俺の名前は近藤晋助。言わずと知れた近藤兄弟の次男だ。

朝。こんな朝早くから授業なんて怠いもの受けてられねえが、幸子に起こされてしまったら仕方ない。幸子の前ではイケメンの兄貴で通したい。


「晋兄、授業サボっちゃ駄目だからね」
「…分かってらァ」


午前中、授業には出てみるものの開始二十分で飽きた俺は携帯と財布を制服のポケットに突っ込んで教室を出た。
裏庭で拭けっていたら最近よく見掛ける野良猫が足に擦り寄ってきた。どうやら学校に住み着いてるらしい。そうだ写メ撮って幸子に送ってやろう。


「(そういえば最近幸子からメール返ってこねえのは…何でだ?)」


そんなこんなで昼休み。弁当箱を開けた途端酷い異臭がすると思ったら飯を覆うようにしてマヨネーズが山盛りに盛られている。今日の食事当番はあの野郎だったのか。最悪だ。とりあえず嬉しそうに俺の教室に駆け込んできた岡田に弁当箱を押し付けた。昼飯は抜くしかない。空腹感を紛らすために腕枕に顔を埋めて眠る。俺は午後の授業が早く過ぎるのを待った。
ブーブーと携帯が鳴っているのに気が付いたのは五限目も終わりに差し掛かっているときだった。誰だ?来島か?メール画面を見て心臓が跳ねた。「From:幸子 今日の放課後買い物付き合って(ハート)」幸子が俺にメールを……!最近メールなんてしてくれなかったのに。幸子のおかげで気分が良くなった俺は鼻歌混じりに最後まで授業をうける事にした。


「………何でテメエがいる」
「それはこっちのセリフですぅ〜。俺はこれから幸子ちゃんとデートなんで邪魔すんじゃねえよチビ助が」
「ハッ!何言ってやがる幸子は俺と、」


放課後。幸子と待ち合わせた昇降口に行けばふざけた顔の銀時と鉢合わせた。


「お待たせっ!銀兄、晋兄、早く買い物行こう!」
「ちょ!幸子ちゃんどうゆう事か説明してェエ!」
「今日スーパー特売日なの!トイレットペーパーお一人様二つまでだから頑張ってゲットしないと」
「………」
「………」


本当にお前はいい女だよ。俺に言い寄ってくるそこらのけばけばしい女共なんて目じゃねえさ。ああでも、二人で出掛けるの楽しみだった。


「今日の夜はカレーにしよう」


マヨネーズ馬鹿の代わりに晩ご飯を作ると言った幸子はテキパキと食材を探しに行ってしまった。おかげで幸子と完全にはぐれた。気が付けば銀時も見当たらない。二人して迷子になりやがって。しょうがねえな。


「あ!晋兄見付けた!」
「迷子になんかなってんじゃねえよ、お呼び出しの放送かけるぞコノヤロー」


迷子になったのはお前らの方だろうが。そう思いながら、もう迷子にならないようにと幸子が手を繋いでくれたから何かもうどうでもいいや。
買い物をすませ、家に帰って三人でカレーを作り、他の奴らが帰ってくるのを待った。


「いっただきまーす」


晩ご飯はみんなで食べる。それが近藤家の掟である。まあそんなもん幸子がいなかったらとっくに終わってただろう。
夜。食事が終わってテレビのチャンネルを変えまくっていると食器を洗い終えた幸子がてててと近寄ってきた。かわいい。


「どうしたァ?」
「あっあのね、…今日はお買い物付き合ってくれて、ありがと」
「……ああ(ツンデレ?)」
「それじゃおやすみっ!」



おやすみ。
幸子、今夜も良い夢を。



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