「銀兄!見て見て!私、日本史のテスト九十八点だったんだよ」
「おおー頑張ったじゃねえか、幸子」


帰宅した俺を一番に出迎えた幸子の笑顔に今日も癒される。一日の仕事の疲れなんて吹き飛んでしまう。
じゃじゃーんと見せられた答案用紙にはたくさんの丸と九十八の数字。お前はやればできる子だと思ってたよ。よしよしと頭を撫でてやると少しだけ頬を赤らめて笑う幸子が可愛くて仕方がない。


「ねえねえ銀兄、約束ちゃんと覚えてるでしょ?」
「……あれ?何だっけ」
「平均八十点以上いったらご褒美くれるって言ったじゃない!」


そんな事言ったような言ってないような。どっちだったか、正直記憶が曖昧なのは、その話をしたときに俺が酷く泥酔していたから。酔った勢いとはいえ、とんでもない約束をしたもんだ。
確かに今回の期末試験、幸子は必死にテスト勉強をしていた。
もちろん教師の俺も、テスト期間中は採点やら何やらでいつも以上に忙しい。でも、幸子が頑張っていたから、幸子の一生懸命な姿を見て、俺も仕事を頑張れた。

だから、


「お前の願い、叶えてやるよ」


また幸子に甘過ぎるって他の奴等に馬鹿にされる。そんな事分かってるっつーの。


「頑張った幸子ちゃんに銀さんからご褒美で〜す」
「ホント!?」
「おう。何でもいいから言ってみ?」
「やったー!お兄ちゃん大好き!ありがとうっ」


幸子の声が頭の中でこだまする。「お兄ちゃん大好き」その言葉には波動砲並の威力があるという事を、幸子本人は知らない。(無自覚だからこそ恐ろしい!)
だがしかし、もしも幸子がスんゲー高いもの要求してきたらどうしよう。給料日前だし、ボーナスだって期待できない。ブランドもんを買えだの高級レストランに連れてけだの言われたらちょっと泣くかもしれない。
いやいやいや。今はお金の事なんてどうでもいいじゃないか。幸子の、愛する妹の望みも聞いてやれなくて何が兄貴だ。俺は近藤家の長男だ。何でも叶えてやると言った以上、全てを受け止めてみせる。さあこい!銀兄ちゃん頑張っちゃうぞ!


「あのね私、海に行きたいの!銀兄と二人っきりで」


波動砲発射!!!



頑張れお兄ちゃん
(お前の笑顔ためならば!)






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佐倉さま。
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