ぅ、やだ…っ、ローは俺の、なのに…!」

「どっちも俺のもんだよ。ほら、一緒によくしてやるから、こうやっていい子にしてろ」

ローを抱え上げて食い締められた性器を引き抜くたび、ぐちゅ、と鼓膜にまとわりつく濡れた音は、トラファルガーにとってはずいぶんと甘い毒なのだろう。ゆるゆると頭を振りながら涙声で気持ちがいいと繰り返すローの姿を見るまいとして、そのくせ視線を剥がすことができていない。痴態と嬌声に呼応して上がっていく腕の中の体温が心地よかった。しおれてしまった黒い耳の先をそっと噛み、魔法のような言葉を囁いてやる。

「ローが、お前も一緒じゃねえといやだって」

キッドの首に縋りつき、小さく腰を揺すって快感を貪っていたローが、水の膜を張った瞳をトラファルガーに向けた。「…ロー」と小さな蕩けきった声は双子のどちらが発したものか、キッドにももうよく分からなかった。
泣き出しそうに見えるくらい切なげに眉を顰め、そっくり同じ形をした唇が重なる。キッドの肩を掴んでいた手が離れ、互いの指を絡ませながら、いかにもあたたかそうな唾液の音を響かせている。力が入らず凭れ掛かることしかできないローと、それを受け止めきれないトラファルガーが、もつれるようにシーツの上に崩れ落ちた。きつく銜え込んでいたキッドの性器がずぶずぶと抜ける感覚に目を見開いたローの悲鳴は、飲み込まれたまま外に零れる事はなかった。

「ロー…」

「…っ、う…へいき、まだ、」

「…ローってば、俺が、」

「ん、んー…だめ……お前もぬいで」

「…だ、め、見るなぁ…」

「さわってやる…から……耳も、いっぱい噛んでやるな…?」

張り詰めて布地の持ち上がったジーンズを、震えるローの指が引き下ろそうとする。羞恥からか、嫌がって腰を浮かそうとしないトラファルガーを宥めるように黒い耳を甘噛みし、一方では自分自身も我慢が利かないのか、跨った太腿に腰を擦り付けていた。みるみるうちに濡れて汚されていく感触に煽られ、トラファルガーが追い詰められたように喘ぐ。敏感な性器を硬い布でいたぶりながら、痛い、とローが小さく懇願を口にした。「痛いから、も…早く脱げって…」寄越される身勝手な言い分に反論するでもなく、黒うさぎは泣きそうな顔でそろそろと着衣を緩めた。
下着ごと下ろされたジーンズをもどかしそうに放り捨てて、ローがトラファルガーの身体を反転させる。後ろから抱え込むように両脚を大きく広げて固定し、キッドの眼前に何もかも晒す体勢をとらされても、観念したのか、それとも期待が勝っているのか、微かにぐずるような声を上げるだけで、抵抗と呼べるほどの抵抗はない。
従順になった半身が愛しくてたまらないといった表情で、ローは力なく垂れた黒い耳に頬を寄せて何事かを囁いている。体液にまみれて光っている下生えから、ろくに触れもしないのに勃ちあがった熱まで、そろそろとローの指がなぞっていく。先走りを絡めた指先で、まだ固く閉じている後孔を円を描くようにほぐそうとする一部始終を、目の保養だか毒なのか、どちらつかずの気分でキッドは眺めていた。

