(クリスマスにかこつけた生クリーム剃毛プレイ)
(だらだら長い+食べ物系+ローさん受難という三重苦)
(ないわ…!と思ったら無理せず引き返してください)





バタン、と扉が閉まる音で目が覚めた。
いつの間にかうとうとしていたらしく、重たい瞼を擦って明るい室内に顔をしかめる。中途半端な眠気を残す頭を振っていると、キッドが苦笑しながら背中を抱えて起こしてくれた。眠そうだなぁ、とからかうような声に誰のせいだとローは恨めしく思ったが、ひりひり痛む喉では音を出すことが億劫だった。
少し前に、喉が渇いたと訴えたローの頭をひとつ撫でて飲み物を取りに行ったはずのキッドは、グラスのほかにも何やら色々載せた盆を枕元に置いた。銀色のボウルに半分ほど入ったホイップクリームとガラスの器に山盛りの苺、それから水を満たしたグラスが二つ。

「…なんだそれ、どこから持ってきたんだよ」

「キッチン。ケーキ用のが余ったって言うから貰ってきた」

すでにヘタが取られている苺を摘んで差し出され、水分を欲していたローは素直に口を開けた。
咀嚼すれば甘い果汁が喉をすべり落ち、ほっと息をつくとすぐに二つ目を差し出される。今度はクリームをたっぷりまとっていて、甘い物があまり得意ではないローは少し躊躇したが、キッドが無言でじっと待っているのに負けて赤と白の塊にかぶりついた。「疲れてんなら甘いもんだろ」とキッドは三つ目の苺でクリームを掬っているが、覚悟はしていてもやはり甘すぎる。
喉が渇いているのにベタベタした甘ったるい脂はどうにも不快で、ローは懲りずに差し出される苺を拒んでグラスを指差した。

「もういらねえの?」

「先に水。あと俺はお前と違って甘党じゃねえんだよ、苺だけ寄越せ」

鈍痛の残る腰で座っているのが辛くて、渡されるグラスを他所にずるずるとシーツの海に沈みながらキッドに眼で訴える。すぐに察して、ひとくち水を煽って濡れた唇が重ねられた。甲斐甲斐しいというのか、情事の後ではやたらとローを甘やかす男だった。後頭部に添えられた手で噎せないように少し頭を持ち上げられ、ぴったりと重ねられた唇から冷たい水が入り込んでくる。もうひとくち、とねだるままに何度でも、親鳥が雛にするように世話を焼かれて、癒されていく渇きと共に眠ってしまいそうだった。
だから手首に纏わり付く違和感にも気付くのが遅れた。

「……ユースタス屋。何のつもりだとか聞かねえから今すぐほどけ。俺はもう寝る。なにがなんでも寝る」

「相変わらず体力ねえなぁ」

「好き勝手してどの口がほざきやがる…てめぇの頭の中身はチューリップ畑と性欲か?」

ほんの僅かの隙をついて、キッドはローが逃げられないように転がっていたシャンパンのボトルに飾り付けてあったリボンで両手首を拘束し、ベッドの縁にしっかりと括りつけた。上等のサテンは見た目より随分頑丈で、固く結んでしまえばローが少々暴れた所でびくともしない。

「どうしても眠いならそのまま寝てろ。勝手に遊ぶから」

ボウルから生クリームを掬ってローの剥き出しの胸元にべったり塗りつけると、火照りを残した肌には冷たかったのか息を呑んで身を捩った。すぐに溶け出していくクリームを塗り広げ、ぬめる指で赤く腫れた突起を撫でると鼻に抜けるような声が漏れる。

「…何がしてえんだよ…今更そんなもん使ってまた前戯から始める気か?」

「それも悪くねえけどな、お前絶対途中で寝るだろ」

「むしろ今すぐ寝たい…ほんとに勘弁しろよ」

眠気に勝てずにぐずるローに構わず、キッドは胸元を汚すクリームを少しだけ舐めて何か考え込んだあと、不意に立ち上がってベッドを後にした。
バスルームに入っていく後ろ姿をぼんやり見送り、今のうちに眠ってしまおうかと思ったのにほんの数秒でキッドは戻ってきてしまう。大股でベッドに歩み寄り、拘束されたまま身動きの取れないローにキスをひとつ。
その手に握られたものに気付き、ローは軽く目を見開いた。

