たとえば
たとえばもしも この戦いがずっと何度も続けられてきたものだとして

"フリオニール"

時々俺の名を呼ぶその声は
かつては本当に俺の側にあったものだとして


"私は、おまえを"


その言葉の続きが
俺の望むものだったとして

どうして今、君は俺の隣にいないんだろう…なんて



「疲れてるよな、俺」

呟いた言葉に顔を上げたのはいつもの仲間達
俺がいるのは戦いの中、そんなことを考えているわけには行かないのに


「どうしたの、フリオニール」


心配そうに俺を覗き込むセシルの視線が痛かった
なんでもない、と首を振り…俺を悩ませる夢の話を口にする
茶化されるかと思ったら意外と皆真面目な顔で聞いてくれていたりして

「それ言うならオレも疲れてるっスよ」


頭を掻くティーダも


「…多分、俺もな」


それだけ言って視線を逸らしたクラウドも


「きっと、僕も。残念ながら僕の場合、男性みたいだし恋人ってわけじゃなかったんだろうけど」


なんてセシルが付け加えたり
皆俺を気遣ってくれてるんだろうと思うとなんだか胸の奥が暖かくて、って…あ、れ?


「ちょっと待て!俺はその、その女性が恋人だったなんて一言も!!」
「あれ、そう言う話じゃなかったんスか」
「ティーダまで何言い出すんだ!」


顔が熱い…今なら顔からファイアが撃てる気がする
ほんとに今の俺、どんな顔してるんだろう


「…認めてしまえば楽になれる」


クラウドの呟きがどういう意味だったのか俺には分からないままだった、けれど…



時々聞こえる気がするその声
優しいような、冷たいような
遠いような、近いような

今の俺には何かが足りないような気がしてる
もしも今の俺に足りないものが 君なんだとしたら


「…会いたい」


何処の誰なのかも分からないけど
俺が心の中でずっと探しているのが君なのだとしたら
会いたい 会って確かめたい
俺の中にずっとわだかまりのように残っている懐かしさと愛しさの意味を

会った事もないはずなのに探してる気がして
恋しいと思ってるなんて馬鹿げてるって
自分でも解ってるけど止められない

でも、もしも本当に会えたとしても
きっと俺…この想いを伝えることなんて出来ないんだろうな


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