「ん…ユースタス屋…、ローにも」

「お前はもういいのか?」

「…がまん、する……後でいいから早く…」

褐色の頬が上気している。火照った肌を撫でて、何か言いたげにわななく薄い唇を舐めた。
ゆっくりと先端を含ませていくと、潤んだ青い瞳がみるみる涙に沈んでいく。あまり慣らされていなかった分、ローのそこよりも一層狭い。みちみちと裂けてしまいそうな抵抗感と食い千切られそうな締め付けに、キッドの額に汗が浮いた。歯を食いしばってぶるぶる震えているトラファルガーは、苦しがっているようにしか見えないのに、勃ちあがった中心は萎えることを知らない。押し殺した喘ぎには微かに濁音が混じり、嗜虐心を煽られるようで腹の底が熱くなっていく。狭い孔は、それでももう半分あまりを飲み込んでいる。
震える耳をときおり噛みながら黙って見守っていたローが、腕を伸ばして真赤に腫れている性器に触れた。先端に爪を立て、キッドから見ても分かるくらい強く揉みしだかれ、トラファルガーが声もなく硬直する。はくはくと口が開き、一拍遅れて悲痛な声が上がった。搾り出すような悲鳴にも構わず、ローは薄い胸に手を這わせて突起をつねり、びくびくとのたうつ熱を弄る手を止めようとしない。嬌声とともに息を吐き切った一瞬の隙を突いて、キッドは残りの半分を力任せに捻じ込んだ。
押し込まれた熱が留まりきらずにそのまま出口から噴き出すように、びしゃびしゃと腹を白濁が濡らしていく。それを最後の一滴まで扱き出そうとするローの手は、苦痛でしかないだろう。

「ロー…ロー、気持ちい…?ちゃんと全部入ったからもう平気だ」

「…っ、ひっ…ぅ…ロー…っ、苦、し…」

「うん、でもいっぱい出たな…ユースタス屋にこうされるの、好きだもんな」

「ぅ、う……ちがっ…だって、ッ…!」

「言っちまえばいいのに、もっとしてって…ユースタス屋、喜ぶぞ?」

緩慢になった思考と脈打つ熱が、頑なともいえる理性を崩してしまっている。
結合部にそっと触れて甘く囁くローに触発されたか、それとも手荒くしたくせに動こうとしないキッドに焦れたのか、ゆらゆらと視線を泳がせてトラファルガーが繋がった下肢をそっと揺すった。薄っぺらい腹に溜まっていた精液が褐色の肌を伝い落ちる。「…もっ、と…足りな…っ…」ほとんど吐息に近い小さな小さな懇願は、それでもちゃんとキッドの耳に届いた。
ふかふかと手触りのいい尻尾を強く握れば入り口が一際締まり、腸壁がやわらかく絡みついてくる。「途中でもう嫌っつっても聞かねえからな」と自分でも底意地の悪いと分かる笑みに、普段なら生意気に噛み付いてくる聞き分けのなさも、今はすっかりなりを潜めている。期待の篭った熱っぽい溜息が零れるばかりだ。
物足りなさと物欲しさの混じった目で二人を眺めながら、ローは口寂しいのを紛らわすようにトラファルガーの耳の先端を噛み続けている。唾液まみれになって震えている黒い毛並みに飽きもせず歯を立てる白うさぎを、お前もあとでたくさんしてやるから、とひとつ撫でて、腰に絡みつく脚を抱え上げた。

「ユ…スタ、屋ぁ、あ、あ…だっ、め…っ…!…あ、あたま…ッおかしく、な、るっ…!だめ、ほんと、ユ、スタ…!」

「ははっ…お前そんなんでよくローに突っ込む気になれるなぁ…挿れてくれってねだるならまだしも」

「ぁ、ふっ…だ、って、ローが、だいすきって…っ、おれも、すきっ…ん…んぁ、あ―――ッ…!」

「知ってるよ。かわいいな、お前らどっちも…なぁ、俺のことは?」

「…好、き…ッふ……っ…ユ、スタ、だいすき、だから、ぁ…」

かわいいな、と繰り返して顎の下を擽ってやれば、嬉しそうにふわふわとした笑みを浮かべて擦り寄ってきた。めったに見られない、素直に甘える姿。普段あまりおおっぴらに懐いてくれない分、心臓に熱がともるような愛しさがこみ上げてどうしようもなくなった。
閉じることもできなくなっている唇に齧りつこうとして、しかし、重なる寸前で伸びてきた手に些か乱暴に押しのけられた。
ローがむくれた顔でキッドを睨みつけながら、見せつけるようにトラファルガーの唇を甘噛んで口付ける。大目に見てやっていたけれど、本当はこの片割れにキスしていいのは自分だけなんだと、そう言わんばかりに。トラファルガーの下肢は今も貪欲にキッドにむしゃぶりついていて、それを咎めるでもないくせに。
やれやれと頭を振って、キッドは幾度となく口にしてきた台詞をまた繰り返すしかないのだ。

「…お前ら、ほんとに仲良いな」


Oh! Be A Fine Girl, Kiss Me Right Now, Sweetheart!