「ユ、スタス屋…?」

「そういえばクリスマスプレゼント持ってきてくれねえなぁと思って」

「は…?誰が?」

「サンタクロース」

聞き間違いだろうか。とんでもなく似つかわしくない言葉が聞こえた気がする。クリスマスプレゼントにサンタクロース?そもそもこの男はサンタクロースが何なのか正しく知っているのだろうか、とローは胡乱な眼を向けながら現実逃避気味に考える。それにしても本当に眠い。

「あのな、ユースタス屋…サンタってあれだぞ、子供にプレゼントくれるだけの良い人だぞ?お前が何に憧れてんのか知らねえけど、赤いのは歴戦の返り血とかそんなことねえと思うぞ?あと良い子のトコにしか来ねえんだぞ?」

「お前ほんっとムカつくな」

「じゃあイイ子だからこのまま俺を寝かせやがれ」

ギシギシ鳴る腕も、汗やら精液やら油分でどろどろの気持ち悪い身体も我慢して、無理やり身体を捩ってキッドに背を向け目を閉じたが、すぐさま肩を掴まれて仰向けに戻される。
何なんだよ、と呟く自分の声さえどこか遠くて、瞼を半分持ち上げるのも億劫だった。眠たさのあまり一点を見ていることが難しく、頼りなく揺れる視界の隅でキッドがボウルを引き寄せる。指先どころか掌全体にたっぷりクリームを掬い取り、それをあろう事かローの下肢に擦り付けた。
下腹から萎えた性器まで冷たいふわふわしたクリームに埋もれ、さすがに予想外だったローが眠気も忘れてパッチリと目を見開いたまま固まった。

「じっとしてろよ」

「え……ちょっと、待て…おまえ、なに、」

「サンタはガキの所にしか来てくれねえだろ?」

クリームにまみれた陰毛を弄りながら、キッドは笑いを噛み殺して口調だけは至極真面目に嘯いた。その手に握られた剃刀と澄ました顔を交互に眺め、言わんとする意味を悟ってローの眼が大きく瞠られる。わななく唇が数拍置いて罵声を吐き出した。

「やっ…ふ、ざけんな!なに考えてんだ!!やめろ!離せって、ユースタス屋…!」

「暴れんなって。どうなっても知らねえぞ」

「冗談じゃねえ…!そんなことしてみろマジでぶっ殺してやる、変態野郎が!!」

必死に喚くローの言葉はあっさり無視され、下腹に剃刀の刃が触れる。ひっ、と思わず息を詰めたローの瞳を覗き込んで口角を吊り上げ、臍の下に置かれていた刃が真っ白いクリームを削りながらゆっくりと滑った。
暴れたいのはやまやまだったが、性器に向かって刃物が進んでいく本能的な恐怖と、今まさに目の前で行われている信じがたい現実に、ローは固まったまま言葉もなく震えることしかできなかった。なめらかな動きが僅かに引っかかる感覚と、サリ、と体毛の削がれる微かな音を拾って堪らず叫び出したくなる。
憎たらしいほど躊躇いのない手付きでクリームの塊ごと陰毛の一部を削ぎ落とされ、本来そこには有り得ない剥き出しの肌が現れて、あまりの仕打ちにローの目尻に涙が滲んだ。

「ッ…ユ、スタ…」

「はっ…お前なんて顔してんだよ。興奮した?」

「なわけあるか…!ホントにやめろって、洒落にならね…」

「説得力ねえよ」

否定の言葉ばかり吐くローに焦れたのか、ぬめるクリームの助けを借りてキッドの指がさしたる抵抗もなく胎内に潜り込んできた。さんざん酷使されてまだ柔らかい入り口を二本の指で抉じ開けるように広げられ、中に吐き出されたまま残っていたものがどろりと零れ落ちてくるのが感覚で分かってしまう。掻き出されるならまだしも、重力と腸壁の動きに従って精液が押し出され、まるで強制的に排泄させられているかのようなこの行為がローはたまらなく嫌いだった。本当はいつもの後始末だってキッドにはさせたくないのだ。キッドはちゃんとローの羞恥を理解していて、だからこそ更に煽るような真似をしたがるのだから質が悪い。
どれほど中に注がれていたのか、どろどろと際限なく溢れてくる白濁と、体温で溶けて肌の上を滑り落ちるクリームが混じり合っていく。それをキッドが一緒くたに掬ってまたローの中に戻してしまう。ぐちゃぐちゃと指が出入りし、零しては押し込まれ、収縮しようとする孔を広げれば溢れ出し、そんなことばかり繰り返されて頭の中までが白く濁っていく。

「トラファルガー、気持ちいいのか?」

「ふっ…う、ぁ…知ら、ねぇ…!」

「油だしな、いつもよりぬるぬるしてんだろ。ほらここ、一気に奥まで届く」

抜け出るギリギリの位置にあった指が、ぐちゅっと音を立てて一瞬で根元まで押し込まれる。そのまま手首ごと回転させながら腸壁を揉み潰すように蠢き、文字通り腹の中を掻き回される感覚に鳥肌が立って、背筋が弓なりにしなった。奥歯が上手く噛み合わずにカチカチと音が鳴る。
強張った両脚を押し開かれて隠すもののない下肢がキッドの眼前に晒され、しかし羞恥を覚える間もなく深いところで前立腺を擦られた。指先でそっとしこりを撫でられ、次の瞬間にはぐりぐりと力を込めて潰される。ローが声にならない悲鳴を上げるとまたやわらかな動きに戻るのだ。
不規則にこれをやられるより、実のところ一定のリズムで繰り返される方が弱かった。いつもいつも乱暴にがっつかれるから、今ではもう優しく奥をさすられる位ではこの身体はどうにもならない。ぬるま湯のような快感を数えて、来る、と思った瞬間に強くされて、それでも巧妙に加減されてるものだからあと一歩が足りなかった。心の準備もなく深く抉ってくれれば、あっという間に昇り詰めるのに。

「なぁ、続きしていいか?」

「ん…ぅ、して、もっとそこ…っ、全然足りね、から…」

「そうじゃなくて、こっち」

爪で中を引っ掻かれて電流が走ったような感覚にビクンと痙攣したローを尻目に、シーツの上に転がっていた剃刀を再び手に取った。両腕を拘束していたリボンを切断して投げ捨てる。
ようやく自由になった腕で、しかし逃げを打つでもなくローが最初にしたのは、キッドにしがみついて懇願することだった。

「ユ、スタス屋…も、入れろ馬鹿ぁ…!もうつかれた、のに…!」

放っておいたら自分で足を広げて掻き回しそうなローを抱き寄せて、手首に残る鬱血に何度も口付けた。すり切れる一歩手前の皮膚すら今はどうでもいいのか、もどかしそうな苛立った声で催促が繰り返される。あんなに眠たいと嫌がってたくせに。
零れ続けている先走りですっかりクリームが流れてしまったそこに新たに塗りつけて、キッドは断りもなくどろどろの性器を口内に導いた。ローはこれにひどく弱い。驚いて起き上がろうとした上体をシーツに押し付け、両足を抱え上げてやや腰を浮かせる。自分からキッドにするのは一向に平気なくせに、されるのが駄目なのだ。三億を越える男に膝を折らせ一方的に奉仕させるという状況は、征服欲を通り越してローの中の被虐的な部分を刺激するらしかった。俺にこんなことさせたのお前くらいだよ、ひっでえなぁ、人は跪かせて自分だけ善がりやがって。初めてしてやったときにあんまり嫌がるのが可愛くて、そんなふうに散々詰ったのが拍車をかけているのかもしれない。
大きく口を開けて食いつき、見せ付けるように唇でしごきながら、深く呑み込むときに先端に犬歯を押し当てるとローの腰が跳ねた。添えた舌で浮いた血管を擦り、ドクドクと脈打つ血の流れを止めるように押し潰して同時に強く吸い付いてやると呆気なく堕ちるのを知っていた。びゅく、と少量の体液が口内で弾けたが、根元を押さえつけて無理やり中断させる。真っ赤な顔で、呂律の回らない舌で、必死にキッドの名を呼ぶローの髪を撫でてやった。

「続き、させてくれたらイかせてやるよ」

先端に唇を触れさせたまま、中途半端に削ぎ落とされているクリーム塗れの陰毛をそっと引っぱって囁けば、ローはもう躊躇いも何もなくこくこく頷いて赤い髪に指を絡めた。はやく、何でもいいからはやく。うわごとのように繰り返し、キッドの唇を割って腫れた性器を捻じ込もうとする。すっかり正気を失くした様子に苦笑して「人をホール扱いしてんじゃねえよ」と小振りの尻を引っぱたいた。

「まだ出すなよ?動いて傷付いても知らねえぞ」

「…ふっ、ぅ…も、やだ…ッ」

「よく言うぜ、こんだけガチガチにしてるくせにな」

溶けた油でてらてら光っている下肢に薄い刃をそっと滑らせていく。剃り落とされた短い毛の混じるクリームがボタボタとシーツを汚し、同時に面積を増していくローのなめらかな皮膚を傷つけないように、角度を変えながら慎重に剃刀を使った。
あらかじめの説得が功を奏したのか、拭いきれない羞恥に涙を零しながらも最早抵抗らしい抵抗はない。それでも時折ぐずるものだから、その度に空いている片手で後孔をゆるゆると弄ってやる。ごく浅い場所だけ、とっくに潤みきった入り口を限界までとろかすように抜き差しを繰り返した。途端に眉尻を下げて泣きそうな表情で熱い溜息をつくのだから、こうして欲しくてわざと駄々をこねているんじゃないかと思うほどだ。
両手が塞がってるからと、勝手に震えてしまう性器をロー自身に押さえさせ、根元に掠めそうなほど近くに刃を通していく。動くなよ、ともう一度念を押すと、ぐしゃぐしゃの顔をしてるくせに目を逸らすことも出来ないローが緊張して太腿に力を入れるのが分かった。嫌がっていたはずの光景すら今は刺激になるのか、自身に絡めている指がそろりと動くのを眼だけで咎める。

「本当こういうことされるの好きだな、普通にヤってるより良さそうな顔しやがって」

「…違…っ、そんなん、じゃ…」

「でも気持ちいいんだろ?いつも指じゃ足りねえとか喚くくせに…剃られながらここ弄られるのそんなに興奮すんのか」

蔑むように詰られてぼろぼろ泣きながら、とうとう我慢できなくなったのか自分で中心を弄り始めたローの手を払いのけた。後ろに入れたままの指でより深い所を抉りながら今にも弾けてしまいそうな性器を咥え、ぐちゅぐちゅ下品に音を立ててしゃぶってやると、裂けるような悲鳴と共に呆気なくキッドの口に射精した。口腔で跳ねる熱の塊を深く呑みこみ、もう何度目かで薄くなっている精液を尿道に残る分まで搾り出す。細かい痙攣を繰り返すローの頬を撫で、最後のクリームの塊を落として剃刀を置いた。

「ははっ…!マジでガキみてえ、可愛くなったじゃねえか」

待ち望んだ開放を迎えてぐったり放心してるローは、クリームと精液が入り混じってベタベタの下肢を綺麗に舐められ揶揄されても、反論のひとつも返せなくなっている。体毛がなくなって剥き出しのそこは、普段直接的な刺激から守られていたせいか、唇を滑らせて軽く歯を立てただけで大げさなほどローの身体が跳ねた。
クリームまみれのシーツの上で、濡れた睫毛に浮かぶ涙の粒を舐め取ってやる。ぐずぐず鼻を鳴らしながらキッドに抱きつく身体からは甘ったるい匂いがしていて、海の味がするはずの涙さえ甘く感じた。少し齧ったらどこもかしこもビスケットや砂糖菓子みたいに崩れてしまうんじゃないか。食べてしまいたい、というのはこの場合比喩でもあったし、或いはそのままの意味だったかもしれない。

「トラファルガー…なぁ、ロー?」

散々貪ったはずなのに腹の底に重く溜まる飢えにも似た衝動は、一度目を向けてしまえば収める術などひとつしかなかった。


「サンタが来るまでお兄さんとイイコトしようか?」



Melty xxx


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